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レーザーディスク。オランダのPhillips社とアメリカのMCA社が開発した光学式ビデオディスクの一つ。
レーザーディスクはパイオニアの商標で、このためLDやLV(レーザービジョン)などと呼ばれたが、1989(平成元)年に商標公開されている。
LDは、CDやDVDと同様に記録層の凹凸のピットによって情報を記録する。但し、映像信号はDVDなどと異なりアナログである。
ピットの有無で記録というと、一見ディジタルであるCD/DVDと同様に思われるが、その方式は全く異なる。LDではFM変調された映像信号が、ピットの「長さ」というアナログ値で記録されている。
この理由で、後述するCAVでは外周の方が高画質となった。
ビデオデッキ等と比較して画質が良いのは、Y/C信号に関わる問題で、Y/C合成、Y/C分離という処理が不要だからである。
まず、アナログの放送電波では、Y/Cは混合状態である。
テレビに映す場合や、VHSなど通常のビデオデッキに記録する際には、Y/C信号を分離する必要がある。
また、当時はS端子やケーブルなどが存在せず、使われていた通常のビデオ端子(コンポジット映像端子)とケーブルでは、Y/Cは混合状態で送信される。
さて、普通に電波を受信して表示させるためには、次の手順である。
VHSなど通常のビデオデッキであれば、Y/Cを分離してテープに保存する。しかし当時は上述のようにS端子などが存在しなかったので、次のようになってしまう。
この時、ケーブルで送るためだけに、Y/C分離された情報を合成し、また分離するという無駄なステップを踏んでいる。これがVHSはじめビデオデッキの画質劣化の原因であった。
そこでLDでは、ビデオと異なり最初からY/C混合状態で記録することにした。
こうすると、次の手順となる。
言い替えれば、LDはビデオ端子からの入力に特化した仕様である。
後にS端子のようなものが普及しだしてからは、Y/C混合ではそれ以上の画質向上が望めないため、かえって仇ともなった。
LD媒体は経年劣化する。
LDも、CDなどと同様に記録面はアルミ蒸着層であるが、これを保護するために使われているのがメタクリル樹脂(PMMA)、つまりアクリルである。
当時のレーザー技術、ピックアップ技術などを勘案し、光透過性などからアクリルが選ばれた。しかしアクリルは吸湿性が高いため、水分を通す。このため、結露などにより、LDのアルミ蒸着層は簡単に酸化したり腐食したりする。湿気の多い場所に保存すると、黴が生えることもある。
片面のLDシングルや、CD/DVDなどはポリカーボネート樹脂が使われている。この樹脂は、アクリルよりは吸湿性は低い。但し全く通さないわけではないので、やはり経年劣化する。
LDはカラオケ装置、いわゆる「LDカラオケ」にも使われた。対するVHDが一般市場で忘れられた後も、業務用カラオケ分野では比較的長く続いていた。
カラオケがブームとなる1990(平成2)年頃の最盛期には年間3000万枚のレーザーディスクが生産されたが、再生専用であったこと、レンタルは原則として禁止されていたことなどから価格は高止まりし、一般家庭へはなかなか普及しなかった。
その後、通信カラオケの普及によりLDカラオケも徐々に減少した。
こうして1990年代後半にDVDが登場し、これが民間にも広く普及すると、LD市場は急速に縮小し、メーカー各社は次々と撤退していった。
LD媒体製造メーカーとして世界で最後まで残ったのが、茨城県筑西市(旧 真壁郡明野町)のメモリーテック(MTC)だった。ここでも20cmのLDのみで、30cmのLDは既に生産していなかった。
しかしこの会社も遂に製造ラインを停止することになり、2007(平成19)年3月27日、テイチクエンタテインメントの西山社長や音楽業界関係者を招き、MTCつくば工場にて「レーザーディスク生産停止式」が催された。
この日、世界最後のプレスとなったLDシングルのタイトルは、テイチクLDカラオケの音多ステーション用ソフトで、川中美幸の「金沢の雨」(22DK-995)であった。
この最後のメモリアルプレス盤はMTCにより記念プレート化され、後日西山社長より川中美幸本人へ手渡されたとされている。
LDプレイヤーは、長くパイオニアが責任持って製造を続けたが、部品調達が困難になったことから2009(平成21)年1月14日、やむなく生産を終了する旨、発表した。
最後の機種は、DVL-919、CLD-R5、DVK-900、DVL-K88の4機種で、今後合計約3,000台の製造をもってレーザーディスクプレイヤーの生産を終了するとした。
修理対応については、最低保有期間(機種ごとに生産終了時を起点として8年間)の継続が表明されている。また期間が過ぎた後も、修理に必要な部品在庫がある場合は修理対応可能としている。
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