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民生用(家庭用)のディジタル映像・音声記録規格の一つ。
DCT(離散コサイン変換)とエントロピー符号化を基本としたフレーム内(フィールド内)の映像圧縮と、DATと同様の音声(48kHz 16ビット直線×2チャンネル又は 32kHz 12ビット非直線×4チャンネル)を持つ。
音声記録は2チャンネル単位で、アフレコをするなら非直線の方を選択する必要がある。なお標準カセットで4時間30分、miniカセットで60分の記録が可能である。
サンプリング周波数は輝度13.5MHz、色差 3.375MHz。
いわゆる4∶1∶1方式(YUV411)で、4∶2∶2方式(YUV422)などに対して色解像度は劣る。周波数の選定はPALとNTSCの両立を考えた結果、こうなった。
どちらでもデータレートはほぼ同じになるが、画素自体は正方ではなく縦横比も変化する。これはワイド画面などでも同様。サンプリングは実際に見えている画像部分のみとし、NTSCでは720×480画素である。
1画素辺りの量子化ビット数は8ビット。基本的にはMPEG-2などと同様だが、フレーム内(フィールド内)完結である点が異なる。これは編集性などを考慮したためである。MPEG-2 MP@MLの最高画質レベルで15Mbpsに対し、DVCは25Mbpsとなる。また、圧縮率は約1/5である。
MPEG-2などと同様とは言っても別規格である以上、細かな点での相違は多い。考え方としてはMotion JPEGが近い。規格上は、MPEG-2記録も出来るようになっている。
テープ幅は1/4インチ(6.35mm)となった。これは、かつてのオープンリールオーディオテープと同じ。
メタル蒸着テープ使用により高密度記録を実現している。酷使に耐えられるよう、テープ表面にはダイアモンドライクカーボンが塗布されている。
厚さは当時の最高レベルで7µmとなっている。蒸着による磁性体層は極めて薄いためで、VHS等の標準の20µmと比較しても桁違いに薄い。10µm以下のテープというのは、他には殆どない。
記録方法として、従来は1800rpm(30rps)で回転していたヘッドを9000rpm(150rps)とし、一つのフィールド当たり5トラックに記録している。
これは典型的な直径21.7mmシリンダーで2ヘッドの場合であり、シリンダー径を大きくすれば、もっと遅い回転にすることも可能。
テープ走行速度は、NTSCの場合は18.812mm/sで、8mmビデオテープよりも速い(PALでは18.831mm/sで、逆になる)。
このこともあり、薄型テープの使用が小型化の為にも必要になったと言う事が出来る。ちなみに、8mm VTRのNTSCでは14.345[mm/s、PALでは20.051mm/sだった。
記録フォーマットも8mm VTRの技術が活かされており、ATF(Automatic Track Finding)によるトラッキング調整技術が使われている。
音声も時分割記録で、領域が独立している。
映像記録部分もサーチなどが行ないやすいように、パターンが考慮されている。
著作権問題が生じる大きな要因の一つに、DVCにはIEEE 1394準拠のディジタル入出力端子の存在がある。
DATのディジタル端子問題と同様、この端子を使ってデッキをコントロールすることも可能であるはずだが、各社の思惑が交錯して統一出来ていない。
消費者軽視のメーカーの姿が浮き彫りとなっていた。
DVCの画質の良さを認めつつも、その記録時間の短さを嘆く層もあった。
それに対応する方法として一つは「長時間モード」、もう一つは「標準カセットの使用」という解決策が出された。それまではminiカセット仕様のものしか発売されていなかったためである。
長時間モードというと、従来は画質や音質の低下を伴うものであった。
DVCの場合、記録信号自体は変えず、テープ走行速度だけの2/3とすることで、60分に対して90分の記録を行なえるようにした。この程度なら専用ヘッドが無くても対応出来る。
なお、テープ走行速度を遅くするということはトラック幅の減少を意味し、延いてはS/N比の低下を招く。そのためのエラーレートの上昇を防ぐ工夫もされている。
これにテープ厚を薄くすることが出来れば、いずれ2時間記録も可能になるとされていたが、製品化はされなかった。
もう一方の標準カセットの使用は、カメラサイズが大きくなることもあって、ある程度のマニア層を狙う位置付けとなった。
具体的な製品としては1996(平成8)年末に発売されたソニーのDCR-VX9000などがある。
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