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第23号科学衛星すざく。JAXAが宇宙科学研究所(ISAS)だった頃から開発し、打ち上げられた国産X線天文衛星。
愛称選定委員会では、大きく羽を広げた姿から「おおとり」などが好評を博していたが、プロジェクトマネージャーの井上一が「すざく」を提案した。
搭載されたマイクロカロリメータを中心として新時代を切り開くX線衛星であり、初代X線天文衛星「はくちょう」の伝統を継いで、今度は「朱い鳥」にして欲しい、という提案が元となっている。
こうして「すざく」(朱雀)に決定。この名になった由来は、JAXAより次の4つが示された。
口径40cm、焦点距離4.5m〜4.75mの望遠鏡で、5台搭載されている。この望遠鏡は、先代「あすか」のそれと比べ、有効面積、結像性能ともに倍近い改善が図られている。
軽量でありながらも、10keV近い高エネルギーX線に対して、世界最大級の感度を持つ。
5台の望遠鏡中、4台の焦点面上に搭載されているのが、このX線CCDカメラである。
観測範囲は0.5keV〜12keVのX線領域である。
4台を併用すると、X線望遠鏡としては世界最大級の有効面積となる。
5台の望遠鏡中、1台の焦点面上に搭載されているのが、このX線検出器である。
NASAなどとの共同開発により、従来の検出器と比べて一桁も波長分解能が高い、高分解能X線分光器である。
検出器は絶対温度60ミリK(−273.09℃)という極低温で動作するため、すざくでは三段階の冷却機構を新規に開発し、搭載した。
検出器は冷凍機で冷凍し、冷凍機を液体ヘリウムや固体ネオンで冷却するシステムである。寒剤は消耗品で、観測期間は2〜3年間とされた。
2005(平成17)年7月27日には絶対温度60ミリKへの冷却に成功し、X線分光にも成功したが、打ち上げから僅か1ヶ月で液体ヘリウムが蒸発(消失)する問題が発生、XRSでの観測は早々に終了となった。原因はヘリウムを機体内部に還流させたことと考えられており、同様に冷却が必要な赤外線天文衛星あかりでは、直接排気に変更されている。
度重なる延期の末、一度は2005(平成17)年2月頃に決まったものの、H-ⅡAロケット打ち上げ失敗の余波で更に延期された。
2005(平成17)年6月26日12:00(@166)の打ち上げが決まったが、後に三段目エンジンのノズルの不調によりΜ-Ⅴロケット8号機(Μ-Ⅴ-8)のものと交換のため、7月6日に延期となった。
その後、梅雨時ゆえの天候不順により再度延期され、7月10日に打ち上げとなった。
X線マイクロカロリメータ(XRS)のみ不調だったが、それ以外の3機で高精度の観測を達成した。
従来の衛星が10keVまでの観測だったのに対し、「すざく」は700keVまで観測可能など広いエネルギー帯域での観測を可能とし、また世界最高レベルの感度も達成するなど、優れた功績を上げた。
「すざく」の観測により、宇宙の構造形成、ブラックホール直近領域の探査などの成果があり、科学論文も多数公開されている。
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