Motorola 68000

読み:モトローラ・ろくまんはっせん
外語:Motorola 68000 英語
品詞:商品名

Motorolaが開発したCISC32ビットマイクロプロセッサー。1979(昭和54)年発売。

目次

中途半端な後方互換性を考慮せず、新規に、より良いものとして設計されたプロセッサーだった。68000という型番は、従来の6800を想起させるものだが、6800用周辺デバイスとのインターフェイスを除いて互換性はない。

名前の由来は、この6800、あるいは集積トランジスタ数が約68,000だった(実際の製品では約7万)、など様々な説がある。

同時期、16ビットの8086シリーズが対抗として存在したが、最初から32ビットだった68000は、外部アドレスバス幅も24ビットあるため8086よりも多くのメモリーが使用でき、しかも高速だった。このため好評を博し、X68000MacintoshAmigaワークステーションといった高性能コンピューターや、各種ゲームセンター用ゲーム基版等で広く利用された。

基本仕様

  • パッケージ
    • 64ピン DIP
  • クロック周波数
    • 4MHz〜16.67MHz
  • バス長
    • アドレスバス: 24ビット
    • データバス: 16ビット
  • レジスター長

メモリーには8ビットごとに1バイトとしてアドレスが付いている。

16ビットの数値や命令語は、偶数アドレスに上位8ビット、奇数アドレスに下位8ビットを格納、配置される。16ビットの数値や命令語はワード単位でアクセスされ、この場合は偶数アドレス宛にアクセスする必要があり、これに違反するとアドレスエラーの例外が発生する。

命令語

68000シリーズは多機能で、充分な数のレジスターを持ちながら、プログラミング言語Cに適するような命令が多種多様に用意されているなどCISCプロセッサーらしい設計になっていた。

68000シリーズは8086シリーズのような進化はしなかったが、理由は幾説かある。マーケティングの問題説と、この多機能さが仇となりデータパスが長くなり高クロック対応が難しかった説である。

例えば加算は、add、adda、addi、addqがある。アドレスレジスター宛がadda、イミディエイトとの演算がaddi、addq、それ以外はaddを使う。addqは1から7までの加算に使う命令で、addiを使うより倍程度速い。減算も同様で、比較も同様だがcmpqはなくcmpiを使う。

ラインナップ

最後

68000シリーズも、最終的には68060というスーパースケーラーなマイクロプロセッサーが登場したが、登場が遅すぎたためどこにも採用されなかった。

シャープのパーソナルワークステーションも、68000と68030のみで、68060は使われなかった。満開製作所がX68030用の68060アクセラレーターボード「060turbo」を販売したくらいである。

一般的なワークステーション分野では、RISCプロセッサーにシェアを奪われることとなった。

命名規則

  • タイプ
    • MCxxxxx ‐ 量産タイプ
    • XCxxxxx ‐ βバージョン
    • PCxxxxx ‐ プロトタイプ
  • 種類
    • MC680x0 ‐ ノーマル仕様
    • MC68HC0x0 ‐ CMOS
    • MC68EC0x0 ‐ Embedded Controller(仮想記憶制御MMU)・FPUなし
    • MC68LC0x0 ‐ ローコスト(FPU:浮動小数演算装置)なし
  • 偶数/奇数
    • MC680e0 ‐ EVEN(偶数)..通常版
    • MC680o0 ‐ ODD (奇数)..通常版から見たバグ修正版や機能拡張版

最後の偶奇と言うのがポイントで、この為に68040の次に68050が出ず、いきなり68060に飛んだ。

用語の所属
マイクロプロセッサー
680×0
関連する用語
Motorola
CISC
FPU
8086
PowerPC

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