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IntelとAppleが開発した、汎用の高速I/Oインターフェイス。開発コードネームは「Light Peak」。
元々の仕様は、AppleのMacBook Proで最初に採用された汎用のシリアルバスインターフェイスで、それまでMacBook Proに搭載されていたFireWire 800(IEEE 1394b)ポートから置き換わったものである。
当初のものはMini DisplayPortと同じ20ピンの独自形状のコネクターが採用されていた。
この頃のものは、最大7台までのデイジーチェーン接続と、10Gbps/チャンネル以上の双方向通信が可能な点が利点である。当初のものでも10Gbpsと超高速であるため、Intelによれば、ノートPCに外付けGPUをThunderbolt経由で接続するようなことも可能だった。そしてThunderbolt 2では倍速の20Gbpsとなった。
なお、Thunderbolt 3からは更に倍の40Gbpsになると共にコネクターがUSB Type-Cに変更され、Thunderbolt 4もUSB Type-Cのまま更に倍の80Gbpsに高速化された。
Thunderbolt 3以降はコネクターが変わり、USB 3.0と規格が統合されている。
Thunderbolt 3以降は実質的にUSBであり、Thunderboltケーブルは高級なUSBケーブルとして使用できる。
中でもThunderbolt 4ケーブルは、これを著している時点で安いものでも3000円前後、長いものは1万円弱もするなど高価だがUSB4相当の規格に対応しており、これを著している時点では現行のUSB Type-Cケーブルで可能なほぼあらゆることができる商品である。
これはIntelがThunderbolt 4の説明会でも説明していることであり、Intelが保証している。つまり、Thunderbolt 4ケーブルは高価だがUSBケーブルの代わりに使うことができる、万能高級USBケーブルということになる。
Thunderbolt 1/2のメタルケーブルは、PCI ExpressとDisplayPortの技術を基盤としている。PCI Expressは現在のパーソナルコンピューターの基礎的技術となり様々な高速バスにその技術が応用されており、もう一つの基盤となっているDisplayPort自体もPCI Expressの技術が使われている。Thunderboltは、これら技術を応用した。
10Gbps/チャンネルの速度から開始されたThunderboltは、将来的に1Tbps(1000Gbps)への高速化も視野に入れているとされる。
メタルケーブルでは、高速伝送のための信号補正用チップが組み込まれており、このためケーブル自体が発熱する。
光ファイバーでは、コネクター自体は銅線と同じなのでケーブル内に光部品があり、ケーブル内で光信号と電気信号を変換している。
Thunderbolt 1規格は、レーンあたり10Gbpsの双方向チャンネルを2チャンネル持っている。
1チャンネルで10Gbps、それが双方向通信可能で、さらに2チャンネルあるという、全二重デュアルチャンネルであることから、Thunderbolt 1規格はコネクターあたりの総スループットは最大40Gbpsということになる。
Thunderbolt 2規格は2レーンを集約することで倍速化された。代わりに1チャンネルのみとなっている。
いずれもレーン数は全二重2レーンで共通であり、物理層速度は変わっていないため、既存のケーブルがそのまま利用可能である。
Thunderbolt 3からは、USB Type-Cがコネクターに採用された。USB 3.1用ケーブルでは最大20Gbps、Thunderbolt 3用ケーブルでは最大40Gbpsを可能とし、Thunderbolt 3用ケーブルは銅線のほかに光ファイバーも提供される。銅線は2mまで、光ファイバーは60mまでが可能である。
DisplayPort 1/2は、プロトコルの詳細は定かではないがPCI ExpressタイプとDisplayPortタイプの双方に対応しており、PCI Expressのデータと、DisplayPortの映像信号を、一つのケーブルで送受信することができる。
汎用バスとしてはPCI Expressタイプのプロトコルが使われ、またDisplayPortのモニターを接続すればDisplayPortタイプのプロトコルが使われるとされている。
Lynnfield以降のCore iシリーズのチップセットはプラットフォーム・コントローラー・ハブとなっているが、ここから出てくるPCI Express ×4やDisplayPortの外部ディスプレイに送信する映像信号をThunderboltとして混在して伝送できる。なお、ディスクリートGPU(いわゆるディスプレイカード)を使用しているなら、そちらの映像信号が送られることになる。
Thunderbolt 1/2のコネクターはMini DisplayPortのものがそのまま使われている。小型だが、20ピン存在する。
そしてMini DisplayPortと互換性があるため、Mini DisplayPortディスプレイはThunderboltポートに直接接続することが可能。通常サイズのDisplayPort、そしてDVI、HDMI、アナログRGB(VGA)対応ディスプレイは、Mini DisplayPortからの既存ケーブル等がそのまま利用できる。
また、銅線の場合は最大10ワットまでの電源供給にも対応し、USBより強力な電源給電能力を持っている。
DisplayPortはいずれHDMIを駆逐する予定の技術となるが、そのDisplayPortと共存共栄が可能な汎用バスとして作られた。
なお、Thunderbolt 3ではコネクターとしてUSB Type-Cが採用された。Mini DisplayPortが遂に普及しなかったこともあるだろうが、リバーシブルで利便性が高く今後普及が確実なコネクターとの共存の道を選んだということができる。
Thunderbolt 2までのピン数はMini DisplayPortと同じ20ピンである。なお、Thunderbolt 3からはUSB Type-Cがコネクターに採用された。
コネクター形状は六角形で、下側の左右が斜めになっており逆挿しが出来ないようになった形状であること、ピン番号は上側が1番からの奇数、下側が2番からの偶数である点なども、Mini DisplayPortと全く同じである。但し当然ながら、信号線の用途は異なる。
以下、ソース機器側のコネクター配列を示す。
ピン | DP | T29 | ピン | T29 | DP |
---|---|---|---|---|---|
2 | HPD | HPD | 1 | HV INPUT/ACGND | GND |
4 | CFG1 | HS0RX(P) | 3 | HS0TX(P) | DP0(p) |
6 | CFG2 | HS0RX(N) | 5 | HS0TX(N) | DP0(n) |
8 | GND | GND | 7 | GND | GND |
10 | DP3(p) | (RESERVED)GND | 9 | LSR2P Tx | DP1(p) |
12 | DP3(n) | (RESERVED)GND | 11 | LSP2R Rx | DP1(n) |
14 | GND | GND | 13 | GND | GND |
16 | AUX(p) | HS1RX(P) | 15 | HS1TX(P) | DP2(p) |
18 | AUX(n) | HS1RX(N) | 17 | HS1TX(N) | DP2(n) |
20 | DPPWR | DPPWR | 19 | GND | GND |
USB 3.0策定の段階において、元々Intelは光ファイバーの採用を主張していた。
そもそもUSB 3.0というのは、従来のUSB 2.0とは物理的に異なる信号線を使って高速化するもので、上位互換とはいえ、全く異なるものが同居しているといった方が現実に近い。しかし結果として、USB 3.0における光ファイバーの採用は、規格の検討段階で消えてしまった。
Intelは後に、この光ファイバーを利用した高速I/OとしてLight Peak(開発コードネーム)を発表、そして当初はメタルケーブルを利用するということで名前が変わり、Thunderboltとなった。
Thunderboltは、USB 3.0でも達成できなかった、パーソナルコンピューターのコンシューマー向けとしては初めての光ファイバーを使った機器接続インターフェイスである(LANなどは別として)。
Thunderboltはメタルケーブルだが、そのケーブルは当時、日本のApple Storeでは4,800円で販売されていた。高速なケーブルとは言え、これはお世辞にも安いとは言えない。
機器を分解して製造コストを調査しているiFixitによれば、Thunderboltケーブルのコストは50ドル、日本円にして約4,000円だという。原価と頒価の差は僅か800円で、ほぼ原価での販売であり、Appleの儲けは殆どない。
なぜThunderboltのケーブルは原価が50ドルもするのか。USBケーブルの安物なら100円ショップでも売られているがその差は何かというと、iFixitによれば、ケーブルのコネクター部分にはICチップが組み込まれているためだとする。これは、メタルケーブルで高速伝送をするために必要なチップだとされている。
Appleはかつて、FireWire(IEEE 1394)の普及に失敗したという苦い経験を持っており、Intelと共同開発したThunderboltこそは普及させようと、ケーブルは儲け無しで販売していたことが判明した。
光ファイバーは2013(平成25)年に登場した。既存のポートなどは互換性を保ち、メタルケーブルも光ファイバーも接続可能にするために、ケーブル内で光信号と電気信号を変換するという画期的な方法を採用した。
途中を光ファイバーにする場合、ケーブルが細く軽量、長く伸ばせる、低消費電力などの利点があるが、ケーブル自体が高コスト、電源供給が出来ないため電源は機器側で用意しなければならない、などの欠点もある。
またThunderboltのトポロジーの特徴としてデイジーチェーン接続があるが、途中の電源が落ちている場合、その先の通信が途絶えてしまうことになる。メタルケーブルならケーブル経由の電源供給の道があるが、光の場合はそれも望めないため、光化が前提となっているにしては良いトポロジーとは言いがたい。
直径125µmの光ファイバーを使い、伝送距離は最大100mである。
光送信デバイスは250µm角の表面発光型半導体レーザー(VCSEL)を使用するため、波長は850nm帯域が使用されている。10GbEなど超高速通信では1300nm/1550nm帯域がよく使用されているが、これがコスト高となっており、廉価を目指すべきこのようなインターフェイスでは採用されなかったようである。
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