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かつて日本で使われていた太陰太陽暦の暦法の一つで、そのうち最後まで使われていた太陰太陽暦の暦法。支那にもかつて天保暦という同名の暦法が存在したが、それとは異なる。
太陰太陽暦として最後に定められ、太陽暦に改暦されるまで使われていた。これにより、太陽暦が新暦、太陰太陽暦の天保暦が旧暦と呼ばれるようになった。
ただ日本の風習は旧暦が前提となっているものも多くあるため、この暦法は、公的なものではないが今も使われている。
天保暦が定められるより前、寛政暦までは二十四節気を1年間を24等分する平気法が用いられていた。天保暦ではそれを変更し、太陽の視黄経が15度の倍数になる瞬間をもって二十四節気を定める定気法(実気法)とした。
これは、地球は太陽の周りを公転しているがその距離は常に一定なわけではなく、公転軌道は楕円形であるため地球は太陽から離れたり近づいたりする。そして、近日点を通る時は公転速度は速く、逆に遠日点を通る頃は公転速度は遅くなっている。
このため二十四節気を単純に1年間を24等分しただけの場合は実際の季節とずれが生じるため、これを地球に公転にあわせて調整したものが天保暦ということである。
具体的には、現時点において、地球が近日点を通る頃は日本は冬となり、逆に遠日点を通る頃は日本は夏である。従って冬の間は中気の間隔は短くなり、夏の間はの中気の間隔は長くなるというように、変動する。
中気の間隔が短くなる冬季は一つの月の中に中気が二つ入ってしまい、月が定められなくなる事態が生じる。
そこで天保暦は、基本的なルールを二つ定めた。
天保暦よりも先に定気法を採用した支那の時憲暦の場合、冬至を含む月から次に冬至を含む月までに13ヶ月ある場合は中気が入らない最初の月を閏月とする、と定めるだけなので、それと比較するとかなり複雑な暦法である。
太陰暦と太陽暦のずれにより、2〜3年に1回、中気のない月が出てくる。そこで、この中気のない月に閏月を置き、その年を13ヶ月とすることにより、季節のずれが補正される。
例えばある年の五月の翌月に中気が無い場合、その月は六月ではなく、閏五月となる。
二十四節気一覧表は次の通りである(太陽暦日は定気法による)。
節月 | 節気 | 中気 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
黄経° | 太陽暦日 | 黄経° | 太陽暦日 | |||||
春 | 一月 | 睦月 | 立春 | 315 | 2月4日 | 雨水 | 330 | 2月19日 |
二月 | 如月 | 啓蟄 | 345 | 3月6日 | 春分 | 0 | 3月21日 | |
三月 | 弥生 | 清明 | 15 | 4月5日 | 穀雨 | 30 | 4月20日 | |
夏 | 四月 | 卯月 | 立夏 | 45 | 5月5日 | 小満 | 60 | 5月21日 |
五月 | 皐月 | 芒種 | 75 | 6月6日 | 夏至 | 90 | 6月21日 | |
六月 | 水無月 | 小暑 | 105 | 7月7日 | 大暑 | 120 | 7月23日 | |
秋 | 七月 | 文月 | 立秋 | 135 | 8月7日 | 処暑 | 150 | 8月23日 |
八月 | 葉月 | 白露 | 165 | 9月8日 | 秋分 | 180 | 9月23日 | |
九月 | 長月 | 寒露 | 195 | 10月8日 | 霜降 | 210 | 10月23日 | |
冬 | 十月 | 神無月 | 立冬 | 225 | 11月7日 | 小雪 | 240 | 11月22日 |
十一月 | 霜月 | 大雪 | 255 | 12月7日 | 冬至 | 270 | 12月22日 | |
十二月 | 師走 | 小寒 | 285 | 1月5日 | 大寒 | 300 | 1月20日 |
長く使われているが、天保暦の方法で最初に破綻するのはグレゴリオ歴で2033(令和15)年秋から2034(令和16)年春にかけての1年間である(→旧暦2033年問題)。
この年は、中気が二つ入る月が2つ、中気の入らない月が3つも存在するため、「冬至は11月、春分は2月、夏至は5月、秋分は8月」というルールを維持する場合、月を定めることができない。
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