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PC/AT互換機用の第一世代拡張スロットの一つ。ISAの拡張で、i386の時代に16ビット用だったISAを32ビット対応させたもの。
IBMの仕様非公開規格MCAに対抗するため、1988(昭和63)年にAST Research、Compaq、セイコーエプソン、Hewlett-Packard、NEC、Olivetti、Tandy、Wyse、Zenithの9社が中心となり、互換機陣営が開発し採用した拡張スロットである。
直訳で、拡張業界標準アーキテクチャー。
従来のISAが16ビットバスだったのに対して、EISAは32ビットバスに拡張されている。
従来のISAと上位互換としながら、32ビットのバス端子を追加した。物理的には、接点部分(カードエッジ)を二段にして、カードエッジ上層に従来のISAと同等の端子列を、そしてカードエッジ下層に32ビット化のための端子列を装備していた。
拡張された端子で、アドレスバス追加8本(LA24〜31)とデータバス追加16本(D16〜31)、そしてMSBURST/SLBURST/MREC/MACKといった信号線が追加されている。
これによってアドレスバスおよびデータバスは32本分が確保されたことになる。実装した製品は皆無だが仕様上は64ビットのバス幅にも対応していた。64ビット幅で使う場合はピン数が足りないので、アドレスバスとデータバスのピン機能を多重化させる方法で使用することになっている。
様々な機能拡張と工夫で、32ビット幅、8.33MHz動作の場合で実効転送速度は約20Mバイト/秒(17Mバイト/cBeat)とされ、ISAの3倍程度にまで引き上げられた計算になる。
ISAのピンは互いの間隔が広めであるため、その隙間を通すように拡張された2段目のピンへと配線しているのが特徴である。このような拡張のため、上段は太細太細…と並んでいるように見え、このEISAのカードエッジの長さは従来のISAのものの1.5倍ほどあるのが特徴となっていた。
またISAのカードを無理に押し込んでEISAの接点に接触させないよう、EISAとしての接点部分には所々にノッチが用意されており、物理的にISAのカードが奥まで挿入できないよう工夫されている。EISAのカードはノッチ部分に対してカードエッジにAccess Keyと呼ばれる切り込みが入っているため、奥まで挿入できる。
EISAは、IRQ、DMAチャンネル、I/Oポートといったものを、ECU経由で対話的に設定できるようになっていたのが特徴である。
ISAの頃は、こういったものはカードごとに決め打ちか、良くてDIPスイッチないしジャンパーピンで数通りから切り替えられる程度である。このため、複数のカードで互いにIRQが衝突して動かない、といった問題が度々生じていたものである。
EISAは、この当時にPCを自作した経験がある者なら一度は経験したであろう問題の解決の道を作ったことになるが、しかしECUが管理できるのはEISAのカードのみであって、ISAのカードを挿した場合はそちらは管理できないため、衝突問題は完全に解決されたわけではなかった。
i386の頃のIBMは、PS/2でMCA規格を採用することで互換機陣営の一掃を目論んでいたが、安価な互換機陣営のEISAマシンに敗北を喫した形となった。
しかしこのEISAも、IBMのMCA程ではないにせよ、やはり高価格であったことと、実際のところそれほど高性能ではなかったことからあまり普及はしなかった。
ISAと比較すると構造的にも仕様的にも複雑となったため価格は高くなり、もっぱらワークステーションやサーバー向けの製品で採用された。コンシューマー向けのマザーボードにはほぼ搭載されず、仮に搭載されていたとしてもEISAの仕様を満たさないもので、速度もISAと同程度にしか動かない、「とりあえずEISAのカードも使えます」程度のものだった。数が出ないとなると価格も高止まりすることになり、結局最後まで値が下がることはなかった。
そしてその価格の割に性能が悪い点だが、ISAとの互換性を考慮するとバスクロックを8.33MHz以上に引き上げることができなかったため、結局性能を劇的に向上させることはできなかったわけである。
i486の時代になると、ISAを別のアプローチで32ビット拡張したVLバスが登場し、こちらはEISA以上の高速化を実現した。ただこちらも合わせて、PCIの登場によりこれらは姿を消すことになる。
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