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PC/AT互換機用の第一世代拡張スロットの一つ。ISAの拡張で、i486の時代に16ビット用だったISAを32ビット対応させたもの。VESAローカルバス。
パーソナルコンピューター向けグラフィックス機器メーカーの業界団体「VESA」により提唱されたローカルバス仕様で、ビデオカード用として公開されたもの。
ISAまたはEISAスロットのコネクターに附随するように、追加コネクターが付けられている。
つまり、「ISA+VLバス」または「EISA+VLバス」ということになり、このスロットにはVLバスを使わないカードも挿せる柔軟性があったが、対応カードは非常に長くなってしまうという欠点があった。
追加された端子は116ピンで、ISAバスとは別にアドレスバスとデータバスを持たせる仕組みとなっている。このためEISAにあったバスクロックを8.33MHz以上に引き上げることができないという問題は解決されている。
なおこのバスは、i486のCPUバスにほぼ直結するような仕様となっている。i486はデータバスが32ビットあり、8ビット単位でアクセスする場合はBE0〜3の4本の信号線でどのバイトが有効なのかを表現した。VLバスも信号線にもデータ32本に加えてBEが4本出ているなど、i486のCPUバスの仕様がそのままとなっているのが特徴的である。
最大転送速度は132Mバイト/秒(114Mバイト/cBeat)で、当時の主流だったISAと比較すると数値上は16倍以上高速だった。
VLバスは、シンプルな仕様として市場投入を急いだため、それ自体は複雑な機構を持たない。EISAがIRQとDMAの衝突回避機能を備えるなど多機能・高性能に振られていたのに対して、VLバスはi486向けに単純に高速化と32ビット化するだけのシンプルな仕様である。
ただ、当時のCPUであるi486のバスをそのまま外に出したようなものであり、CPUバスにほぼ直結するようなものだった。このため多数の拡張カードを同時駆動させることができない、カードの装着不良またはカード自体の故障を原因としてマザーボード自体を破壊してしまう危険性もあるなど安定性に問題はあったが、ビデオカードで使用する分には大きな問題も出ず、それなりにパフォーマンスアップに貢献した。
VLバスは複雑な機能を持たないシンプルな仕様である。このため事実上i486専用ではあったがその分低価格で済み、なおかつ独自のアドレスバスとデータバスを使うため高速だったため、全く普及しなかったEISAとは違ってVLバスはコンシューマー向けのマザーボードでも一気に普及した。
しかしi486に依存したバスだったため、Pentiumへの移行と共に利用されなくなっていった。これは、Pentiumはデータバスが64ビット化されたためであり、VLバスは途中にチップセットを介在して64ビットと32ビットの変換をする必要が生じたためで、i486直結時代と比較すると大幅はオーバーヘッドとなり性能が悪化したためである。
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