食塩の主成分で、塩素のナトリウム塩の結晶。結晶系は等軸晶系。
電解質であり、水中ではナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl−)に電離する。
結晶状態では絶縁体だが、その水溶液は電導性を有する。
無臭だが塩辛い味を有し、これを鹹味(かんみ)という。この味は調味料として長く広く使われ続けてきている。
人間の舌は食塩なしでは料理を美味しく感じることが難しいため、生物として必要という以前に、料理には必要不可欠である。
成人で一日所要量は1.3g(ナトリウムで0.5g)程度である。
調味料として欠くことのできない物質であると共に、一定量の摂取は必須となるが、過剰な摂取は高血圧など様々な疾病の原因となる。
厚生省(現在の厚生労働省)の指針では1日10g(ナトリウムで3.9g)以下とされた。
WHOの一日許容摂取量(ADI)では1日5g〜6gとなっている。
しかし、現在の日本人は一日約12gの塩化ナトリウムを摂取しているとされている。
降雪地帯では道路凍結防止のため、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどが道路に撒かれる。これは凝固点降下という性質を利用し、道路が凍結しないようにするためである。
そこを乗用車で走れば付着することになるが、塩化ナトリウムは鉄を腐食させる。従って、走行後に乗用車を洗わずに置いておくと錆びてしまう。
海水中に約2.8%含まれるほか、鉱物として地中から岩塩が採掘される。岩塩は塩化ナトリウム以外に様々な物質が含まれており、呈色や風味は多彩である。世界各国の岩塩が、調味料として市販されている。
工業的には海水からイオン交換膜などを用いて精製される。
実験室レベルであれば、塩酸と水酸化ナトリウムを中和させることで作ることができる(HCl+NaOH→NaCl+H2O)。
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