銀灰色の金属元素の一つで、重金属。
一般情報
原子情報
- 原子量: 121.760(1)
- 電子配置:
- 1s2、2s2、2p6、3s2、3p6、3d10、4s2、4p6、4d10、5s2、5p3
- [Kr]4d10、5s2、5p3
- 原子価: 3、5
- 酸化数: −3、0、+3、+5
物理特性
- 相: 固体
- 融点: 630℃(ICSC)
- 沸点: 1635℃(ICSC)
- 比重: 6.7 (水=1)
- CAS番号: 7440-36-0
- ICSC番号: 0775
質量数は、103から140までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は二つある。
同位体核種 | 天然存在比 | 半減期 | 崩壊 | 崩壊後生成物 |
103Sb | | | β+崩壊 | 103Sn |
104Sb | | | β+崩壊 | 104Sn |
陽子放射 | 103Sn |
105Sb | | | β+崩壊 | 105Sn |
106Sb | | | β+崩壊 | 106Sn |
107Sb | | | β+崩壊 | 107Sn |
108Sb | | | β+崩壊 | 108Sn |
109Sb | | | β+崩壊 | 109Sn |
110Sb | | | β+崩壊 | 110Sn |
111Sb | | | β+崩壊 | 111Sn |
112Sb | | | β+崩壊 | 112Sn |
113Sb | | | β+崩壊 | 113Sn |
114Sb | | | β+崩壊 | 114Sn |
115Sb | ‐ | | β+崩壊 | 115Sn |
116Sb | ‐ | | β+崩壊 | 116Sn |
116mSb | | | | |
117Sb | ‐ | | β+崩壊 | 117Sn |
118Sb | ‐ | | β+崩壊 | 118Sn |
118mSb | ‐ | | | |
119Sb | ‐ | 1.59日 | EC崩壊 | 119Sn |
119mSb | ‐ | | | |
120Sb | ‐ | 0.265時 | β+崩壊 | 120Sn |
120mSb | ‐ | 5.76日 | β+崩壊 | 120Sn |
121Sb | 57.21% | 安定核種(中性子数70) |
122Sb | ‐ | 2.7238日 | β−崩壊 | 122Te |
EC崩壊 | 122Sn |
β+崩壊 | 122Sn |
122mSb | ‐ | | | |
123Sb | 42.79% | 安定核種(中性子数72) |
124Sb | ‐ | 60.20日 | β−崩壊 | 124Te |
124m1Sb | ‐ | 93秒 | | |
124m2Sb | ‐ | 20.2分 | | |
125Sb | ‐ | 2.7582年 | β−崩壊 | 125mTe |
126Sb | ‐ | 12.46日 | β−崩壊 | 126Te |
126mSb | ‐ | | | |
127Sb | ‐ | 3.85日 | β−崩壊 | 127mTe |
128Sb | ‐ | 9.01時 | β−崩壊 | 128Te |
128mSb | ‐ | 0.173時 | | |
129Sb | ‐ | | β−崩壊 | 129mTe |
130Sb | ‐ | | β−崩壊 | 130Te |
131Sb | ‐ | | β−崩壊 | 131mTe |
132Sb | ‐ | | β−崩壊 | 132Te |
133Sb | ‐ | | β−崩壊 | 133mTe |
134Sb | ‐ | | β−崩壊 | 134Te |
135Sb | ‐ | | β−崩壊 | 135Te |
136Sb | ‐ | | β−崩壊 | 136Te |
137Sb | ‐ | | β−崩壊 | 137Te |
138Sb | ‐ | | β−崩壊 | 138Te |
139Sb | ‐ | | β−崩壊 | 139Te |
140Sb | ‐ | | β−崩壊 | 140Te |
安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。
脆い。活字、繊維を燃えにくくする難燃剤、半導体など、幅広く使われているが、有毒である。
鉛や錫と混合したものが充電池の電極として使われたが、常温で有毒気体SbH3を発生させてしまうため危険。また、SbCsは光電子増倍管のダイノード材料として使われている。
アンチモンは希少金属(レアメタル)で、中でも特に存在量が少ない(存在度1ppm以下)超希少元素である。
日本では、その95%以上を支那からの輸入に頼っている。廉価だからである。
但し、日本にも鉱床はある。
2011(平成23)年、岡山大や東京大などのグループが、鹿児島湾の海底でアンチモンの鉱床を発見したと発表した。アンチモンは毒性が強く、採掘時には海洋汚染が生じる恐れがあるため簡単には採掘できないが、日本にもこういった資源は存在している。
具体的な場所は、鹿児島湾内にある活火山、若尊(わかみこ)カルデラで、約2万5千年前に大噴火した姶良(あいら)カルデラの主要火口である。
鉱床は水深約200mの海底にあり、厚さ5m、直径1.5kmの円状に広がっているとされる。エックス線調査では含有量が平均約6%で、全量は約90万トンとされる。2010(平成22)年の国内販売量は約5千トンであるため、180年分が賄える計算。そのまま掘ると海水中にアンチモンが拡散し、魚介類に蓄積して人体に害を及ぼす恐れがある。海洋汚染を防ぎつつ採掘する技術があれば、自給が可能になる。
2011(平成23)年10月21日、鹿児島県・奄美大島の西北西約50km、深さ約480mの海底で、アンチモンを多く含む鉱石を、熊本大大学院の横瀬久芳准教授(海洋火山学)らが発見した。
この鉱石は「海底熱水鉱床」の存在を示すとみられており、同教授は(従来の認識より)浅い海底にも優良金属の鉱床が存在する可能性を指摘した。
- 引火点: (該当資料なし)
- 発火点: (該当資料なし)
- 爆発限界: (該当資料なし)
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: 陽性、砒素より慢性毒性が強いとされる。
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
古代より存在が知られており、発見者は明らかでない。クレオパトラが輝安鉱(Sb2S3)の粉末を化粧品、アイシャドーとして使っていた記録がある。
化学名Stibiumは、化粧品を意味するギリシャ語στι'βι(sti'bi)から付けられた。
英語名Antimonyは、同義のアラビア語の<ALEF><NOON><TEH><YEH><MEEM><WAW><NOON>([al-]ithmi^d)のラテン語形に由来するとされている。
- アンチモン酸鉛 (Pb3(SbO4)2)
- 酸化アンチモン(III)、三酸化アンチモン (Sb2O3) (1309-64-4)
- 酸化アンチモン(V)、五酸化アンチモン (Sb2O5) (1314-60-9)
- 弗化アンチモン(III)、三弗化アンチモン (SbF3) (7783-56-4)
- 弗化アンチモン(V)、五弗化アンチモン (SbF5) (7783-70-2)
- 硫化アンチモン(III)、三硫化アンチモン(輝安鉱) (Sb2S3) (1345-04-6)
- 硫化アンチモン(V)、五硫化アンチモン (Sb2S5)
五弗化アンチモンは強力なルイス酸だが、フルオロスルホン酸(FSO3H)との1:1混合物は「マジック酸」(magic acid)とも呼ばれる超酸で、この酸度関数H0=−19は知られるうちでは最強である。
50 錫 ‐ 51 アンチモン ‐ 52 テルル
関連するリンク
ICSC 国際化学物質安全性カード用語の所属
元素
希少金属
典型金属元素
半金属元素
窒素族
プニクトゲン
重金属
SB
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ピペラジン