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ビデオコーデックの一つ。Alliance for Open Media(AOM)が開発したオープンソースでロイヤルティーフリーのビデオコーデックで、Googleが開発したVP9を基礎とする。
いわゆるGAFA陣営の技術であり、GoogleはVP9より更に高圧縮効率を求めVP10を開発をしていたが、この成果がAV1へと取り込まれた。
AV1の開発には、CPU・GPUの開発メーカーや、大手ビデオストリーミングサービスの企業が参画しており、デファクトスタンダードによる業界標準となっている。
AV1で圧縮された映像はコンテナーフォーマットとして(従来のWebMではなく)HEIFに格納することが多く、これをAVIFと俗に呼ぶ。AVIFはGoogleのVP9の置き換えと、対抗となるITU-T H.265を完全に沈黙させることが目指されている。
AV1は、先代となるVP9よりも圧縮効率が30%ほど高いとされ、ロイヤルティーが高額なH.265/HEVCに代わるロイヤルティーフリーのビデオコーデックとして普及が期待されている。
ただし、2020(令和2)年現在、(先代のVP9とは違って)ハードウェアデコードに対応するCPUやGPUは存在せず、エンコードが非常に遅いことが欠点となっている。
AV1はビデオコーデックであり、特に独自のコンテナーフォーマットは持っていないが、VP8から引き続きIVFとするシンプルな独自のコンテナーは用意されている。
標準としてはISOベースメディアファイルフォーマットに格納することになっていて、この仕様を用いた、いわゆるMP4コンテナーに格納されることが多い。
AV1は、扱いやすいようにシンプルなロイヤルティフリーライセンスを採用している。これが、複雑かつ高額なライセンスを要求するH.265/HEVC陣営との大きな違いである。
こういった対抗に特許を押さえられロイヤルティーを恐喝されないよう特許自体は取得するが、それに対して費用を要求しないライセンスとなっている。
当然だがVP8/9から引き続き利権を侵されたITU-T H.265陣営は黙っておらず、欧州を拠点とする知財管理会社SISVELが対抗している。SISVELは、AV1が抵触していると主張する保有特許リストを公開しており、AOMに対してロイヤルティーの支払いを要求している。
スマートフォン全てにAV1が採用されると仮定すると、SISVELおよびSISVELと共謀する企業は不労所得としてロイヤルティーで年間数百億円程度を得られるとしてホクホクしているらしい。しかし、彼らに脅迫されているAOMは、AV1は今後もロイヤルティーフリーであると主張している。
なお、SISVEL陣営には、日本の企業ではNTT、東芝、JVCケンウッドといった企業が参画している。
AV1から2世代前となるVP8の時代のITU-T陣営はITU-T H.264であり、この頃はAppleはITU-T側の陣営にいた。
しかし2019(令和元)年頃から、AppleはITU-T H.265側の陣営から決別こそしないものの(実際にAppleはHEICやHEVCなどを後にも採用している)距離を置き始めた。その最大の理由は、事業の軸足を端末販売から動画配信などのサービスに移すことを決めたことが大きいと予想される。サービスとして展開する以上、商業的に成功するためには、そのユーザーはiPhoneやMacユーザーなどApple圏内だけでなくAndroidやWindowsなどApple圏外の消費者も取り込まないとならない。その条件を満たす選択肢は、ITU-T H.265ではなくAV1だと判断したものと思われる。そして実際に2016(平成28)年9月、iOS 10.0以降で、iPhone、iPad、およびiPod touchはAV1に対応した。
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