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国際単位系、およびかつてのcgs単位系、MKS単位系、MKSA単位系における、質量および重量の単位。省略形および単位はkg。1kgは1000g(グラム)である。
プランク定数を正確に6.62607015×10−34J·sと定義することで定まる質量。
光が持つエネルギーをE、光の振動数をν、プランク定数をhとするとE=hνの式が成り立ち、特殊相対性理論と合わせると、エネルギーは次のように定義できる。
E=mc2=hν
ここから、質量mに等価なエネルギーをもった光子の周波数は、次のように導ける。
ν=mc2/h
ここで、各定数は次の通りである。
この定数を代入し、かつ質量mを1kgとすると、次の式が得られる。
ν=(299792458)2/(6.62607015×10−34)
ν={(299792458)2/6.62607015}×1034
こうして1kgの時の光の振動数νが得られたため、換言すると、「1kgは{(299792458)2/6.62607015}×1034Hzの光子のエネルギーと等価な質量である」のように定義することが可能となった。
本邦が持つレプリカは1890(明治23)年に日本に配布された「日本国キログラム原器」である。これは国際キログラム原器と同時に作られた40個の複製の一つで、そのうち「No.6」が該当する。
また「No.30」「No.39」も副原器として日本に渡されたが、このうち「No.39」は南鮮に譲渡された。更に後、実験原器「No.E59」が新造され、結果、日本には「No.6」「No.30」「No.E59」の三つが現存する。現在、三つ全て、独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJ)にて厳重に保管・管理されている。
周波数、時間などといった様々なSI単位、物理量の単位は、恒久不変と考えられる自然現象や物理法則を用いて定義できるようになった。かつては原器だった「長さ」も光の波長に関連付けられたことで、質量だけが合金製の分銅という人工物に頼る唯一のSI基本単位となった。そして、この物理的なモデルによる定義には様々な問題があった。
物質である以上は空気中の不純物が堆積し、徐々に質量が増すと考えられる。原器の質量は徐々に増しており、その量は一説では年に1µgとされている。このため洗浄が行なわれることもあるが、この際、質量は十µg単位で軽くなる。また、2007(平成19)年には質量が突如50µgも軽くなったことも判明、しかも原因が不明とされた。
取り扱いにミスが無かったとしても、自然災害等で原器が破壊される可能性が存在するほか、変動してしまうものを基準とするために精度にも難が存在していた。
この解決のため何らかの普遍的な定義が必要だということはかなり以前から言われており、長く研究や議論が進められた。様々なアイディアが提案され、プランク定数やアボガドロ定数の測定精度向上に伴って、この基礎物理定数からキログラムを再定義することが期待できるようになった。
アボガドロ定数に基づく定義では、1kgは、ある元素の一定数の原子と定義されることになる。
有力候補の一つながら採用されなかったが、例えば「1kgは5.018…×1025個の炭素原子12Cの質量に等しい」のような定義となりうる。5.018…×1025は、アボガドロ定数を1000/12して求めることができる。
以前はアボガドロ定数自体の精度が悪く、小数点以下8桁の精度を持つキログラム原器には及ばなかった。これも、現在ではかなり精度が高まり、原器と交換可能な精度にはなっている。
国際度量衡総会において議論されているキログラム再定義では、シリコン結晶から得られたアボガドロ定数と、ジョセフソン効果や量子ホール効果に基づく電気標準から得れたプランク定数を介して導かれたアボガドロ定数とが比較されている。
2011(平成23)年10月の国際度量衡総会で出されたアボガドロ国際プロジェクトによる測定値は、英国物理研究所(NPL)およびスイス連邦計量研究所(METAS)が得たデータとは誤差の範囲で一致したが、ワットバランス法によって決定された最も精度の良いデータであるNISTのデータとは一致せず7桁目で異なっていた。このため、この時にはキログラム再定義が実施されなかった。今後、X線結晶密度法とワットバランス法の不一致の原因究明などで国際研究協力が実施される予定された。
新定義でも現在の1kgと同じ値になるよう定義は設定されるので、値そのものに大きな影響はなく、日常にも影響はないが、キログラムの定義が変更されると定義にキログラムを用いている様々なSI単位の定義に影響が及ぶ。
組立単位でキログラムを定義に用いているものは多く(ニュートン、パスカル、ジュール、ワット、ボルト、ファラッド、オーム、ジーメンス、ウェーバー、テスラ、ヘンリー)、これらは定義に直接の影響を受ける。
加えて、基本単位も、電流のアンペアはニュートンを定義に使い、熱力学温度のケルビンは基準となる三重点の定義に圧力のパスカルが存在しており、そして物質量のモルは、そのままグラムの定義変化に応じた影響を受けることになる。
この基本単位の定義変更に伴い、基本単位を定義に用いている組立単位(クーロン、カタール)も影響を受けるため、影響範囲は大きい。
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