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米国と欧州の標準団体の共同組織Joint Video Teamにより策定され、ITU-Tにより勧告されたビデオコーデック。
H.264はITU-Tの名称であるが、MPEG-4 Part 10として規格の一部に承認された。
正式な規格名は、ISO/IEC 14496-10「MPEG-4 Part 10: Advanced Video Coding」で、通称はMPEG-4 AVCである。
H.264は、MPEG-4のプロファイルであるSimple Profile(SP)やAdvanced Simple Profile(ASP)の改良となるが、それゆえに現在存在する様々な独自のMPEG-4実装(DivXやWindows Media等)とは互換性がない。
しかしインターネット経由での映像配信、ワイアレスでのビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスの高速化が実現可能な性能を持っている。
これまで、既設の回線で多チャンネルを提供したいCATV事業者などはMPEG-2が一般に採用されていたが、そのような業界でもH.264の標準化は歓迎された。
H.264はあくまでMPEG-4の技術であり、低ビットレート時の画質重視の技術である。低ビットレートで高画質だからといって、高ビットレートにして更に高画質になるわけではない。高ビットレートでは、MPEG-2の方が画質が良いというのが一般的な評価である。
H.264は旧来のMPEG-2と比べ3〜4倍の処理能力を要求するため、ハンドヘルドデバイスやカムコーダーといったバッテリー駆動機器などでは効率が悪くなると考えられる。ただ現在のプロセッサー性能の向上を考えれば、圧縮性能とプロセッサーに要求するパワーのバランスは実用レベルであるという考え方もある。
インターネットの世界では、2010(平成22)年から2011(平成23)年にかけ、HTML5の開発やプロトタイプ版の普及が始まっていた。ここで問題となったのは、HTML5が対応する動画の、コーデックである。
AppleやMicrosoftなどはH.264を支持し、Webブラウザーでの実装でも、ある程度の普及はした。
たが、莫大なライセンス料を要求されるH.264はオープンソースソフトウェアでは利用できない。そこでGoogleは、対抗としてOn2 Technologiesが開発していたVP8ビデオコーデックを買収、これをコンテナーフォーマットWebMとともに発表した。VP8@WebMはH.264とは違い、ロイヤルティフリーかつオープンソースである。そして、当初はH.264に対応していたGoogle Chromeは、H.264への対応中止を宣言した。
この時点でGoogleは、YouTubeでもHTML5試用版を公開中で、H.264とVP8@WebMに対応していたが、H.264は段階的にサポートを打ち切った。強力なライバルが登場したためMPEG LAは、無料動画配信サービス向けには永久無料、それ以外でもH.264ライセンス料の値下げを発表した。
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