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ハイパーテクストを記述する言語HTMLのバージョン5のこと。HTMLの第5版。2014(平成26)年10月28日にW3Cにより勧告され、5.1、5.2まで版が進んだが、2021(令和3)年1月28日に廃止された。現在W3CはHTMLの策定から手を引いたため、HTML5は終了しており後継HTML Living Standardへと置き換えられている。
HTML 4.01とXHTML 1.1の後継ということができる。
しかしHTMLということで、せっかくXML化された仕様は、再びSGML的なものに戻ることになったが、HTML5はSGMLではなく独自の形式を取る。なお、HTML5をXMLで記述することも可能で、これを俗にXHTML5と呼ぶこともあるらしい。
HTML5最大の特徴は、マルチメディア機能が標準で提供される点である。従来であれば、Adobe Flashなどのプロプライエタリー・ソフトウェアを別途導入する必要があったが、HTML5ではFlashのようなものは不要になり、もってFlashのようなものは衰退した。
HTML5は、Webブラウザーの開発元により結成されたWHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)が策定した仕様HTML Living StandardをW3Cが勧告するという形で発表された。
しかし、W3CはW3CとしてHTMLの策定を望み、結果W3CとWHATWGがそれぞれ独自のHTML標準仕様の策定を進めるという分裂状態に陥った。が、Webブラウザーの開発元はWHATWGの仕様しか参照せずW3Cが策定した仕様など採用しない。
そこでW3Cは2021(令和3)年1月28日、それまで発表してきた全てのHTMLの仕様を廃止し、HTML標準仕様はWHATWGにより開発されることが決まった。
HTML5で目指すものが膨大すぎたため紛糾し仕様がまとまらなかったため、HTML 5.0とHTML 5.1の二段階に分けてリリースされることになり、HTML 5.0の仕様策定完了と共に、HTML 5.1とCanvas 2D, Level 2の第一草案も公開された。
また、HTML 5.1の後にはHTML 5.2も策定中となっている。
HTML 5.3も草案は出されたが、それ以上進むことなくHTML5自体が2021(令和3)年1月28日に廃止されている。
HTML5そのものとは規格書が異なるが、次のようなものも同時期に開発され併用されるようになった関連技術で、広義のHTML5に含めることが多い。
また、HTML5以前の次のような技術もなおHTML5と併用されている。
W3Cの「HTML5ロゴ」では、次のカテゴリーをHTML5に含めて評価している。各カテゴリーに、実際の技術名をぶらさげて記載するが、HTML5の規格策定とは由来が異なるものも含まれる。
HTML5では、従来なかった新たな要素が追加された。
divやspanなどに機能的に似たものが多いが、より「意味」を強調した要素となっている。
例えば、articleは記事、asideは主題と無関係のセクション、headerは文書のヘッダーセクション、sectionは一般的なセクション、footerは文書のフッターセクション、といった具合である。従来なら無機質にdivだけで括っていたような文書は、このように意味のある要素で括れるようになり、文書構造をより強調できる。
この他に、HTML5の売りでもあるマルチメディア機能用に、音楽用要素audio、映像用要素video、2次元ビットマップ画像用要素canvasが追加されている。
つまりHTML5に対応しない古代のWebブラウザーでは全くレンダリングできないことになるが、HTML5を採用して先進的な動的なWebアプリケーションを作ろうと試みる者にとって、そもそもそんな古代のWebブラウザーを使うような者は客ではないので問題はない。
追加要素がある一方、CSSで実現できるようなスタイルを指定するような要素類は、廃止された。
特に物理要素類は、i、b、small、sup、sub以外は、CSSに置き換え可能であるため廃止された。
video要素を使い、画面に動画を貼り付けることができる。しかし、ここには弱点がある。
HTML5は、ビデオコーデックを規定していない。様々な問題があり、できないのである。
次のようなものが使われる。
GoogleのYouTubeなどは、ITU-T H.264をまず採用した。しかしH.264は特許があり、利用するためにはMPEG LAに巨額のライセンス料金を支払い続けなければならない。
Mozilla Firefoxのようなオープンソースソフトウェアでは、これに対応することができない。OperaもH.264への対応を拒絶していた。そこでFirefoxとOperaは、特許による制限がなく自由に使用できる、On2 TechnologiesのVP3技術を用いたOgg Theoraを採用した。同様に、音楽のaudio要素向けにはOgg Vorbisを採用している。
GoogleもH.264に全面賛成というわけではないが、Ogg VorbisはともかくTheoraは画質が悪い。そこでTheoraの後継とも言える、Googleが買収したOn2 TechnologiesのVP8技術をオープンソース化、ロイヤルティフリーで公開してこの技術を用いたWebMを発表し採用した。これにFirefoxとOperaも賛同、対応することになった。MicrosoftもIE9でVP8採用を表明した。
そしてGoogleは米国時間2011(平成23)年1月11日、Google ChoromeでのH.264サポートの打ち切りを表明するなどで揺さぶり攻勢をかけた。Googleには勝ち目無しと判断し弱り果てたMPEG LAは、このおかげでライセンスの一部永久無料化を発表、無料動画配信サービスなどでは無料となり、これによりFirefoxなどでも無料で再生が可能となった。
それぞれのブラウザーの対応状況は次の通りである。
元々H.264陣営あったAppleのSafariはH.264にしか対応していないなど、勢力争いの状況をここから垣間見ることができる。
公式な文書型宣言(DOCTYPE宣言)は次となっている。
<!DOCTYPE html>
従来より大幅に簡略化されているのが特徴である。
DOCTYPE宣言の形を取っているのは従来のHTMLとの互換性を意識したものと思われるが、HTML5はSGMLアプリケーションではなく文書型定義(DTD)を参照する仕様ではないため実際にはDOCTYPE宣言ではない。このためDTDのパスを書く必要はない。
<!DOCTYPE html> <html> <head> <meta charset="utf-8"> <title>Sample of HTML5</title> </head> <body> <p>hello, world</p> </body> </html>
YouTubeは2015(平成27)年1月27日、HTML5 対応ブラウザー(Google Chrome、Internet Explorer 11、Safari 8、Mozilla Firefox)でアクセスした場合、標準設定で、従来のAdobe Flashに代えてHTML5で動画が再生されるようになった。
回線速度に応じて画質を変更する機能(ABR)への対応がHTML5でも進んだことを受け、HTML5に本格的に移行した。
YouTubeの考える、Flash→HTML5のメリットは次の5つだという。
ABRがストリーミング配信にも対応し、回線に応じた解像度やビットレートが選択できるため、50%以上、混雑時は80%以上のバッファリング時間を削減できるとしている。
従来比で帯域を35%抑え、再生までの時間も15〜80%高速化されるとしている。
FlashやSilverlightなどと違い、HTML5では一つのプレイヤーで複数のプラットフォームや暗号化技術に対応可能で、スムーズに再生できるとしている。
Google ハングアウトを使ったビデオチャットが、追加のプラグイン不要で、ブラウザー内で可能となる。
HTML5のフルスクリーンAPIで、4Kなど解像度の高い画面でも全画面表示が可能になるとしている。
HTML5への移行によって、従来のFlashを使う埋め込み機能は非推奨のレガシーとなり、今後は埋め込みもHTML5が推奨されている。
ニコニコ動画は、その元々の由来からYouTubeと同じくAdobe Flashで作られていたが、こちらもHTML5版が作られた。
2017(平成29)年7月13日14:30(@270)頃より、HTML5版が正式版医となり提供が開始された。
生放送などへの対応がまだ不十分なことや、Flashでアップロードされた動画の再生ができないなどがある。この辺りの改善などもいずれ進められ、2017(平成29)年10月から開始された「ニコニコ動画 (く)」からはHTML5版がメインになった。
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