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ソニーコンピュータエンターテイメント(SCEI)の開発したゲーム専用機。
日本では2006(平成18)年11月11日に発売された。2007(平成19)年11月11日に価格改定と廉価版発売が行なわれている。また、2009(平成21)年9月3日から新型が発売された。
英語表記はPLAYSTATION 3またはPlayStation3のいずれかで、SCEIは前者をより多く使っているようである。正確にはさらに登録商標を表わす®が含まれているのが正しい。
しかし、初代PlayStationからの伝統で、SCEI以外では後者の表記をしていることが多いようである。
RSXとGDDR3 VRAMのクロックは当初発表のもので、製品ではスペックが落ちていると言われている(詳細不明)。
CPU | Cell Broadband Engine (64ビットPowerPCベースコア、3.2GHz) | |
---|---|---|
GPU | RSX (550MHz、1.8TFLOPS) | |
サウンド | Dolby 5.1チャンネルサラウンド対応、dts、リニアPCM等 | |
メモリー | 256Miバイト XDR メインメモリー(3.2GHz、バンド幅25.6Giバイト/秒) | |
256Miバイト GDDR3 VRAM (700MHz、バンド幅22.4Giバイト/秒) | ||
浮動小数点演算性能(peak) | 2TFLOPS | |
記憶領域 | HDD | 2.5インチHDD(S-ATA) |
入出力 | USB 2.0 | 前面×4、背面×2 |
メモリースティック | 標準/Duo/PRO ×1 | |
SDメモリーカード | 標準/mini×1 | |
コンパクトフラッシュ | TypeⅠ/Ⅱ ×1 | |
AV出力端子 | AVマルチ出力×1、HDMI ver 1.3出力端子×1、光デジタル音声出力端子(S/PDIF)×1 | |
通信機能 | Ethernet | 10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T ×3 |
Wi-Fi | IEEE 802.11b/g | |
Bluetooth | Bluetooth 2.0+EDR | |
対応媒体 | CD | CD-ROM、CD-DA、CD-R、CD-RW |
SACD | SACD | |
DVD | DVD-ROM、DVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RW | |
BD | BD-ROM、BD-R、BD-RE |
CPUのCellや、Blu-ray Disc対応などを特徴とする装置である。
2007(平成19)年11月11日価格改定時点での価格は、20GバイトHDD搭載廉価モデルが44,980円(税込)、60GバイトHDD搭載完全モデルは54,980円(税込)。
発売時点の価格は、20GバイトHDD搭載廉価モデルが49,980円(税込、当初発表予価62,790円)、60GバイトHDD搭載完全モデルはオープンプライス(店頭価格は約62,800円)だった。
また、PlayStation2互換機能を削除した廉価版(クリアブラック型番CECHH00、セラミック・ホワイト型番CECHH00 CW)は、39,980円(税込)である。
基板上の大型LSIは4つで、次のとおり。
CPUとGPUは基板中央に並んで配置され、双方は極太のパターンで接続されている。各々消費電力は100W前後とされている。
CPUから見て外部IO部方向に配されているのがコントローラーLSIで、型番としてCXD2973GBが刻印されている。USB 2.0やメモリーカード、各種ネットワーク、そしてコントローラーやBDドライブ等各種の制御をこれで行なっていると思われる。パソコンで言うところのサウスブリッジ相当だろう。最大消費電力は380Wとされている。
EE+GSは、PlayStation2のCPUとGPUであるEmotion EngineとGraphics Synthesizerを1チップに統合したものである。従来ソフトウェアとの互換性を取るために搭載されている(後述)が、ソフトウェアによるエミュレーションの確立後は除去される予定とされた。
実際にはそれは実現せず、廉価版としてEE+GSを削除した製品が登場することになる。
様々なバリエーションがある。
初期モデルである。CECHA/CECHBのみEE+GS(Emotion Engine/Graphics Synthesizer)が搭載されており、PlayStation2との互換性が高い。それ以降の製品ではEE+GSは削除され、PlayStation2のソフトウェアは利用不可能となった。
型番のxxの部分はリージョンコードで、地域ごとに00から12までの番号が確認されている。なお、英字が飛んでいる部分は、予定はされたが発売中止になったものである。
SACDは、初期の4モデル(CECHA/CECHB/CECHC/CECHE)のみが対応し、それ以降では機能削除された。
AACS D端子出力制限に対応した新モデル。つまり機能劣化。
PLAYSTATION 3はPlayStation2に対する上位互換機であり、従来のソフトウェアを利用出来るはずだった。
とはいえ、MSXなどとは異なりハードウェアは全く異なるものであるため、ハードウェア自体の互換性は実際には殆どない。
将来的には、Cell上で動作するエミュレーターのみで互換性を維持する予定とし、発売時点ではそれが未完成であったことからPlayStation2のシステムチップを統合したEE+GSというチップが搭載された。但し、完全な互換ではなく、互換性問題がいくつか発生した。
なお、PS1のCPU相当(MIPS R3000A)箇所はPS3には搭載されておらずソフトウェアエミュレーションとなっており、この部分でも互換性問題が頻発した。
発売時点でのモデル(CECHA00、CECHB00)の基板には、隅のほうにEE+GSと、それ用と思われるPS3本体と独立したメモリーチップが搭載されている。
EEとは、PlayStation2のCPUであるEmotion Engineで、GSとは、PlayStation2のGPUであるGraphics Synthesizerである。
互換性のためとは言え非常に贅沢な造りだが、公式には、エミュレーターが完成した時に真っ先に撤去する部位である。いずれ、この部分でコストダウンを図る計画だった。
実際に、CPUであるEEはソフトウェアエミュレーションが可能だったらしく、海外版では採用されコストが削減されている。しかし、PlayStation2のGPUであるGSは、その帯域幅が非常に広いのが自慢の逸品でもあり、PLAYSTATION 3のハードウェアでエミュレーションする目処が立っていないようである。
最初に発売された、日本版とアメリカ版は、EE+GSが搭載されているため、PlayStation2に対しての互換性は高い。
その後に発売された、欧州版と南鮮版からEEチップがソフトウェアエミュレーションとなり、GSチップのみとなったためコストダウンが出来た。但し、互換性は完全ではないようである。
更に、欧州版と日本版で、GSチップをも乗せない廉価版が登場することとなった。GSチップのエミュレーションは目処が立っていないことから、この廉価版ではPlayStation2互換機能は実現できなくなった。
久夛良木SCEI社長は、発売前にこのハードウェアに対し「これはゲーム機ではない」と公に述べた。理由は「試作機が大き過ぎた為」とされている。この時は、何を言っているのかと失笑を買った。
しかし発売後明らかとなったハードウェアを見た時、それは本当にゲーム機ではなかった。高級サーバーマシンのような造りとなっている。
使う部品にしても高価なものが多く、安価に販売されるべきゲーム機としては常軌を逸している。
まず分かりやすい所では、従来の概念を覆す高性能CPUに加え、ノートパソコン並の高性能GPUを搭載した。
GPUは推定単価129ドルとされる。これだけでも高級であることは分かる。
また、大型のヒートパイプ、超巨大なヒートシンクや16cm径の大型ファンを採用した。高くつくが、大きなファンを低速で回すのが静音等に効果があり、自作PCでは最近のトレンドである。このファンは発熱量に応じて10段階で回転数を制御しているとされる。
また、HDDも若干高く付くが、頑丈さで定評のあるSeagate Technology製を採用した。HDDは恐らく真っ先に故障すると考えるパーツの一つだが、ここにも妥協がない。これなら、1年と1週間で壊れたりはしにくいだろう。
HDDは2.5インチで、BDドライブと共にシリアルATAで基板に接続されている。これも贅沢な設計である。
なお、大型部品で最も高価と見られるのはBDドライブで、アメリカの調査会社のアイサプライによると、単価125ドル程度と見積もられている。
基板上の部品も高級品ばかりで、特にコンデンサーの贅沢さが光る。
電源部は高級マザーボードでもなかなか採用しないコストの高いコンデンサー、NECトーキンの
その他、重要な箇所には分子有機半導体固体電解コンデンサーPOSCAP、固体アルミ電解コンデンサー、積層セラミックコンデンサーなどで固められている。
例えば、対抗機Xbox360では同等箇所を湿式アルミ電解コンデンサーを大量に使うことで解決したことと比べると、非常に上等な造りだといえる。
これを見た他社技術者は、驚嘆を通り越して呆れ果てた。
部品は贅沢であるが、基板のパターンには無駄が多いと考えられている。
部品配置も、必ずしも良いとは言えない。基板中央のRSXから各制御ICに伸びるパターンは、明らかに長すぎる。
理解不可能なのは、パラレル通信をしていると思われるパターンの距離がそれぞれ均等でない(等長配線ではない)点だが、これで動作が安定するのかは謎である。
ハードウェアの製造コストは実質8万円以上と考えられている。ハードウェア的には非常に贅沢であり、ある意味芸術的でさえある。
ゲーム機ではなく、言うならばブルーレイ再生機(その上PS3のゲームができる機能を搭載!)と言ったところであるが、贅沢な部品選択はAV機器の次元も超えている。
しかし幾ら凄いハードウェアでも、「ゲーム機」として見ると微妙である。世間はこれをゲーム機としてしか見ていない以上、面白いゲームソフトが出ないことには必要とされることはないのだろう。
いくら高級レストランの食器が美しいと言っても、問題は肝心の料理の味なのである。
今後のゲームソフトの揃い方が、このハードウェアの命運を分けることになると思われる。
ハートウェア的には芸術的である。しかし、その使用目的つまり、PLAYSTATION 3を「何のために使うのか」という観点が置き去りにされているのが、最大の問題である。
PLAYSTATION 3は高級な部品を使っているが、それらを寄せ集めただけなので、結局何にも使い物にならない状態となっている、電子機器史上に残る大失敗の例である。
つまり、「これは誰に売りたい商品なのか?」が、明らかではない。但し、ソニーのやりたいことだけは明白である。「ブルーレイ再生機の出荷実績を1台でも良いので増やしたい」という事である。
価格は高く、ソフトウェアは揃わない。PS2非互換の廉価版が投入されたが、これは遊ぶゲームのないゲーム機である。ブルーレイ再生機としても、肝心のブルーレイの映像ソフトは揃う気配がない。DVDを観るだけなら、PS2でも充分である。
消費者がどう使うかを考えず、作り手の勝手な都合だけを押し付けた商品。それがPLAYSTATION 3だった。このため、失敗は最初から決まっていたようなものとも言える。
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