AX

読み:エイエックス
外語:AX: the Architecture eXtended 英語
品詞:名詞

PC/AT互換機日本語機能を追加したパーソナルコンピューター

目次

元々は1986(昭和61)年にアスキーMicrosoftが提唱した規格で、コンピューター企業が参加したAX協議会が推進した。

目的は、同時はPC市場をほぼ独占していたPC-9800シリーズを打倒し、既に日本以外では標準だったPC/AT互換機を日本でも売ろう、というものである。

DOS/Vとの違い

DOS/Vの前身とも言えるが、DOS/Vとの大きな差異はAX機が漢字表示機能をハードウェアで搭載する点にある。漢字ROMを搭載し、ハードウェアで漢字表示の機能を実装した。

英語版アプリケーションソフトを日本向けにする場合、他機種への移植は困難だが、日本語化だけなら移植ほど困難ではない。

そこでAX開発当時は、日本語キーボードと漢字表示機能さえ実現できれば、PC/ATからの移植ソフトウェアも多いPC-9801に、充分対抗できるだろうと考えられた。

ハードウェア

表示機能は、当時主流だったEGA(640×350)のテクストVRAMを日本語対応させたJEGAを採用した。

しかし、このままではPC-9801に解像度で劣るため、実際はChips&Technologies製のスーパーEGA(640×480)P82C435と、アスキーのJEGAチップV6367を組み合わせて使用した。

漢字

PC-9801への対抗機だったAXは、搭載した漢字ROMの文字集合もPC-9801に近かった。

より正確には、古いEPSON PCに近いものであり、次のような特徴がある。

NEC特殊文字はシフトJISにして8740〜879Cの範囲内にある記号類である。AXの当時、「時代は昭和」であったため、当時のPC-9801やEPSON PCと同様、まだ877Eに「㍻」の字がないのが時代を反映した特徴といえる。

結末

普及失敗

こうして登場したAXであったが、普及することはなかった。

大きな理由は二つあり、一つは価格が高かったことである。JEGAチップ自体が高かったこともあり、世界で普及するPC/AT互換機でありながら、機器の価格が高かった。そしてもう一つの理由はPC-9801のソフトウェア資産の厚い壁をAXが破れなかったことである。PC-9801ユーザーからしてみれば、高く、しかもソフトもないAXにわざわざ乗り換えるメリットは全く無かったのである。

ハードウェアの問題

ハードウェア面でも問題を抱えていた。

AX協議会発足時点で既に、現在でも標準として使われるVGAが登場していたが、当時VGAは登場したばかりだったことから、AXではEGAが採用された。結局はこの選択が失敗だった。

ハードウェアで日本語表示を実現させたAXは、JEGAというハードウェアに縛られることとなり、最後までJEGAを捨ててVGAへ移行することが出来なかった。このためVGA→SVGAという時代の流れに取り残され、やがてソフトウェアで日本語表示を実現したDOS/Vが登場すると、その歴史的役目を終えることとなったのである。

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