1族のアルカリ金属に属する銀白色の金属元素。
一般情報
原子情報
- 原子量: 39.0983(1)
- 電子配置:
- 1s2、2s2、2p6、3s2、3p6、4s1
- [Ar]4s1
- 電子殻: 2、8、8、1
- 原子価: 1
- 酸化数: 0、+1
物理特性
- 相: 固体
- 融点: 63.2℃(ICSC)
- 沸点: 765.5℃(ICSC)
- CAS番号: 7440-09-7
- ICSC番号: 0716
質量数は、32から56までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は二つある。
同位体核種 | 天然存在比 | 半減期 | 崩壊 | 崩壊後生成物 |
32K | ‐ | | 陽子放射 | 31Ar |
32mK | ‐ | | | |
33K | ‐ | | 陽子放射 | 32Ar |
34K | ‐ | | 陽子放射 | 33Ar |
35K | ‐ | | β+崩壊 | 35Ar |
36K | ‐ | | β+崩壊 | 36Ar |
37K | ‐ | | β+崩壊 | 37Ar |
38K | ‐ | | β+崩壊 | 38Ar |
38m1K | ‐ | | | |
38m2K | ‐ | | | |
39K | 93.2581% | 安定核種(中性子数20) |
40 K | 0.0117% | 12.7億年 | β−崩壊 | 40Ca |
EC崩壊 | 40Ar |
β+崩壊 | 40Ar |
40mK | ‐ | | | |
41K | 6.7302% | 安定核種(中性子数22) |
42K | ‐ | 12.36時 | β−崩壊 | 42Ca |
43K | ‐ | 22.3時 | β−崩壊 | 43Ca |
44K | ‐ | | β−崩壊 | 44Ca |
45K | ‐ | | β−崩壊 | 45Ca |
46K | ‐ | | β−崩壊 | 46Ca |
47K | ‐ | | β−崩壊 | 47Ca |
48K | ‐ | | β−崩壊 | 48Ca |
49K | ‐ | | β−崩壊 | 49Ca |
50K | ‐ | | β−崩壊 | 50Ca |
51K | ‐ | | β−崩壊 | 51Ca |
52K | ‐ | | β−崩壊 | 52Ca |
53K | ‐ | | β−崩壊 | 53Ca |
54K | ‐ | | β−崩壊 | 54Ca |
55K | ‐ | | β−崩壊 | 55Ca |
56K | ‐ | | β−崩壊 | 56Ca |
安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。
空気中では瞬時に酸化する。
水と激しく反応して水素ガスを発生するため発火、爆発の危険がある。水に触れてはならないため、保管は常に鉱油中にて行なう。
水や二酸化炭素など一般的な消化剤と激しく反応するため、万一出火した場合でも水や二酸化炭素を用いてはならない。カリウムが存在する場合には、消防にその旨を伝えるべきである。
必須元素
カリウムは必須ミネラルの一つで、日本では概ね成人で2000mgを摂るべきとされる。
代謝、浸透圧や血液pH、血圧の維持、神経刺激の伝達、電位差の維持、水分保持など、体内では様々に使われている。
過剰摂取は危険
いわゆる「にがり」(塩化カリウム)などで簡単に摂取できる。
だが、カリウムは多すぎると心臓の働きを止めてしまうため、適量の摂取が必要である。
血管に注射すると、高カリウム血症で心停止を招き死亡する。薬殺などで使われる。
カリウムは、宇宙において、より軽い元素から中性子捕獲によって生成されると考えられている。通常の核融合の経路にはないことから、恒星が超新星爆発する際のr過程にて合成されると考えられている。
地球で天然に産出するものは39K(93.3%)、40K(0.0117%)、41K(6.7%)の3同位体で、うち40Kは半減期12.7億年の放射性同位体である。
太陽と地球は約46億年前に誕生しているが、超新星爆発で生成された40Kはこの時に地球に取り込まれ、以降、12.7億年の半減期で量を減らしながらも、今も自然界に存在しているということになる。
- 毒物及び劇物取締法(別表第二)
- 消防法(危険物の規制に関する政令)
- 危険物 第三類(自然発火性物質) (金属カリウム)
- 引火点: (該当資料なし)
- 発火点: (該当資料なし)
- 爆発限界: (該当資料なし)
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
- 規制値
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
1807(文化4)年にイギリスのハンフリー・デービーによって発見された。
英語名Potassiumはデービーが命名した。由来は諸説あり、英語の海藻の灰potash、またはpot(鉄製のつぼ)+ashes(木の灰)からできたとされる。
ラテン語名Kaliumは1809(文化6)年にギルバート(Ludwig Wilhelm Gilbert)が命名した。これは、木炭から取れることから、アラビア語の灰(al-qali)から命名されたと言われている。
原子炉の冷却材などとして使われている。
- 亜硝酸カリウム (KNO2) (7758-09-0)
- アスパラギン酸カリウム
- アセスルファムカリウム (C4H4KNO4S) (55589-62-3) 人工甘味料
- 塩化カリウム (KCl) (7447-40-7) にがり
- 塩素酸カリウム (KClO3) (3811-04-9) 酸化剤
- 過塩素酸カリウム (KClO4) (7778-74-7)
- 過マンガン酸カリウム (KMnO4) (7722-64-7) 酸化剤
- グリチルリチン酸ジカリウム (C42H60K2O16) (68797-35-3) 抗炎症剤
- クロム(VI)酸カリウム (K2CrO4) (7789-00-6)
- シアン化カリウム (KCN) (151-50-8) メッキ
- 重クロム酸カリウム (K2Cr2O7) (7778-50-9)
- 硝酸カリウム (KNO3) (7757-79-1) 発色剤
- 水酸化カリウム (KOH) (1310-58-3) 洗浄剤
- 炭酸カリウム (KCO3) (584-08-7) 鹹水
- ラウリン酸カリウム (CH3(CH2)10COOK) (10124-65-9) 石鹸材料
- ワルファリンカリウム (C19H15KO4) 血液凝固阻止剤
18 アルゴン ‐ 19 カリウム ‐ 20 カルシウム
関連するリンク
ICSC 国際化学物質安全性カード用語の所属
元素
典型金属元素
アルカリ金属
関連する用語
過分極
脱分極