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悪性腫瘍の原因となる細胞。通常の細胞は一定数以上に増殖することは無いが、がん細胞は様々な遺伝子が変異していて、無秩序に活発に増殖し、死ににくく、腫瘤(しゅりゅう)を作る。
もっとも、がん細胞が体の中にあるだけでは、がんという "病気" にはならない。がん細胞が仮に体内に百万個、一千万個あったとしても、現在の医学でこれを臨床的に証明することは殆ど不可能であるし、身体に対する症状なども無いに等しい。数千万個から数億個以上に増えて、ようやく肉眼で確認できる数ミリの大きさになり、辛うじて臨床的に見つけることができる最小のがんになる。
一個のがん細胞や前がん細胞は10µm程度の大きさだが、指先大のサイズのがん細胞には10^9(=10億)個程度のがん細胞が含まれている。すべてのがん細胞が分裂して2倍になるのを1世代とし、1世代を仮に約100日と仮定すると、10^9個に増殖するためには40世代を要し、時間にして約9年かかる。がんは指先程度に成長して始めて発見されるが、その大きさに至るまでには非常に長い時間が掛かるのである。
細胞は倍々に増える。倍々で増えるということは、成長するごとに加速度的に成長速度が増すということであり、既に直径1cm大となったがん細胞が直径16cm大に成長するには10世代、時間で約3年ほどしか掛からない。この頃までにがん細胞は全身に広がり、やがて人を死に致らしめることになる。従って、がんは早期発見・早期治療が重要視されるわけである。
同じがんでも、胃、乳房、子宮、膀胱、結腸、直腸、腎臓などのがんは癒りやすいが、肺、食道、胆嚢、肝臓、膵臓のがんは難治がんと言われ、昔から癒りにくいがんとして恐れられている。現在でも、難治がんの5年生存率は1割程度である。
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