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ヒッグス機構において現われる素粒子。ボース粒子(ボソン)である。
標準理論を成立させるために導入されたものがヒッグス場であり、ヒッグス場で素粒子の質量が得られる相互作用がヒッグス機構である。
ビッグバン直後すなわち宇宙の初期状態では、すべての素粒子は自由で、光速で移動できた。やがて自発的対称性の破れが生じ、真空に相転移が起こることでヒッグス場が生じた。殆どの素粒子はヒッグス場に当たることで抵抗を受けて「動きにくく」なった。すなわち質量を得たことになる。
ヒッグス場は宇宙全体に広がっており、ヒッグス場と物質との相互作用の強さが、結果として質量の大きさとして観測される。
なお、素粒子の中でも、光子はヒッグス場に当たって抵抗を受けることがないため、相転移した後の現在においてもなお、質量を持たず、自由に動き回ることができると説明されている。
2012(平成24)年7月、アルゴンヌ国立研究所の研究者らにより、ヒッグス粒子が複数の粒子からなるとする仮設が立てられた。
2013(平成25)年の名古屋大素粒子宇宙起源研究機構を中心とするグループによる研究でも、ヒッグス粒子は複数の未知の粒子が結合した「複合粒子」とする仮説が立てられた。仮説によると、未知の粒子が2種類として計算した場合、質量などがヒッグスの性質に近くなるとしている。
約5500億円を掛け、ジュネーブ郊外の地下100m、スイスとフランスの国境をまたいで、世界最強最大の粒子加速器が作られた。
これが大型ハドロン衝突型加速器(LHC)であり、欧州合同原子核研究機関(CERN)が運営する。
一周約27kmあり、これは山手線の規模に相当する。このリングの中に陽子を入れて加速し、光速の99.9999991%まで加速した陽子同士を正面衝突させる。
2011(平成23)年12月8日、ヒッグス粒子を発見した可能性が高いためCERNが12月13日に緊急記者会見を開くと報じられたことから世界中で大きな騒動となった。発表によれば、実験データの解析により、東京大学も参加するアトラスチームの結果で粒子が存在する確からしさは98.9%で、来年までにさらにデータ蓄積を進め、物理実験で発見を宣言できる99.9999%以上を目指すとした。
2012(平成24)年7月4日(日本時間)、CERNは、質量125.3±0.6GeV、統計的有意性は4.9σと発表、更なる実験と検証を重ね、ヒッグス粒子かどうか結論を出したいとした。
2013(平成25)年3月14日、CERNは、昨年7月に見つかった新粒子がヒッグス粒子であることを強く示す、とする公式見解を発表、「ほぼ確実」であるとした。
2013(平成25)年10月4日、東京大学などが参画するCERNの国際研究グループは、ヒッグス粒子発見のデータを論文にまとめ、欧州の物理学専門誌「フィジックスレターズB」に正式に報告した。7日付で掲載される。これにより、2013(平成25)年10月8日、ピーター・ウェア・ヒッグス博士はこの年のノーベル物理学賞を受賞した。
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