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地球の自転・公転から得られる時刻(天文時、世界時(UT))と、原子時計に基づく協定世界時(UTC)との差異を調整するため、挿入または削除される1秒間のこと。
地球の回転観測から決定される時刻を、世界時(UT)とする。UT0、UT1、UT2があるが、ここでは、そのうちUT1を用いる。
1958(昭和33)年より時を刻み続けている国際原子時(TAI)を、時刻の基準とする。
TAIに対し、閏秒などで調整を加えた実際に用いる時刻を、協定世界時(UTC)とする。
閏秒調整とは、世界時UT1に対しUTCを±0.9秒以内に保つよう、1秒単位で挿入または削除により実施される調整である。
地球の自転速度は変化しているが、現実には徐々に遅くなっている。このため、過去、閏秒は挿入のみが行なわれており、削除は一度もなかった。
1958(昭和33)年より時を刻み続ける国際原子時(TAI)と協定世界時(UTC)の差は、2015(平成27)年の閏秒挿入で36秒間となり、つまり57年間で自転は36秒遅くなり、一日の長さが伸びていることを意味している。
地球の自転は今後も確実に遅くなる。従って、現在は数年に一度の閏秒挿入が、やがて毎年一回になり、年二回、年数回、と増え、いずれは毎月必要になることが予想されている。
しかしそうなると、閏秒で調整して運用という現在の方法を続けることは社会的にも難しくなり新たな方法を導入する必要が出てくるものと思われるが、現時点では良い案はない。
なお、閏秒の発生は、現時点では長期的には予測できないものである。
1回目1972(昭和47)年7月1日から27回目2017(平成29)年1月1日までの45年間で27秒が挿入された。つまり45年で27秒間、1日が長くなっており、そのぶん地球の自転が遅くなったことを意味する。
45年で27秒なら平均して1.66年につき1秒挿入されることになるが、実際はそうでもなく、10年ごとに次のように閏秒が生じている。
地球の自転速度は昔から徐々に遅くなっていることが知られるが、2000(平成12)年頃を境に、遅くなるスピードが鈍化しているようである。観測からは「遅くなるのが、遅くなっている」と判断できるが、その原因は定かではない。
2000年→2010年の10年間には、スマトラ島沖地震、チリ地震、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震などの大地震が発生し、それぞれで数µ秒ずつ自転速度が増したとされているものの、その値からして影響は僅かであろうと予測されてはいる。
挿入が発生する場合に、UTCでは次のように時刻が遷移し、1秒の補正が行なわれる。
日本標準時はUTCと9時間の時差があるため、8:59:59→8:59:60→9:00:00と推移する。つまり、午前8時59分59秒と9時00分00秒の間に「8時59分60秒」が挿入される。
削除が発生する場合には、UTCでは次のように時刻が遷移し、1秒の補正が行なわれる。
つまり、23:59:59がなくなる。日本標準時では、午前8時59分59秒がなくなる。但し削除は過去一度も例がない。
1958(昭和33)年より国際原子時(TAI)は時を刻み続けている。この時刻を基準として、調整を加えたものが、現在は用いられている。
2017(平成29)年までで26回が実施され、全てが挿入による調整であった。それぞれの調整は、表記の日付の1秒前に行なわれている。
回数 | 日付 | 閏秒 | 協定世界時-国際原子時 |
---|---|---|---|
1972(昭和47)年1月1日 | −10秒 | ||
1 | 1972(昭和47)年7月1日 | +1秒 | −11秒 |
2 | 1973(昭和48)年1月1日 | +1秒 | −12秒 |
3 | 1974(昭和49)年1月1日 | +1秒 | −13秒 |
4 | 1975(昭和50)年1月1日 | +1秒 | −14秒 |
5 | 1976(昭和51)年1月1日 | +1秒 | −15秒 |
6 | 1977(昭和52)年1月1日 | +1秒 | −16秒 |
7 | 1978(昭和53)年1月1日 | +1秒 | −17秒 |
8 | 1979(昭和54)年1月1日 | +1秒 | −18秒 |
9 | 1980(昭和55)年1月1日 | +1秒 | −19秒 |
10 | 1981(昭和56)年7月1日 | +1秒 | −20秒 |
11 | 1982(昭和57)年7月1日 | +1秒 | −21秒 |
12 | 1983(昭和58)年7月1日 | +1秒 | −22秒 |
13 | 1985(昭和60)年7月1日 | +1秒 | −23秒 |
14 | 1988(昭和63)年1月1日 | +1秒 | −24秒 |
15 | 1990(平成2)年1月1日 | +1秒 | −25秒 |
16 | 1991(平成3)年1月1日 | +1秒 | −26秒 |
17 | 1992(平成4)年7月1日 | +1秒 | −27秒 |
18 | 1993(平成5)年7月1日 | +1秒 | −28秒 |
19 | 1994(平成6)年7月1日 | +1秒 | −29秒 |
20 | 1996(平成8)年1月1日 | +1秒 | −30秒 |
21 | 1997(平成9)年7月1日 | +1秒 | −31秒 |
22 | 1999(平成11)年1月1日 | +1秒 | −32秒 |
23 | 2006(平成18)年1月1日 | +1秒 | −33秒 |
24 | 2009(平成21)年1月1日 | +1秒 | −34秒 |
25 | 2012(平成24)年7月1日 | +1秒 | −35秒 |
26 | 2015(平成27)年7月1日 | +1秒 | −36秒 |
27 | 2017(平成29)年1月1日 | +1秒 | −37秒 |
NTTの時報サービス「117」では、午前8時58分20秒から100分の1秒ずつ秒音の間隔を長くすることで、閏秒の調整を実施している。
つまり、聞いただけでは閏秒があったこと自体が分からない。
JJYでは、閏秒の挿入や削除を予告する情報が信号内に含まれる。
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