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音声圧縮の標準規格の一つ。MPEG-1 Audio レイヤーⅢ。および、この技術で作られた音楽ファイルのこと。
MPEG-1 Audio(ISO/IEC 11172-3)やMPEG Audioと呼ばれているMPEG-1の音声領域についての規定で、2チャンネルまでのステレオを扱うことが可能。
MPEG-1 AudioにはレイヤーⅠ・Ⅱ・Ⅲという三つの規定があり、そのうち最も高音質な規定が、このレイヤーⅢである。
なお、MPEG-2でも「MPEG-2 AudioBC」という名でほぼ同様のものが定義されている。
mp3は非可逆圧縮であり、圧縮後のビットレートを32kbpsから320kbpsの間で指定することが可能である。
高音質が必要な場合は高ビットレート(128K〜320Kbps程度)で、データのサイズ縮小が必要なときには低ビットレート(96Kbps以下)でと、用途によって使い分けることができる。
また、データ中のビットレートを情報量に合わせて随時変化させる可変ビットレート(VBR)に対応したエンコーダーやプレイヤーもある。
他に、ジョイントステレオを用いて同一ビットレートでより高い音質を実現するものもある。
なお、圧縮時の情報削除の方法については厳密な規定は無く、エンコードエンジンのアルゴリズムによって音質にかなりのばらつきがある。音質を重視したもののほか、音質を妥協する代わりに高速性を求めたエンジンもある。
政治的事情などがない限りはmp3に対応していない音楽プレイヤーは存在しないほどに普及している。
かつてはプレイヤーの対応状況や、メモリーやディスクの容量的な問題などから、128kbps、44100Hz、ステレオが標準的に使われており、これでCD相当、またはCDクオリティの音質だとアナウンスしていることが多かった。
しかし実際にはCDと比べるとかなりの音質劣化があり、きちんとした環境であれば音楽の素人でも十分に違いが分かる程度に差がある。
最近ではエンコーダーの品質も上がり、160kbps以上のビットレートが採用されることでそのような問題も少なくなったが、最新のエンコーダーの320kbpsでも音質劣化が大きいと主張する人もいる。これはmp3の基本技術の誕生が1989(平成元)年頃と古いため、致し方がない部分もある。
音楽をネットワーク上で扱う音声フォーマットとして、最も初期に登場した。
1990年代初頭にはすでに規格として出来上がっていたが、当時はまだまだ音声圧縮の技術もコンピューターの処理能力や容量が十分でなかったため、一般に広く使われることはなかった。
しかし、1998(平成10)年にWinampが登場してからmp3フィーバーが始まった。
この頃、パソコン処理能力の向上とネットワーク技術の発達により、mp3をネットワーク上で手軽に利用できる環境が整った。これ以降、携帯型mp3プレイヤーのさきがけとなったRio PMP300、mp3エンコーダーのLAME、ファイル交換ソフトのNapster、またmp3より更に高性能な全く新しい音声圧縮規格、著作権保護機能の試みなどが次から次へと登場し、誰もがネットワーク経由でのディジタル音楽配信が現実化するだろうと思ったに違いない。
ところが、肝心の音楽業界はこれを既得権益の消失の可能性があると思い込み、mp3関連企業やコミュニティーに対して裁判を起こし、ネットワークにより音楽配信についての一切を無視するという態度を取った。
これは、mp3には著作権保護機能がないため幾らでもコピー可能で、このことによる海賊行為を極度に恐れ、実際にその被害からネットワーク配信にアレルギーを持ち、またパッケージ販売でないと業界の粗利益が低下するといった理由があった。
しかし、結果としてネットワークでの音楽配信の流れを止めることはできなかった。
本格的な音楽配信は2003(平成15)年からApple Computer(現Apple)のiTunesサービス(これはmp3を配信するサービスではない)まで待たなければならない。5年近く不毛な著作権闘争を続けたツケは重く、アメリカの大手レーベルはAppleに音楽を超薄利で売ることを余儀なくされたのである。
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