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ヘリウムは、水素同様に非常に軽い上、水素と違って不活性であり爆発性がないため、気球や飛行船のガス、風船、ダイバー用酸素ボンベなどとして広く使われている。
また熱伝導率が高く、あらゆる元素の中で最も沸点(約4K(−269℃))と融点が低い。液体ヘリウムは他のあらゆる物質よりも低温であるため、超伝導や低温物理学実験の冷却材などとして使われている。また液体ヘリウムは半導体製造、光ファイバー製造、航空宇宙産業分野など様々なハイテク産業で使われるほか、溶けやすく人体にも無害という特徴があるため医療分野でも使われており、加えて医療分野ではNMRやMRIなどで超伝導電磁石の冷却などに使われている。
人体に無害という利点から、ダイバー用酸素ボンベでも使われている。酸素ボンベは、酸素100%では人体に有害なので通常は空気または空気と同等の比率(酸素20%+窒素80%)を使う。しかし窒素も水に溶けるため、特に深く潜るダイバーの場合は圧力の高い深海で窒素が血液に溶け、水上に出たときにそれらが気化して危険である。そこで、酸素20%+ヘリウム80%(より水に溶けにくい)を使う。なお、ヘリウムを使うと音速が変わるので声が変になる。
アメリカは1920年代からヘリウムの備蓄を開始した。結果、全世界の備蓄量の約1/3がアメリカだったとされている。
しかしアメリカも財政難であり、また冷戦も終わり大量にヘリウムを備蓄する必要性も薄れてきたため、米国土地管理局(BLM)がこの国家備蓄を取り崩して民間への売却を始めた。
半分程度を取り崩したことから、そろそろ売却を終了するかどうかという政治的情勢があるが、ヘリウムの需要は世界的に上昇し続けているため、もうしばらくは売却を継続することになっている。しかし備蓄も無限ではないため、このままではアメリカの備蓄が枯渇するのは時間の問題である。どこかで新たな資源開発をする必要があるが、これが難航している。
先に述べたようにヘリウムは天然ガスの副産物であるため、天然ガス価格が下がると採算が取れないことから天然ガスと共にヘリウムも生産量が落ちるという結果となっている。
またアメリカも、自国のNASAへの供給を最優先しているため、かくして現在では世界中でヘリウムの深刻な供給不足が続いている。
ヘリウムは不活性であり、化合物を作らない。
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