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稲の品種の一つ。遂にコシヒカリを超える味の米が登場したとして、注目が集まっている。
1998(平成10)年から山形県立農業試験場庄内支場(現 山形県農業総合研究センター農業生産技術試験場庄内支場)において育成された稲の品種である。
2010(平成22)年10月に発売されて以来、山形県などで人気が高まっている品種で、全国的に販売されている。
母本はキヌヒカリ由来、父本はひとめぼれ由来で、いずれもコシヒカリ系の米である。
母本「山形70号」の父本「キヌヒカリ」は、短稈で耐倒伏性も強く、食味も優良でありながら広域適応性も持つ極早生品種である。温暖地を中心に普及したが、いもち病などに弱く栽培が難しかった。
父本「東北164号」の父本の「ひとめぼれ」は、ササニシキに代わって普及した品種で、コシヒカリから耐冷性を引き継いだ冷害に強い品種だが、稲熱病(いもち病)などには弱い弱点があった。
両系統を掛け合わせたこの品種は、父本の母本「味こだま」などからいもち病耐性を引き継ぎ、また障害型耐冷性も中程度を持つ、栽培しやすい品種となった。
出穂期は7月下旬から8月上旬、成熟期は9月下旬。共にコシヒカリ並で、育成地では「晩生」に属している。
稈長は「コシヒカリ」より「短稈」で、耐倒伏性は「コシヒカリ」より強い「やや強」である。
稲熱病(いもち病)耐性は、葉いもち抵抗性は「強」、穂いもち抵抗性は不明。稲いもち病真性抵抗性遺伝子は「Pii,Pik」と推定される。
障害型耐冷性、穂発芽性は、共に「中」である。
米の粒大は「コシヒカリ」と同じ22g程度。収量性は「コシヒカリ」より高い。
外観は、光沢があり、白未熟粒(白濁米)が少ないことから、「コシヒカリ」を上回る。また、食味も「コシヒカリ」より良い。
栽培適地は、山形県内では平坦部から南東北地域以南。
「つや姫」の名は公募から選ばれ、2009(平成21)年2月23日に決定した。
名称はメールや葉書で募集され、最終3候補に絞られたあと、選考されたという。報道によれば、最終3候補に残った名前は、「山形97号」(4621票)、「出羽穂の香」(4060票)、「つや姫」(3285票)とのことである。
「山形97号」の愛称を募集しているのに1位が「山形97号」というのは県民の本気を感じないが、ここまで美味い米になるとは、当時は誰も予想していなかったのだろう。
山形97号は論外として、二つのうち、シンプルな名前として「つや姫」が選ばれたものと思われる。
栽培範囲は不明だが、寒冷地向けの品種と推定される。
山形県から始まり、宮城県など産地は増加傾向にある。また、島根県など若干温暖な地域でも栽培されつつある。
コシヒカリより高価なブランド米であったが、産地が増えるにつれ価格は下落傾向にある。
吉村美栄子 山形県知事を本部長とする、「山形つや姫ブランド化戦略推進本部」は、毎月28日を「つや姫の日」に制定した。
つ=two=2、や=8、を由来とする。
第一回「つや姫の日」は2012(平成24)年10月28日で、山形県内のほか、東京都の銀座にある山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」などでPRが実施された。
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