読み:いね
外語:rice 英語
品詞:名詞

イネ科の一年草。その種子がである。穀物としては小麦に次いで世界二位の生産量を誇る。

目次

分類

▼はAPG分類法における階層で、従来の階級にないもの。

  • ドメイン: 真核生物 Eukaryota
  • 界: 植物界 Plantae
  • 門: 被子植物門 Angiosperm
  • ▼: 単子葉類 monocots
  • ▼: ツユクサ群 commelinids
  • 目: イネ目 Poales
  • 科: イネ科 Poaceae
  • クレード: BEP clade
  • 亜科: エールハルタ亜科 Ehrhartoideae
  • 連: イネ連 Oryzeae
  • 属: イネ属 Oryza
  • 種: イネ sativa

旧階層

古い分類法での階層構造は次の通り。

新エングラー分類法

クロンキスト分類法

  • 門: モクレン門 Magnoliophyta
  • 綱: ユリ綱 Liliopsida
  • 亜綱: ツユクサ亜綱 Commelinidae
  • 目: カヤツリグサ目 Cyperales
  • 科: イネ科 Gramineae
  • 亜科: タケ亜科 Bambusoideae

亜種

イネ属には20数種が確認されているが、このうちアジアで食用として栽培されているものはイネまたはアジアイネと呼ばれるsativaである。

このsativaも生態型により複数あり、大きくは次の亜種に分類される。

種類

植物学的には、現在栽培されているイネ属の稲は二種類で、次の通りである。

  • アジアイネ(学名Oryza sativa(オリザ・サティバ))
  • アフリカイネ(学名Oryza glaberrima(オリザ・グラベリーマ))

栽培品の大部分はアジアイネであり、アフリカイネは西アフリカの一部で栽培されているに過ぎない。

アジアイネ

アジアイネは、上述のように、種子(米)の長さで3つの亜種に分類される。

  • 長粒種のインディカ(インド型)
  • 半長粒種のジャバニカ(ジャワ型)
  • 円粒種のジャポニカ(日本型)

栽培品の大部分はインディカである。

日本で栽培されているのはジャポニカだが、これは主に日本と支那大陸東北部から朝鮮半島にかけてと、日本への輸出用にアメリカやオーストラリアの一部で栽培されているだけである。

粳と餅

米の特徴を決めるのが、稲の食用部分の主成分となる澱粉質である。

アミロースアミロペクチンに分けられ、炊いて食べる普通の米(これをうるち米=粳米という)はアミロース20%/アミロペクチン80%程度だが、お餅にして食べる餅米はアミロペクチンがほぼ100%である。

餅のようにアミロースを欠くのは遺伝子の欠損によるもので、同様に欠くものは他の穀物にも見つかっている。アミロースを欠く稲つまり餅米を大々的に栽培しているのは東南アジアや日本などに限られている。

品種

粳米を主食とする日本では、様々な品種が作られ、栽培されてきた。稲はもともと熱帯の植物なので、熱帯ではない日本の気候に合うように品種改良が続けられた結果、様々なものが産み出されている。

また早場米など、一般に食味は劣るが通常よりも早く収穫できる米などもある。また食べても美味くないが酒にすると美味いという「酒米」と呼ばれるものもある。

米の品種は毎年のように改良されており、このためマイナー品種は、次々と新しい品種に置き換わり姿を消してしまう状況が続いている。

また「米離れ」とも呼ばれ米の消費量は減り続けている。スーパーマーケットなどで「魚沼産コシヒカリ」などと書かれた、しかし魚沼産含有量不明の、あまりにもマズくて食べられない米が普通に市販されている現状、「コシヒカリ」(と表示されて市販されている米)の人気下落は当然のように継続している。このためかコシヒカリ自体の作付けも減少の一途のようであり、他の品種へと徐々に移り変わっている。

平成26年

公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「平成26年産 水稲の品種別作付動向について(平成27年3月31日)」によると、2014(平成26)年産うるち米(醸造用米、もち米を除く)の作付比率上位10位は次の通りである。()内は主要産地。

  1. コシヒカリ 36.4% (新潟、茨城、栃木)
  2. ひとめぼれ 9.7% (宮城、岩手、福島)
  3. ヒノヒカリ 9.2% (熊本、大分、福岡)
  4. あきたこまち 7.2% (秋田、岩手、茨城)
  5. ななつぼし 3.1% (北海道)
  6. はえぬき 2.9% (山形、香川、秋田)
  7. キヌヒカリ 2.7% (滋賀、兵庫、埼玉)
  8. まっしぐら 2.0% (青森)
  9. あさひの夢 1.6% (栃木、群馬)
  10. こしいぶき 1.5% (新潟)

前年10位だった「きらら397」(北海道)が11位に落ち、前年11位の「こしいぶき」(新潟)と入れ替わった。

平成25年

公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「平成25年産水稲うるち米の品種別作付動向について(平成26年3月25日)」によると、2013(平成25)年主食用米 作付比率上位10位は次の通りである。()内は主要産地。

  1. コシヒカリ 36.7% (新潟、茨城、栃木)
  2. ひとめぼれ 9.6% (宮城、岩手、福島)
  3. ヒノヒカリ 9.5% (熊本、大分、福岡)
  4. あきたこまち 7.5% (秋田、岩手、茨城)
  5. ななつぼし 3.0% (北海道)
  6. キヌヒカリ 2.9% (滋賀、兵庫、埼玉)
  7. はえぬき 2.7% (山形)
  8. まっしぐら 1.9% (青森)
  9. あさひの夢 1.5% (栃木、群馬)
  10. きらら397 1.5% (北海道)

順位に若干の変動が見られるが、品種については変化がない。

また、全都道府県で上位3位までの作付比率を持つ主食用米品種は、次の通りである(50音順)。

  • あいちのかおり
  • あきさかり
  • あきたこまち(秋田31号)
  • あきほなみ(鹿児島30号)
  • あきろまん
  • アケボノ
  • あさひの夢
  • イクヒカリ (※低アミロース米)
  • いわてっこ
  • きぬむすめ
  • きらら397(上育397号)
  • キヌヒカリ
  • 元気つくし
  • こしいぶき
  • コシヒカリ(越南17号、農林100号)
  • ゴロピカリ
  • 彩のかがやき
  • さがびより
  • ササニシキ(東北78号、農林150号)
  • さとじまん
  • ちゅらひかり
  • つがるロマン(青系115号)
  • つや姫(山形97号)
  • てんこもり
  • てんたかく
  • 天のつぶ
  • ななつぼし(空育163号)
  • にこまる
  • 日本晴
  • 能登ひかり
  • はえぬき(山形45号)
  • ハツシモ
  • ハナエチゼン(越南146号)
  • ひとめぼれ(東北143号、農林313号)
  • ヒノヒカリ
  • ふさおとめ(千葉6号)
  • ふさこがね
  • まいひかり
  • まっしぐら
  • まなむすめ
  • みえのゆめ
  • ミネアサヒ
  • ミルキークイーン (※低アミロース米)
  • めんこいな
  • 森のくまさん
  • ゆきん子舞(新潟71号)
  • 夢しずく
  • 夢つくし
  • ゆめひたち
  • ゆめぴりか (※低アミロース米)
  • ゆめみづほ

平成24年

公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「平成24年産水稲うるち米の品種別作付動向について(平成25年7月1日)」によると、翌2013(平成25)年の上位3位に漏れた、2012(平成24)年の上位3位だった品種(主食用米)は次の通りである。

  • なすひかり 栃木県

平成23年

公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「平成23年産水稲うるち米の品種別作付動向について(平成24年10月19日)」によると、2012(平成24)年の上位3位に漏れた、2011(平成23)年の上位3位の品種(主食用米)は次の通りである。

  • 黄金錦 高知県
  • むつほまれ 青森県

平成22年

公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「平成22年産水稲うるち米の品種別作付動向について(平成24年2月21日)」によると、2011(平成23)年の上位3位に漏れた、2010(平成22)年の上位3位の品種(主食用米)は次の通りである。

平成21年

農林水産省「平成21年産水稲うるち米の品種別作付状況について(平成21年12月1日)」によると、上記までの上位3位に漏れた、2009(平成21)年の上位5位までの品種は次の通りである。

  • 愛のゆめ 愛媛県
  • あきげしき(南海131号) 熊本県
  • あきさやか 福岡県
  • アキニシキ
  • 秋の詩 滋賀県
  • あきまさり(西海248号) 熊本県、大分県
  • 朝の光 群馬県、埼玉県
  • 朝日 岡山県
  • あわみのり 徳島県
  • オオセト 香川県 (※酒米)
  • おぼろづき 北海道 (※低アミロース米)
  • かけはし 岩手県
  • さきひかり 宮崎県
  • さけ武蔵 埼玉県 (※酒米)
  • 大地の風 愛知県
  • チヨニシキ 福島県
  • つくしろまん 福岡県
  • つくばSD1号 山形県
  • 天使の詩 佐賀県
  • どんとこい 京都府
  • どんぴしゃり 岩手県
  • 中生新千本 広島県
  • ナツヒカリ 高知県
  • 華吹雪 青森県
  • 晴るる 山口県
  • ヒカリ新世紀 鳥取県
  • 兵庫夢錦 兵庫県
  • ふっくりんこ 北海道
  • ほほほの穂 石川県
  • 祭り晴 神奈川、京都、大阪
  • みえのえみ 三重県
  • 美山錦 秋田県、長野県 (※酒米)
  • ミルキークイーン 福島県、茨城県、栃木県、富山県
  • モミロマン 宮崎県
  • 山田錦 兵庫県 (※酒米)
  • ゆきの精 新潟県
  • ゆきん子舞(新潟71号) 新潟県
  • 夢はやと 鹿児島県
  • 若水 神奈川 (※酒米)

その他

この他にも、マイナーな品種は沢山ある/あった(順不同)。

  • ニホンマサリ ‐ 天皇陛下が栽培する稲として有名
  • はなの舞い(庄内32号) ‐ 主に山形県で栽培されていた
  • 農林48号 ‐ 山梨県の武川村(現在の北杜市)周辺で栽培されているブランド米
  • 龍の瞳 ‐ 岐阜県などの新しいブランド米。粒は大きく美味いが、価格は高い
  • 瑞穂黄金 ‐ 福島県生まれの早場米。山形などで栽培され始めている
  • 青天の霹靂 ‐ 青森県の新品種
  • みずかがみ ‐ 滋賀県の新品種
  • 南国そだち ‐ 高知県の早場米新品種
  • 銀河のしずく ‐ 岩手県の新品種
  • 東北194号(ささ結・いくよちゃん) ‐ 岩手県の新品種
用語の所属
イネ科
関連する用語
ジャポニカ米
インディカ米
ジャバニカ米

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