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光が一年間で進む距離を1とする距離の単位。「年」と付いているが時間の単位ではない。
アルベルト・アインシュタインの特殊相対性理論による「光速度不変の原理」により、真空中(障害物がない場合)の光速は常に一定である。
つまり、光が宇宙空間を一年間掛けて伝わる距離は常に一定である。この距離を天文学において単位として使うようになった。
逆に言えば、光が1光年の距離を伝わるのに必要な時間は1年である。
宇宙の年齢は約137億年と考えられている。
もしこの時に星があると仮定し、その光が地球に届くとすると、その光は137億年をかけ、137億光年の距離を旅してきたものとして考えることができる。
逆算すれば、その光は「137億年前に発せられた」ということになる。これは正しい。しかし、「今現在その天体が地球から137億光年離れた場所にある」または「この星は当時地球から137億光年彼方にあった」と判断することは、いずれも間違いである。
なぜなら、宇宙は膨張しているからである。
宇宙は常に膨張している(膨張宇宙論)ため、実際には光が放たれてから地球に到達するまでに進まねばならぬ距離はどんどん伸び、その放たれた場所も遠ざかってゆく。このため、その光が観測された時点での実際の距離である共動距離とはずれが生じる。
現在の地球と、この光が発せられた場所までの、137億年前(宇宙の晴れ上がり直後)の互いの距離は、宇宙の膨張速度が今と同様であった場合、約4000万光年であると逆算される。つまり、137億年前、観測可能な宇宙(粒子的地平面)は半径約4000万光年だった。
当時約4000万光年彼方にあった天体から発せられた光は、空間が膨張しても地球に向かい進み続け、結局137億光年の距離を進んで地球へと到達する。
光は、137億光年の距離を進んだ。では、今その天体が地球から137億光年かなたにあるのか、というと、そうではない。この光は膨張の流れに逆らって地球へと向かったが、実際の天体は膨張に合わせてどんどん地球から遠ざかっているからである。
当時約4000万光年にあった天体は、137億年経った現在、約470億光年彼方にあると考えられている。
一見、470億光年を137億年で光が進むのなら、光速を超えた速度であるかと錯覚するが、これは宇宙が膨張しているためであり、元々はもっと近い場所にあったものが宇宙膨張に伴って距離が広がった結果である。光が光速を超えるスピードで進んだわけではない。
つまり、現在の粒子的地平面は半径約470億光年に膨張した。光速が有限である以上、これ以上遠くを観測することは出来ない。
但し、これを確認する術は全くない。なぜなら、「時空」としては「今」とは光速(c)で繋がった瞬間を指し、これよりも時間軸で正方向の事象は、観測も出来ず、影響も与えられないという意味で「未来」になるからである。
つまり「この光は137億年前に放たれた」は正しいが、「ここから今放たれた光が地球に到達するのは137億年後」や「この天体は発光時点で137億光年彼方にあった」は間違い、ということである。
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