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著作権法に規定されている、私的な録音・録画に課せられる額。
著作権法第三十条では、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とし、使用者本人が複製する場合は私的使用のための複製が認められている。
それでも一部の記録媒体を使って複製する場合は著作権者に対し補償金を支払う義務がある。この補償金を俗に、私的録音録画補償金という。
著作権法に、定義がある。
第三十条
2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
額については定義はない。機器の定義については全て政令に任されている。
現状は、複製の事実を報告して払うのではない。
複製する行為ではなく、記録媒体の購入に対して課されるため、たとえ複製する本人が著作権を保持している著作物だとしても支払いを余儀なくされる。
なお、本人が著作権を保持していると証明さえできれば記録媒体に含まれる補償金の返還はしてもらえるが、煩雑な申請でむしろ赤字になるため、そのような人は殆どいない。ちなみに以前使われていたミニディスク(MD)は1枚50円程度とかなり高額であった。
対象となる記録媒体は、放送業務用などを除くディジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器である。
但し、録音機能付きの電話機や、その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものは除外される。
補償金を受けられるのは、私的録音録画補償金を受ける権利を有する者(権利者)のためにその権利を行使することを目的とする団体に限られる。
そもそも、使用した曲や映像などを申告するわけではなく、媒体に無条件に課金されていることからも分かるように、最初から権利者に分配する気など無いのである。
つまり、あくあでも利権団体を潤すための存在に過ぎず、著作権者に還元され次なる創作のための資金になるわけではない。一個人が著作権者として補償金を受けることはできないため、極めて不公平な制度といえる。
東芝は、ディジタル専用DVDレコーダーは、私的録画補償金を払う必要がないと判断した。
この補償金制度は元々、ディジタル媒体を利用したレコーダーはデータの劣化なくコピーができるため、その分を補償金として著作権者に支払う、という建前の制度だった。だがそれはコピープロテクトのない時代の話であり、今やディジタル専用機はコピープロテクトが掛けられるため、補償金は不要であると判断した。
コピーできないものに補償金は要らないはずとして東芝は支払いを拒否、何でもいいから我ら利権団体の私腹を肥やすために補償金を払えと裁判に訴えたのが私的録画補償金管理協会(SARVH)という利権団体であった。
一審の地裁判決は、ディジタル専用レコーダーは補償金支払いの対象となるが、実際の支払いは東芝・SARVH間の「協力」規定にすぎず法的義務ではない、とした。一応、東芝の勝訴ということになっており、SARVHは控訴した。
二審の知財高裁では、そもそもディジタル専用であれば補償金支払いの対象にならない、という、東芝および一般日本国民の完全勝訴、SARVH完敗の判決となった。
これにSARVHは発狂し上告するも、2012(平成24)年11月9日、最高裁はSARVHの上告を棄却、東芝勝訴とした一審、二審判決が確定した。
一審で諦めておけば傷も軽かったのに、欲を出しすぎて失敗した一例とも言えよう。
コピー制限の強化は、こういった日本の利権団体含めた自称権利者団体の要請による。そして、コピー制限を強化すればもっと儲かると思ったところ、逆に支払いが減ったという一件である。
プロテクトガチガチは日本だけで、著作権に煩いディズニーがいるアメリカですら、HD放送をコピーフリーで放送中なのである。
ユーザーを不便にして、自分たちの収入も減らす。欲をかきすぎた愚か者の話として、これは後世まで語り継がれるべきである。
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