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大阪湾の人工島に作られた、24時間営業の国際空港。
人工島は西と東に分離しており、それぞれに滑走路が存在し、通路で結ばれている。
旅客ターミナルがある東側が短いA滑走路で、西側が長いB滑走路である。
旅客ターミナルのトイレは、世界一清潔なトイレとされている。
清掃が行き届いており、小便器、個室ともに清潔に保たれている。
空港の人工島は現在、泉佐野市、泉南郡田尻町、泉南市と、三つの自治体にまたがっている。
空港島自体は泉佐野市と橋で直結されているので全体が泉佐野市となっても何の不思議も無かったが、利権(特に固定資産税などの税収)のため、海岸線を接する三自治体の所属となり、その各面積は対岸の海岸線延長の比率とされた。
国が埋め立てて建設した場合、島は国有地なので周辺自治体などは関係なく、所属は単独となっていた可能性が高い。元々は国の直轄事業となるはずだったが、これが特殊会社の運営へとされ、空港会社が埋め立てて島を作ったことになったため、問題が発生したわけである。
かくして、橋を含む空港北端は泉佐野市、空港ターミナルビルなどが田尻町、貨物地区や燃料保管場所等が泉南市の所属となった。
また、国有地であるなら固定資産税は掛からないが、私有地となったために固定資産税が掛かるようになってしまった。苦労して埋め立てて島を作り、更に地盤沈下防止のために莫大なコストを掛けているにも関わらず固定資産税が掛かるのは不満である旨を関空会社が述べていた。
関西国際空港連絡橋(スカイゲートブリッジ)は鉄道部分と道路部分があるが、1500億円の費用を掛けて空港会社が建設したもので、空港会社の所有であった。私道の有料道路として供用されていた。
しかし橋の建設費の有利子負債がかさみ、経営を大きく圧迫していたことから、空港会社は国有化を強く望んだ。
このため法整備が進められ、国道481号を新たに整備する旨を決定、指定区間の指定などの法整備を経た後、国(国土交通省)と西日本高速道路株式会社が橋のうちの道路部分を空港会社から買い取り、同日より国道481号が一般有料道路として改めて開通することとなった。
このとき泉佐野市は、国有化されると固定資産税(約8億円)が手に入らなくなり、この税収が市の収入の多くを占めていたことから猛反発した。国は国有化し通行料の値下げを計画していたが、これに泉佐野市は「通行税」を掛けることを市議会で決定、問題化した。
最終的には国が市に減収分相当を支払うことで解決となり、通行税については撤回され、そして橋の道路部分も無事に国有化されたのである。
その上、1兆5千億円を要する関空二期工事を行なうと、自力での借金返済は着陸料を幾らに値上げしても返済は不可能となる。
そのため政府は、成田・関空・中部の三空港を一法人にまとめようとも考えた。高速道路は全国料金プール制として既に全国均一料金となっているが、同様の方法で関空の借金を成田で賄おうと考え、2002(平成14)年12月18日には国が年間90億円の「補給金」を30年間にもわたって関空に注入することを決定した。
その財源は、伊丹の着陸料値上げによる30億円と、26の地方空港と羽田で実施している着陸料の2/3への軽減政策を取り止めることで発生する50億円の計80億円である。斯くして関空の借金は、成田だけではなく全国で負担することになったわけである。
統合は実現せず、成田と関空は今も別組織で政策的にも成田から関空への誘導などは無いが、この状況下では、高速料金と同様に着陸料も下がる見込みは無さそうである。
関空の借金の返済と他の空港の着陸料の値下げは、関空の需要喚起が必要不可欠と言える。
関西国際空港会社は、新規就航の国際路線向けに着陸料30%割り引き制度(最長3年間)を実施していたが、2009(平成21)年8月31日、秋から1年半、これを80%に引き上げると発表した。地元自治体と経済界による「関西国際空港全体構想促進協議会」の報奨金制度(着陸料の20%)と合わせると、着陸料は実質無料となる。
この破格のサービスによって、新規就航を増やし、南鮮のハブ空港、仁川国際空港などアジアの安い空港に対抗するとした。
空港会社の試算によると、数億円の減収要因になるとしている。
空港島は海中に作られた埋立地である。
簡単に言うと、その層を作る粘土や砂には多くの水分が含まれるが、上から重いものを乗せれば中の水分が抜けて、その分下に沈む。これが埋立地の沈下のメカニズムである。
海底には、深くまで達する洪積粘土層がある。関空の場合、この洪積粘土層の上に堆積した沖積粘土層の上に作られている。粘土に重しを掛けると水分が抜けて層の厚みが減るが、これはサンドドレーン工法と呼ばれる技術で建設中に対策が講じられ、島が乗せられてから1年程度で沖積粘土層の水は抜き取られている。
開港以来、島は沈んでいるとされるが、その原因は深くまである洪積粘土層が原因ということになる。とは言え、洪積粘土層は深く厚いことから地盤改良は難しい。
関西国際空港株式会社の発表する沈下の状況によると、開港当時は年間50cm程度も沈んでいたが、しかし現在ではかなり水分が抜けたようで沈下の速度も減り、年間数cm程度となっているとされる。
埋め立て開始から開港までの建設中の沈下量は9.82m、開港から2011(平成23)年までの平均沈下量は3.03mであり、全沈下量は12.85mとなる。
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