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核磁気共鳴。物質の構造を同定するのに用いる。
陽子や中性子はスピンを持ち、磁石のような性質がある。その集合体である原子核は、それらが相殺してしまうものと、そうでないものとがあり、前者を核スピンがない、後者を核スピンがある、と称する。NMRで観測できるのは核スピンがある核種(例:1H、2H、13C、14N、15N、17O、31Pなど)だけである。
核スピンのある原子核を強い磁場におくと、それにより決まった方向に配向する。そこにラジオ波を当てている間、その垂直方向(磁場方向をZ軸、ラジオ波をあてる方向をY軸とするとZX平面をX軸をへて-Z方向)に回転する。
ここで、ちょうどX軸のところでラジオ波をあてるのをやめたとすると、今度はZ軸方向の強い磁場により、この磁石は回転する。この回転速度は同じ条件なら皆同じである。しかし、実際には原子核の回りには電子があり、その電子と核との位置関係により(つまり構造上のその原子の場所により)異なる "局所磁場" を受けることになる。その回転を解析する(FT)と核が感じる磁場の強さに関する情報が得られる。これがNMRのチャートである。
実際にはより複雑なパルス(ラジオ波の当て方)をすることで多次元の解析を行なうこともでき、それは複雑な化合物の構造解析や蛋白質の高次構造の解析に有用である。
もう一つの使い方として、非破壊分析がある。物質の存在形態がわかるので、ある物質を破壊することなく、内部の状態を知ることができる。この手法は医療の分野ではMRI(Magnetic Resonance Imaging)と呼ばれる。
NMRの性能は、磁石の強度に大きく依存する。普通、磁石強度は1Hの共鳴周波数で表わす。2001(平成13)年4月現在、最高の機械が900MHzであり、これは21.2T(テスラ)に相当する。
この装置は横浜にたくさんあるらしく、また値段は600MHzの機械で1億円くらいである。プローブと呼ばれるラジオ波をあてるための部分だけでも1千万円程度する。
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