銀白色の金属元素の一つ。
一般情報
原子情報
- 原子量: 114.818(3)
- 電子配置:
- 1s2、2s2、2p6、3s2、3p6、3d10、4s2、4p6、4d10、5s2、5p1
- [Kr]4d10、5s2、5p1
- 原子価: 1、2、3
- 酸化数: 0、+1、+2、+3
物理特性
- 相: 固体
- 融点: 156.6℃(ICSC)
- 沸点: 2000℃(ICSC)
- CAS番号: 7440-74-6
- ICSC番号: 1293
質量数は、97から135までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は一つのみ。
インジウムの大半は115Inだが、これは長寿命放射性同位体で、半減期は600兆年とも441兆年とも言われる。
同位体核種 | 天然存在比 | 半減期 | 崩壊 | 崩壊後生成物 |
97In | | | | |
98In | | | β+崩壊 | 98Cd |
99In | | | β+崩壊 | 99Cd |
100In | | | β+崩壊 | 100Cd |
101In | | | β+崩壊 | 101Cd |
102In | | | β+崩壊 | 102Cd |
103In | | | β+崩壊 | 103Cd |
104In | | | β+崩壊 | 104Cd |
105In | | | β+崩壊 | 105Cd |
106In | | | β+崩壊 | 106Cd |
107In | ‐ | | β+崩壊 | 107Cd |
108In | ‐ | | β+崩壊 | 108Cd |
108mIn | ‐ | | | |
109In | ‐ | | β+崩壊 | 109Cd |
109mIn | ‐ | | | |
110In | ‐ | 4.90時 | β+崩壊 | 110Cd |
110mIn | ‐ | 1.15時 | | |
111In | ‐ | 2.81日 | EC崩壊 | 111Cd |
111mIn | ‐ | | | |
112In | ‐ | | β+崩壊 | 112Cd |
β−崩壊 | 112Sn |
112mIn | ‐ | | | |
113In | 4.3% | 安定核種(中性子数64) |
113mIn | ‐ | 1.66時 | IT崩壊 | 113In |
EC崩壊 | 113Cd |
114In | ‐ | | β+崩壊 | 114Cd |
114mIn | ‐ | 49.5日 | IT崩壊 | |
EC崩壊 | 114Cd |
115In | 95.7% | >4.41×1014年 | β−崩壊 | 115Sn |
115mIn | ‐ | | | |
116In | ‐ | 13.4秒 | β−崩壊 | 116Sn |
116mIn | ‐ | 54分 | β−崩壊 | 116Sn |
117In | ‐ | | β−崩壊 | 117Sn |
117mIn | ‐ | | | |
118In | ‐ | | β−崩壊 | 118Sn |
119In | ‐ | | β−崩壊 | 119Sn |
119mIn | ‐ | | | |
120In | ‐ | | β−崩壊 | 120Sn |
121In | ‐ | | β−崩壊 | 121Sn |
122In | ‐ | | β−崩壊 | 122Sn |
123In | ‐ | | β−崩壊 | 123Sn |
124In | ‐ | | β−崩壊 | 124Sn |
125In | ‐ | | β−崩壊 | 125Sn |
126In | ‐ | | β−崩壊 | 126Sn |
127In | ‐ | | β−崩壊 | 127Sn |
128In | ‐ | | β−崩壊 | 128Sn |
129In | ‐ | | β−崩壊 | 129Sn |
130In | ‐ | | β−崩壊 | 130Sn |
131In | ‐ | | β−崩壊 | 131Sn |
132In | ‐ | | β−崩壊 | 132Sn |
133In | ‐ | | β−崩壊 | 133Sn |
134In | ‐ | | β−崩壊 | 134Sn |
135In | ‐ | | | |
安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。
半導体材料や易融合金成分として使われる。
インジウムは、質量数115が全体の95.7%と多数を占めるが、これは実は天然の放射性同位体である。つまり、放射能を持っている。
しかしその半減期は600兆年とも441兆年とも言われるほど長く、殆ど安定同位体と変わらないため、その放射性は無視できる。
インジウムは、ほぼ全てが亜鉛等の製錬での副産物として得られているため、その生産は亜鉛の需給・価格に左右される。また地金生産は日本を中心とした極東地域に集中し、なおかつ世界のインジウム需要の8割を日本が占めるという特殊性がある。
かつては日本、北海道の豊羽鉱山が世界最大のインジウム鉱山で、産出した亜鉛精鉱から年間30t程度のインジウムを生産していた。しかし深所になるにつれ高温となり発破に使うダイナマイトがその熱で自然爆発してしまうため使えず、かといって冷却装置などを導入すると価格が折り合わなくなるため無理で、結果として鉱脈自体はさらに深部まであることは確認されているものの現行の採掘技術では採算性を維持したまま採掘できないため2006(平成18)年に閉山された。
世界のインジウム埋蔵量は「ハイテク産業を支える亜鉛製錬副産物 インジウム」(一般社団法人 日本メタル経済研究所)によると次の通りである。
- ペルー 4,700t (15.7%)
- オーストラリア 2,690t (9.0%)
- ボリビア 2,560t (8.5%)
- ロシア 2,300t (7.7%)
- ポルトガル 2,210t (7.4%)
- カナダ 1,860t (6.2%)
- 支那 1,779t (5.9%)
- その他 11,901t (39.7%)
- 合計 30,000t
2008(平成20)年現在の対日インジウム輸出国は1位が南朝鮮(66.1%)、2位が支那(16.7%)、3位がカナダ(11.5%)、4位が台湾(4.9%)となっている。
ただ支那は、他の鉱種と同様に輸出や価格に政治的思惑を含め需給・価格に影響を及ぼしている。
1863(文久3)年にドイツの科学者ライヒと、その助手のリヒターによって発見された。
名前の由来は、炎色反応が藍色だったことから、ラテン語で藍色を意味する「indicum」から命名された。
- インジウム燐 (InP)
- 窒化インジウムガリウム (InGaN)
- 引火点: (該当資料なし)
- 発火点: (該当資料なし)
- 爆発限界: (該当資料なし)
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: 眼、気道を刺激する。
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
48 カドミウム ‐ 49 インジウム ‐ 50 錫
関連するリンク
ICSC 国際化学物質安全性カード用語の所属
元素
希少金属
典型金属元素
IN
関連する用語
発光ダイオード