アンモニア

読み:アンモニア
外語:ammonia 英語 , 支那語(大陸・台湾) , amoniak/o エスペラント
品詞:名詞

水素窒素からなり、鼻にツンと来る特有の刺激臭を有する無機物。日本では、宛字で「安母尼亜」とも書く。

目次

基本情報

誘導体、関連物質の例

物質単体としてのアンモニア(無水)のほか、この水溶液であるアンモニア水が流通している。

塩基性水溶液であるアンモニア水は弱いアルカリ性(弱アルカリ性)。熱を放出しながらに溶ける。

アンモニアはそのままでは水酸化物イオン(OH)に電離しない。水(H2O)に溶かすと、大部分はNH3のままだが一部のアンモニア分子が水からプロトン(H+)を奪いNH4++OHの状態になる。

酸、強酸化剤、ハロゲンと激しく反応する。

アルミニウム亜鉛や合金を侵す。また水銀酸化物と化合物を生じる。さまざまな錯体の配位子になる。

使途

アンモニアそのものでは、窒素肥料としての使途が多い。

また高純度のアンモニアは青色発光ダイオードや光ディスク用の青色半導体レーザーなどにも利用される。

アンモニアを基礎原料して尿素硫酸アンモニウムなど他の基礎原料が作られる。

近年では、燃焼させても二酸化炭素を発生させない燃料として研究されている。

生物有機化学

ヒトを含む生物の多くは、食物として蛋白質を摂取し、体内で代謝してアンモニアを生成している。

但しアンモニアは有毒なので、哺乳類はアンモニアを安全な尿素に変換して蓄え、ある程度溜ってから捨てるという方法を採用した。尿素は保水作用などがあり、これを生物は有効活用している。

ちなみに魚類両生類は水が大量に利用できる環境にいるので、アンモニアのまま排出しても希釈され問題にならない。爬虫類鳥類では尿酸に変換する。

工業的製法

工業的には500℃ 200気圧程度の高温・高圧下、触媒を用いてN2+3H2→2NH3(ハーバー・ボッシュ法)の直接反応で製造され、肥料、合成樹脂、接着剤、薬品用の尿素などの製造用途に利用されている。

日本の場合、工業的には石油プラントの近傍で作られる。

アンモニアは水素窒素からできている。石油プラントでは天然ガスや石炭、オフガス(石油の精製過程で生じる副産物)を燃やしているが、ここで石油系ガスの蒸気に含まれる水素を分離し、かつ空気中に大量に含まれる窒素と合わせてアンモニアを合成する。

なおこのアンモニアの殆どは出荷用ではなく、同じプラント内で尿素硫酸アンモニウムなど他の基礎原料を作る材料となっている。

合成技術

アンモニアを自在に合成できるようになったことで、食料の安定供給が可能となり、文明は大きく発展することになった。

合成に高温・高圧を用いるのは、窒素(N2)の強い三重結合を切る必要があるためである。このため合成に要するエネルギーは膨大であり、また巨大な設備(合成プラント)も必要である。このためにアンモニア製造は石油プラントに併設されることが多い。

しかし他に方法が無いため一世紀にわたりこの手法が用いられて来たが、東京工業大学 元素戦略研究センターは、C12A7エレクトライドとする物質を用いて、350℃ 1気圧での合成を可能とする技術を開発した。

この技術を利用するとアンモニア合成設備は小型化が可能で、必要な場所で作って使うことも可能となるため、実用化に向けて更なる研究をするとしている。

宇宙

この物質暗黒星雲などの中からも発見されている。

適用法令

  • 毒物及び劇物取締法(法 別表第二)
  • 労働安全衛生法 (労働安全衛生法施行令)
    • 危険物・可燃性のガス (施行令別表第1第5号)
    • 特定化学物質第3類物 (特定化学物質等障害予防規則第2条第1項第6号)
    • 名称等を通知すべき有害物 (法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)(政令番号第39号)
  • 消防法(危険物の規制に関する政令)
    • 届出を要する物質の指定 (200kg以上)
  • 航空法
    • 腐食性物質 (施行規則第194条危険物告示表第1)
    • 高圧ガス (施行規則第194条危険物告示表第1)
  • 船舶安全法(危険物船舶運送及び貯蔵規則)
    • 腐食性物質
  • 港則法: 該当しない
  • 海洋汚染防止法(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律)
    • 常温において液体でない物質 (施行令第一条)
  • 水質汚濁防止法
    • 第二条第二項第一号 政令で定める物質(有害物質)
  • 大気汚染防止法
    • 特定物質
  • 悪臭防止法(悪臭防止法施行令)
    • 特定悪臭物質
  • 化学物質排出把握管理促進法(PRTR法): 該当しない
  • 高圧ガス保安法 一般高圧ガス保安規則
    • 第二条 一 可燃性ガス
    • 第二条 二 毒性ガス

危険性

  • 引火点: (該当資料なし)
  • 発火点: 651℃
  • 爆発限界: 15〜28 vol%(空気中)

有害性

  • 刺激
    • 腐食性: 眼、皮膚、気道に対して腐食性を示す
    • 刺激性: (該当資料なし)
    • 感作性: (該当資料なし)
  • 毒性
    • 急性毒性: (該当資料なし)
    • 慢性毒性: (該当資料なし)
    • がん原性: (該当資料なし)
    • 変異原性: (該当資料なし)
    • 生殖毒性: (該当資料なし)
    • 催畸形性: (該当資料なし)
    • 神経毒性: (該当資料なし)
  • 規制値
    • 一日許容摂取量(ADI): (該当資料なし)
    • 暫定耐用一日摂取量(PTDI): (該当資料なし)
    • 急性参照値(ARfD): (該当資料なし)
    • 暴露許容濃度(TLV): 設定されていない
    • 最大許容作業濃度(MAK): 設定されていない (DFG 2008)

環境影響

  • 分解性: (該当資料なし)
  • 蓄積性: (該当資料なし)
  • 魚毒性: 水生生物に対して毒性が非常に強い
関連するリンク
ICSC 国際化学物質安全性カード
関連する用語
アンモニア水
尿素
尿酸

コメントなどを投稿するフォームは、日本語対応時のみ表示されます


KisoDic通信用語の基礎知識検索システム WDIC Explorer Version 7.04a (27-May-2022)
Search System : Copyright © Mirai corporation
Dictionary : Copyright © WDIC Creators club