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Intelの開発した16ビットマイクロプロセッサー。1978(昭和53)年6月8日発売。正式名称はiAPX86。29,000個のトランジスタを3µmプロセスルールで集積し、最初のリリースでは5MHzで動作し、後に8MHz版などの高速版がリリースされた。PC/AT互換機やPC-9800シリーズなど、数多くのパソコン用CPUとして使用された。
同社の8ビットプロセッサーである8080/8085などとのソースレベルでの互換性を残すため、セグメントとオフセットという概念を採用し、8ビット的な思想のまま16ビット化を実現した。なお、seg:offsetというアドレッシング方法はIntelの誇る特許の一つである。
当時画期的だった点として、乗除算命令の装備、レジスターの使い道が比較的自由、1Miバイトまでアクセス可能な広大なメモリー空間などがあった。乗除算命令も、実際は足し算を繰り返したり、工夫して計算する方が速かったのだが、将来技術が進歩した際、乗除算命令を使用した方が速くなる日が来ることを、この当時からすでに考慮していたのである(恐らく)。
発売当時は大容量だった1Miバイトのメモリーは、後のアプリケーションの肥大化に伴い窮屈な制限と化し、長い間プログラマーを苦しめ続けた。この制限はCPUの進化とともにハードウェア上は回避されたものの、ソフト側が本格的に対応するのはWindows 95が登場してからとなった。8086発売から20年近い歳月が必要となったのである。
互換性への配慮から、もともと4ビットや8ビットだった頃の設計を引き継いでいるため、保護機能などの面で非常に弱い点がある。プログラムの実行に関るレジスターに直接値が入れられるなどの、仕様上の重大な欠陥も存在した。
しかし、このプロセッサーもその後、32ビット化されたi386や、様々な高速化技術を採用したi486やPentiumプロセッサーシリーズへと繋がってゆき、パソコン用CPUのデファクトスタンダードとなった。
パソコンや組み込み機器以外の分野、例えばゲーム基板ではあまり人気がなかったが、日本のアーケードゲームではナムコのポールポジションなどに採用されていた。
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