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Adobe Systemsによる、動画やゲームなどを実現する環境(ミドルウェア)。
初出は、FutureWave Softwareが開発していた製品、FutureSplash AnimatorとFutureSplash Playerである。
Macromediaは、MacroMindから買収し自社製品としたMacromedia Directorを提供していたが、この自社製品との競合を恐れ、FutureWave Softwareを会社ごと買収して自社製品の廉価版扱いとしたことが始まりとなる。
Flashという名前はFutureSplashの頭文字と最後4文字を繋げたもので、これをMacromediaは自社のShockwaveシリーズに組み入れたことから、Shockwave Flashという製品名となった。データファイルの拡張子が.swfなのは、この最初の製品名が由来となる。
Macromediaとしての最後はFlash 8で、以降はAdobe Systemsに買収され、Adobe Flashとなった。
Flash PlayerなどWebブラウザー用の環境(言うなればFlash規格)と、このFlash規格向けアプリケーションを制作するためのソフトウェア製品群は、かつて共に「Macromedia Flash」→「Adobe Flash」という名前であった。
Adobe Systemsに買収されてからも同様だったのだが、2016(平成28)年、開発ソフトウェア群については「Adobe Animate」へと改名された。これは、Adobe SystemsがAdobe Flashを諦め、HTML5用開発ソフトウェアとして生き残る道を選んだためである。
Adobe Flashは、動画や、特にゲーム環境に適していた。いわゆるブラウザーゲームと呼ばれるゲームアプリの殆どはAdobe Flashで作られている。
しかしAdobe Flashは膨大なセキュリティホールを抱えているなど信頼性に問題があったこと、いくらこの問題が改良されたとしてもAdobe FlashはAdobe Flashでありオープンではないという弱点があった。対し、代替となるオープンな技術としてHTML5が勃興し、徐々に普及していった。
そして、Adobe Flashの終わりの始まりとなったのが、スティーブ・ジョブズが生前の2007(平成19)年に発表した「Thoughts on Flash」(フラッシュに関する考察)である。Adobe Systemsは再三、iOSでAdobe Flashに対応するよう要望を出していたが、この発表によりそれを完全に退け、絶対にAdobe Flashには対応しないという姿勢を明確にした。
このようにしてAdobe Flashは利用者数が減少した。Adobe Systemsも2011(平成23)年にはモバイル向けFlashの開発を終了、デスクトップ向けではブラウザーゲームが興隆していたこともあり安泰かと思いきや、Mozilla FirefoxがFlash対応の終了、Google Chromeなど他のWebブラウザーもHTML5をデフォルトに採用するようになった。
かくして、いつの間にかほぼブラウザーゲーム専用と化し他の需要がなくなったAdobe Flashは、ゲームに限っては現役バリバリで新規のコンテンツも次々産まれているさなかにもかかわらず、隅に追いやられた。結果、Thoughts on Flashから10年後の2017(平成29)年、Adobe Systemsは2020(令和2)年末にサポートを終了すると発表した。
Adobe Flashは終焉を迎えた。後継はない。
Adobe Systemsは、HTML5やWebGL、WebAssemblyへの移行を推奨している。
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