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着色料の一つ。色は茶褐色。天然添加物で、着色料の中では(恐らく)最も使用量が多い物質である。コーラ、ソース、黒ビールなどへの着色や風味付けに使われている。
「カラメル」とは、いわゆる「キャラメル」のことで、古めかしいカタカナ語が今に残る一例である。
製法は簡単で、糖を加熱するだけである。家庭でも、砂糖水を180℃程度まで加熱するとカラメルができる。例えばプリンにかける、あのカラメルとしてよく使われている。
工業的には、澱粉加水分解物や糖蜜、糖類などの食用炭水化物を原料としている。
製法は大きく4種類あり、それぞれに1〜4まで番号が付いている。
単に砂糖を煮詰めただけのカラメルⅠは殆ど無毒であり、古来より使われ安全であることが歴史的に証明されている。
その一方で製造コストが高く付くため、工業的に用いられているのはアンモニア法(ⅢあるいはⅣ)である(Ⅱは日本では使用禁止)。
カラメルは使用量が多いこともあり、変異原性試験、反復投与毒性試験、発がん性試験など、数多くの試験が実施され、安全性には問題がないことが確認されている。
日本では、厚生省(後の厚生労働省)がカラメルⅢを使用しマウス・ラットでの2年間の慢性毒性試験を実施し、1982(昭和57)年に「がん原性は認められない」と報告した。
国際機関でも、JECFA(FAO/WHO)は1985(昭和60)年にカラメルⅠ、カラメルⅢ、カラメルⅣ、2000(平成12)年にカラメルⅡの安全性評価を実施し、安全であることを確認されている。
アメリカでは、カラメルはFDAによってGRAS物質(従来から使用されており一般に安全と認められる物質)に分類されている。
アンモニア法により生成されたものは僅かに毒性を持つため、JECFA(FAO/WHO)は一日許容摂取量(ADI)を0〜100mg/kg体重/日に設定している。
また、アンモニア法による製造過程で生成される副産物である「4-メチルイミダゾール」(4-MEI)には発がん性があるとする仮説がある。
米国飲料協会はこの仮説に反論している(詳細後述)が、カリフォルニア州で4-メチルイミダゾール(4-MEI)が発がん性物質のリストに追加されたため発がんリスクの警告表示が必要となった。警告表示を回避するため、コカ・コーラとペプシコーラは、カラメル色素の製造会社に対して製法の変更を求めたという。新製法のカラメル色素が米国外の製品に適用されるかどうかは不明とした。
米国飲料協会(ABA)が、この毒性について反論している。
4-メチルイミダゾール(4-MEI)は特殊な物質ではなく、オーブン等で焼いた食品、コーヒー、パン、糖蜜、醤油、グレービーソース、一部のビールには最初から含まれているとした。
そこで、どの程度摂取すると健康に影響があるのかという点が次に重要になってくる。この評価は難しいが、ただコーラの場合は4-メチルイミダゾール(4-MEI)の影響が出る前に糖分の摂りすぎなどで影響が出る可能性が高い。
結論として、ABAは「根拠とする研究のマウスへの投与量に匹敵するには、一日2900本の缶コーラを70年間飲み続けなければならない」としている。人間にはとても飲めない量だが、しかし、アメリカ人なら飲みかねないのでカリフォルニア州では規制することになったらしい。
なお、アメリカ食品医薬品局(FDA)の見解では、コーラを1日1,000缶以上飲まなければコーラを原因とする「がん」が発生することはないとしており、またヨーロッパの欧州食品安全機関(EFSA)も、4-MEIの発がん性は人間にとっては全く問題がないとしている。
アメリカのテキサス州に住む女性エリザベス・サリヴァンは、1日に3本(約1リットル)の「ドクターペッパー」を40年間飲み続け、2015(平成27)年3月18日に104歳の誕生日を迎えてもなお元気だと報じられ話題となった。この女性は、長寿の秘訣は「ドクターペッパー」とまで述べているという。
サリヴァン氏は、CBSに対し「医者はみな炭酸飲料が健康に悪いと言っていたが、忠告した医者の方が先に亡くなった。」(意訳)とブラックユーモア込みで回答した。
ドクターペッパーはコカコーラよりも歴史の長い炭酸飲料だが、その材料は現在のコーラと大差なく、カラメル色素が使われている。
カリフォルニア州で4-メチルイミダゾール(4-MEI)が規制されたが、アメリカでも他の州や、日本含め他国では、これに同調しなかった。
その理由は明確で、エリザベス・サリヴァンの例のほか、上述のようにABA、FDA、EFSAの見解を総合的に判断すると、コーラ(の4-MEI)は、人間が飲める量では発がん性はほぼ無いと判断できるからである。
少なくとも、偏食せず健康的な食事を心がければ、コーラ類を40年間毎日約1リットル飲んでもがんになることはなさそうである。
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