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JAXA宇宙科学研究本部(ISAS)とIHIエアロスペースが開発した、衛星打ち上げ用三段式固体燃料ロケット。
固体燃料ロケットでは世界最強と評された先代のミューロケットだったが、唯一の弱点はコスト高だった。将来的に、打ち上げビジネスを展開するとなると、やはりコストは重要である。
そこでミューロケットは惜しまれつつ2006(平成18)年に退役となり、後継として開発中なのが、このイプシロンロケットである。
Μ-Ⅴロケットの2/3の性能で1/3のコスト(30億円以下)が目標である。Μ-Ⅴロケットは一発ごとの特注品で、実は汎用品ではなかった。イプシロンロケットは汎用化してコスト削減に繋げる。
開発は当初予定より遅延したものの、2013(平成25)年9月14日、試験機が内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、無事に成功した。
カッパ(κ)、ラムダ(λ)、ミュー(μ)と来たので、同様にギリシャ文字が使われることになった。ミューの次はニュー(ν)だが、newと間違われるのが良くないと思われたか、少し戻ってイプシロン(Ε)が採用されたようである。
実際には、ペンシルを入れると5番目なので、αβγδεからεが採用された、というもっともらしい説がある。ペンシルを入れないと4番目のデルタ(δ)だが、デルタロケットはアメリカが先に採用している名前なので、他の名前を選ぶ必要があったものと思われる。
公式には、Eとなる由来は、次のように発表された。
お役所としては、取って付けたような内容でも、何かしらの理由が必要だったのだろう。中の人の苦労が伝わってくるかのようである。
更にもう一つの理由として「Μロケットの精神を引き継ぐこと」を理由とし、「mを回転させるとεになる」ことが一つの理由とされている。
3機中3機成功、成功率100%である。
既知のもののみ。
イプシロンロケットは、人工知能による自律点検システムROSE(即応型運用支援装置)によって点検されている。
ROSEは発射管制設備と連携しながら状況の把握と今後の予想などを行ない、その結果から評価をする能力を持つ。
ロケットの知能化により、シンプルでコンパクトな管制が可能となった。
イプシロンロケットは、コスト削減のためΜ-ⅤやH-ⅡA/Bで開発された既存のコンポーネントが活用された。
イプシロンロケットは、誘導制御用のセンサーとしてジャイロと加速度計を装備した慣性センサユニット(IMU)を搭載し、機体誘導と制御に必要な信号を誘導制御計算機(OBC)に送信する。加えて、第一段はレートジャイロパッケージ(RG-PKG)と横加速度計測装置(LAMU)が搭載されており、第一段の姿勢安定化と迎角の低減にこれを利用する。
前世代のΜ-Ⅴロケットは、誘導計算を地上で実施し、電波でロケットに信号を送る電波誘導方式だったが、イプシロンロケットはH-ⅡA/Bと同様に機体内のOBCで誘導計算を実施する慣性誘導方式を採用した。
打ち上げを簡素化することも目標の一つであった。
Μ-Ⅴロケットは各々、42日、9時間であり、大幅な改善である。
計画では、ロケット自体のコストはΜ-Ⅴロケットの約1/3程度を目標とした。そしてロケット搭載系の点検は自立的に行なう仕様とし、地上設備や打ち上げオペレーションにかかる時間をΜ-Ⅴロケットの1/4程度にすることを目標とした。
これまで、ミューロケットにせよH-ⅡAロケットにせよ、大型ロケットは射場に依存するものであった。イプシロンロケットはこれを革新し、世界中のどこででも、ネットワークを介してロケットの点検や管制が出来る、それもノートパソコン一台で可能、このようなものを目標に開発された。
例えば、従来のミューロケットはレールによる斜め発射方式が使われており、角度を決めて発射する。しかしこれでは打ち上げ場所が固定されるため、イプシロンではH-ⅡAロケットなどのように、垂直発射に変更した。
これ以上についてはJAXAは語っていないが、イプシロンロケットの目標とする点を見ると、明らかにミサイルとしての機能を求めたといえる。将来は、国防の要となるロケット・ミサイルとなるのだろう。
二段目と三段目がそれぞれΜ-Ⅴロケットの三段目とキックステージとなっており、小規模にはなるが必然的に性能も落ちる。
将来の方向性としては、Μ-Ⅴロケットの二段目を改良して採用し高性能化する方向性や、逆に小型化して空中発射対応化する方向性、などが計画されているらしい。
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