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漢字の「癌」と、仮名の「がん」(または「ガン」)では意味が違う。
「癌」は上皮細胞の悪性腫瘍のみを指し、それ以外も含めた広い意味ではかなで「がん」と書くことになっている。
英語では、表皮細胞の癌をcarcinoma、広義のがんをcancerという。
なお、「癌」という漢字は宋の頃に作られた支那医学の字とされており、元々今の意味で使われていたわけではない。
病気としてのがんには、次のような病状がある。
「がん」には先天性のものと後天性のものがある。
多くの「がん」は後天性だが、遺伝子異常に伴う先天性疾患もある。このようなものは小児のうちから「がん」が発生するため、「小児がん」と呼ばれ区別される。
以降は、後天性のものを説明する。
後天性の「がん」の発生原因は幾つかあるが、老化と生活習慣が主たるものと考えられている。医学が発達し人間の寿命は延びてきたが、これにより老化に伴う「がん」が顕著になったものと見られる。
心臓などの臓器は全て健康で、これが死因にならないと想定すると、人は必ず「がん」で死ぬことになる。細胞のがん化は、避けて通れない道である。
罹った「がん」を癒すのは時に困難であるため、予防と定期健診が必要とされている。
例えば、肺がんの最も大きな原因は「煙草」で、煙草を吸わなければ少なくとも3割、実際にはそれ以上の肺がん患者を減らせると言われる。
イギリスのドル博士らがまとめた結果によると、全てのがんの発生の原因は、食事が35%、喫煙30%、慢性感染病10%、などとなり、この三つだけで全てのがんの2/3は説明できる。
食事は疑わしいものが多すぎて手が打ちにくいが、禁煙はすぐにでも実行できる。10年禁煙でがん罹患率半減という研究結果もあり、禁煙に勝るがん予防はないといえる。
がんの種類は、概ね、どこの臓器に出来た「がん」かにより命名される。
昔は、がんが転移してその先が原因で死亡した場合は、その先を死因とすることもあったが、現在はがんの転移部位は原死因とはしない。
肝臓に出来たがんなら「肝臓がん」、略して「肝がん」と呼ばれる。
そして、これが他の臓器に転移し、例えば肺で増殖したとしても、それは肺がんではなく肝臓がんであり、「肝臓がんが肺に転移した」と呼ばれる。
がんは、治療方針を決めるために、進み具合を病期(ステージ)という指標で表わす。大きくステージⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4期に分ける。Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ期はA/Bに細分化され、また肺がんの場合のみ0期を設定する。
例えば肺がんの場合、次のように区別する。
上皮内新生物(上皮内がん)。ごく初期であるもの
肺内にのみ病巣があり、リンパ節や他臓器への転移がない状態
腫瘍は原発巣に留まり、大きさが3cm以下
腫瘍は原発巣に留まり、大きさが3cmを超える
病巣は肺内に限定されるが肺内のリンパ節にのみ転移がある、またはリンパ節には転移がないが病巣が肺外(但し切除可能な範囲)周囲に拡がっている状態
腫瘍は原発巣に留まり、大きさが3cm以下
リンパ節への転移が認められるが、他臓器への転移はない
腫瘍は原発巣に留まり、大きさが3cmを超える
リンパ節への転移がある。またはリンパ節への転移は無いが、肺を覆う腹膜・胸膜に直接及んでいる
他の臓器への転移はないが、より進んだ状態
原発巣以外に、肺の他の箇所、肝臓、脳、骨、副腎などの臓器への転移(遠隔転移)がある場合
同じ「がん」にも、治りやすいものと治りにくいもの(難治がん)がある。
治療開始から5年後に生きているかどうかを「5年生存率」というが、がんのできた臓器や、その進行具合などにより、生存率は様々である。
治りやすいがんであっても、発見が遅く進行したがんは、やはり治らない。
肺、食道、肝臓などは予後が極めて悪い難治がんであり、昔から癒りにくいがんとして恐れられている。
現在でも、難治がんの5年生存率は1割程度である。特に肺がんは治りにくく、ステージⅣまで至った場合、5年生存率は「0%」として知られている。万一発見されても、この段階になると手遅れとして外科手術は諦めることが多い。
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