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現在考えられている、あらゆる天体を包む時空(時間と空間)のこと。
ハッブルの法則から「宇宙の膨張」が見出された。
ここから、時を遡れば過去のある時、宇宙の全ては一点に集まっていたと仮定される。
非常に小さな高温・高密度の一点から宇宙は始まり、それが大爆発を起こしたとする「ビッグバン・モデル」が、1946(昭和21)年頃にジョージ・ガモフによって提案された。これがビッグバン宇宙論である。
様々な観測事実を積み重ね、初期のビッグバン宇宙論で説明しきれなかった問題を解決させた「インフレーション宇宙論」が提案され、今に至っている。
但し、この理論においても「なぜ宇宙は膨張を始めたのか」という根本については、はっきりとは分かっていない。
例えば理論物理学の「場の量子論」のアプローチでは、初期の宇宙は「真空のエネルギー」で満ちており、これが斥力となって宇宙は膨張を始めた、としている。
宇宙は膨張を続けている。これは膨張宇宙論として示される。
1915(大正4)年、アインシュタインによって一般相対性理論が発表された。ここで示された重力場方程式(アインシュタイン方程式)は、時間の経過と共に宇宙は膨張または収縮することを示していた。
しかし当時、アインシュタイン自身は宇宙は定常であると考えていたため、この方程式の解に定数の宇宙項(宇宙定数)を加えることを提案した。
1929(昭和4)年、エドウィン・ハッブルによって遠方銀河のスペクトルが調査され、充分に遠方にある銀河は全て銀河系から遠ざかっており、その速度は銀河までの距離とほぼ比例していることが発見された。これは「ハッブルの法則」と呼ばれている。
ハッブルの発見により天体観測学的に膨張宇宙の事実が見出され、もってアインシュタインも宇宙項が誤りであることを認めざるを得なくなった。
膨張を続ける宇宙が、いずれどのような末期を遂げるのかは、一般相対性理論の重力場方程式(アインシュタイン方程式)の解として、幾つかが示される。
重力場は「空間の曲率」で記述されるが、一般相対性理論は空間の曲率が正、0、負のいずれの宇宙も許容している。各曲率で、宇宙は次のように呼ばれる。
「開いた宇宙」か「平坦な宇宙」ならば、宇宙は永久に膨張を続ける。
「閉じた宇宙」であれば、いずれ膨張は収縮に転じ、再び大きさが0へと潰れてゆくビッグクランチを起こす。
この宇宙は三種類のどの宇宙であるかの研究が始まった。
2003(平成15)年にNASAが発表したマイクロ波非等方性探査衛星WMAPによる観測結果では、この宇宙の時空は平坦で、永久に膨張を続ける、ということが示されている。
宇宙には縮まるほど質量はなく、縮まる説は完全に否定された。
宇宙は灼熱から始まり、膨張して今に至り、今後も続く。
それは膨張した分だけ冷却されるという歴史でもある。現在の宇宙背景放射は温度3K(−270℃)であるが、今後は更に冷え、最後は絶対零度にまで冷却されると考えられている。
現在でこそ宇宙には星の数ほど恒星があり銀河があるが、膨張が続けば物質は希薄になり、こういった天体も形作れなくなる。従って、将来的には、宇宙には天体がなくなると考えられている。
原理的に、宇宙の年齢×光速度を超える範囲を観測することはできない。光速度は有限だからである。また、現在の観測技術では「宇宙の晴れ上がり」より前を見ることは出来ないので、観測できる範囲は宇宙の年齢×光速度よりも少し狭い範囲となる。
こうして原理的に観測可能な範囲の限界を「粒子的地平面」といい、地球からの距離は約470億光年である。この距離を「共動距離」(comoving distance)という。
粒子的地平面は現在、光速の約3.5倍の速度で地球より遠ざかっており、つまり光速の約3.5倍速で宇宙は膨張している。
実際に粒子的地平面が観測できた場合、見えるのは宇宙が晴れ上がったときの姿であり、具体的には温度3K(−270℃)のマイクロ波であると考えられている。但し現在は粒子的地平面は観測できておらず、観測された最遠の銀河でも、粒子的地平面より遥かに手前である。
光速度を超えて膨張する宇宙全体の広さは、光速で観測可能な範囲より遥かに広い。
しかし、その実際の広さを観測することは不可能であり、宇宙の広さは有限であるのか、あるいは無限であるのかさえ、分かってはいない。
宇宙に天体がどれだけ存在するのか、それは定かではない。
なぜなら、観測可能な範囲の外側にも宇宙があり、そこにも天体があると考えられる。つまり、実際の宇宙の広さが分からない以上、概数さえ示すことはできないからである。
我々の太陽系のある銀河系だけでも2,000億個以上の恒星があると考えられている。
そして、見渡せる範囲内の宇宙全体では、銀河系規模の銀河が1,000億以上あると考えられているようである(根拠は不明)。
大雑把な計算では、宇宙全体の恒星は2,000億×1,000億=200垓個、となる。「星の数ほど」と言う比喩表現があるが、その雰囲気を壊さないだけの規模がある。
ただし、地表から肉眼で「星」として認識できるのは、空が比較的暗い場合でも6等星程度までといわれる。従って、人間が直接見ることのできる恒星は全天で6000〜7000個程度、実際に地平線上に見える星の数となると最大でも4000個程度に過ぎない。
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