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パソコンなどでCD-DA(音楽CD)の再生やコピーを不可能にするため、CD-DAの規格にわざと反して「エラーのあるデータ」を記録した、CD風の銀盤の総称。銀色円盤。
規格上CDとして認められないが、一般には「CCCD」と呼ばれている。正式名称が長いことから、本項でも以下CCCDとする。
CCCDは、CDという名は付いているが、実際にはCDではない。コピー防止信号が入っているわけではなく、データが暗号化されているわけでもない。むろん、新規格のCDでもない。
CDの規格外なので本来CDと名乗れないはずの代物である。当初はコピープロテクトCDとも呼ばれたが、必ずしもコピー防止にはなっていないためavexと日本レコード協会(RIAJ)が妙な名称をひねり出した。ここで実現される機能はコピーコントロール機能と呼ばれる。
強引に「CD」という名にこだわったのは、再販制度が適用されるようにするためと考えられている(例えば、DVDは再販制度がない)。
CCCDはCD-DA(音楽CD)ではないため、CDプレイヤーで再生できる保証は全くない。
レコード会社やRIAJは「普通のCDプレイヤー」で再生可能と主張した。しかしこれでは、変なディスクが再生できないCDプレイヤーは異常ということになってしまう。対してCDプレイヤーの各メーカーは、CCCDの再生保証をしないことを表明した。
実際には、再生できるプレイヤーは一定以上存在した。が、仮に再生できても音声情報に傷がついているようなものなので、音質は確実に低下すると考えられ、実際に悪くなったと感じる人は少なくなかった。また、フェイクTOC(偽の管理情報)はCDプレイヤーのピックアップを酷使させるため装置の寿命を縮め、時にプレイヤーを破壊し問題となった。
パソコン、カーステレオ、DVDプレイヤー、一部のCDデッキ等では再生すらできなかった。高級なCDプレイヤーほど再生できないケースが多かったようである。つまり、売り上げ低下に喘ぐレコード会社とRIAJらが、自ら貴重なユーザーを切り捨てたわけである。
しかも、消費者が再生不能であることを後から知っても、レコード会社は返品・返金に応じず、本来レコード会社が実施しなければならない再生保証の責任を消費者に転嫁した。
avexとRIAJ(日本レコード協会)の主張では、CDが売れない理由はコピーなので、コピーコントロールCD(以下CCCD)を発売することにしたと主張していた。
しかし、実際にはCDが売れなくなった真の理由は定かではない。コピーも原因の一つであったかもしれないが、それのみが原因とは言い切れない。製品の品質や不況などは、より大きな原因であった可能性がある。
そして、数々の問題を抱えていながら、日本のレコード会社の多くがCCCDを発売した。
avexによると「消費者の間で大きな混乱はありません」、「深刻な問題が発生したケースは現在のところありません」、「お客様のご理解も得られつつあるのではないかと判断しております」とのことである。一方、実際には一部のCDデッキ等では再生できない等の問題が生じていた。
この円盤の技術的問題は、CDドライブによっては普通にリッピング可能なため、肝心の目的が全く達されていないことである。
優良な消費者には迷惑以外の何物でもなく、レコード会社は消費者の反発を受けて信用をなくして結果的に自分の首を絞めることになり、役立たずのコピーガードではアーティストの利益を守れず、そして違法コピーをする者たちは痛くも痒くもない。これではどうしようもない。
これ以降に発売されたパソコン用CD-ROMドライブの殆ど全てでCCCDへの対策が行なわれたため(但し、あくまでも再生保証はしていない)、レコード会社がCCCDを出し続ける意味は無くなってしまった。
それに対抗して更なるプロテクトの強化をすると、一般のプレイヤーでも再生出来なくなる事故が増えるため、レコード会社はこれ以上対策を取ることができなくなった。
そもそも、なぜ日本のレコード業界がかくも不可思議な行動に出たかというと、その考え方が世界基準からして極めて特殊だからである。
これを理解しないと、CCCDがなぜ産まれたかの真の意図は理解できない。
ここでは、一つの説を紹介する。
例えば、ポールマッカートニーのマイラブというCDを買ったとする。
世界の常識では、マイラブという「曲を聞く権利」を買ったのだから、私的利用の範囲内なら、その曲をCDから取り出し、iPodに入れて聞こうが、HDDに入れてパソコンで聞こうが、それは買った人の自由である。
しかし日本では違う。
日本で売っているのは、その「曲の入った板」に過ぎない。CDという「物」を売っているだけで、ユーザーはCDという物に金を払っただけ、と考える。
つまり日本のレコード業界は、「曲を聞く権利」などは最初から売っていない、と考えているわけである。CDを買っても、それを好きに聞く権利はない。
ソニーのレーベルゲートCDなどを見ると考え方がよく分かるが、ディスクを購入してもそれはディスク代に過ぎないのである。ここに格納されているATRAC3ファイルをパソコンのハードディスクに取り込むのは有料なのであり、ネットワーク経由の認証が必要である。
「曲を聞く権利」を売っていないというのは、こういう事なのである。
かくして日本のレコード業界は、買ったCDを録音編集して聞くためには、別料金を払え、という立場をとっている。
当然、CDからテープやMDなどに録音し、または携帯音楽プレイヤーで聞くためには別途料金を払え、と考えているようである。もって、アナログ録音時代は別途料金を取っていなかったため現状据え置きとしながら、MDや音楽用CD-R等、ディジタルの媒体については私的録音録画補償金と呼ばれる額が加算されるようになった。
パソコンのHDDにはこのようなものは無いが、JASRACらは、これにも私的録音録画補償金を加算するべきだと強く主張している。
このように日本のレコード業界は、世界でもかなり浮いた存在となっているのである。
結果として音楽の売り上げは回復しなかった。
消費者のみならずアーティスト達からも疑問の声が上がり始めたため、2004(平成16)年夏頃からavexはCCCDで販売するかどうかの判断をアーティストの意向に任せるようになった。
加えて、CDマークのついていないCCCDは「CDではない」ので、CDにある再販制度は、CCCDには本来適用されないのではないか?という意見が政府関係筋から出され、再販制度を外されると痛いレコード業界はしぶしぶCCCDをやめる方向に向かった、という噂もあるが真偽は不明。
CCCDは売れなかった。売れるわけもなかった。従って現在、新作でCCCDとするものはまず無いが、それでも発売されてしまったCCCDは今も国内で流通している。
例えば、CDを発明したソニーさえも、CCCDに力を入れた。このCCCDはレーベルゲートCDと呼ばれ、仕様は一般的なCCCDだが、パソコンではパソコン用プレイヤーを利用すると、FMラジオ並の低音質で曲を再生できる。
特に米SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENTの製品は、パソコン用のプレイヤーがXCPと呼ばれるrootkitで、トロイの木馬型スパイウェアになっており、大問題となった。次々と訴訟を起こされ、遂にCCCDは断念せざるをえなくなる。
最初のレーベルゲートCDは発売早々問題発覚で早期終了、ネットワーク認証は2006(平成18)年12月をもって終了した。
そして2003(平成15)年11月に登場したレーベルゲートCD2も2004(平成16)年11月には発売終了となり、このネットワーク認証も2008(平成20)年3月31日をもって終了した。
いずれにせよ結果として、CCCDの販売は事実上なくなってしまった。
音楽業界は現在、CDなどの媒体を再販制度の下で売る、という体制からの、大きな方向転換を迫られているところである。自業自得ではあるが、これら問題は、CCCDの頃から始まったと考えられる。
実際には、CDという媒体自体は一定の需要がある。コミックや書籍が今も本という形で残っているように、音楽も物理的な「何か」が手元に存在する方が安心感が高い。この販売の形態は今後も続くと考えられているが、しかし欧米と比べ現状の日本の音楽流通はコストが高すぎ、CDにしても価格が高すぎるのが問題だと考えられる。
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