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WILLCOMが開発した、PHSから無線通信部分を独立させたモジュール。
携帯端末開発における、最も開発が困難な無線通信部分をモジュール化することで携帯端末開発のハードルを低くする狙いがある。
従来であれば、ハードウェア技術、ソフトウェア技術に加え、無線系技術を要した。W-SIMを使えば、この無線系技術が不要となり、新たな製品を作る上での敷居が低くなる。
更に、無線機を作るには通常、無線機として申請をする必要がある。しかしW-SIMは無線機能が完全に収められた製品であるため、これを使えば申請なども不要である。
W-SIMには、二つの動作モードがある。
アダプタモードの場合、ATコマンドにより制御可能で、モデムと同様に扱うことができる。
DTEモードでは、音声通話やデータ通信など様々な機能が使える。その代わり、アダプタモードよりも制御が複雑になる。
W-SIMは、大きく次のような部位から成り立っている。
通信部分はUART、更に音声と、状態表示用端子に別れている。
なお、W-SIMを接続する装置のことを「ジャケット」と呼ぶ。
18ピンのコネクターは、次のようになっている。WをW-SIM、Jをジャケット(接続する装置)とする。
WILLCOMマークを上(表)として、右側が1番ピン、左側が18番ピンとなっている。
番号 | 信号名 | 方向 | 機能 |
---|---|---|---|
1 | TXD | W←J | UART送信シリアル・データ |
2 | RXD | W→J | UART受信シリアル・データ |
3 | RTS | W←J | UART送信データ・レディ (L:ON、H:OFF) |
4 | CTS | W→J | UART送信レディ (L:ON、H:OFF) |
5 | DTR | W←J | UART受信レディ (L:ON、H:OFF) |
6 | DCD | W→J | UARTデータ・キャリア検出 (L:ON、H:OFF) |
7 | RI | W→J | UARTリング・インジケーター (L:ON、H:OFF) |
8 | INS | W→J | RSIM検出信号 (L:挿入、H:未挿入) |
9 | Vcc | 電源(3.3V〜5.5V) | |
10 | GND | グラウンド | |
11 | PCMCLK | W→J | PCM CODECクロック |
12 | PCMSYNC | W→J | PCM CODEC同期信号 (L:OFF、H:ON) |
13 | PCMIN | W→J | PCM CODECデータ入力 |
14 | PCMOUT | W←J | PCM CODECデータ出力 |
15 | IF_SEL | W←J | L固定 (将来の拡張用) |
16 | DISP1 | W→J | 状態表示1 (L:ON、H:OFF) |
17 | DISP2 | W→J | 状態表示2 (L:ON、H:OFF) |
18 | DISP3 | W→J | 状態表示3 (L:ON、H:OFF) |
W-SIMは、基本的にはモデムとして動作する装置である。
信号レベルはTTLレベルであるが、UART16550相当、ITU-T V.24準拠のインターフェイスとして利用できる。
通信は非同期・全二重で、スタートビット1、データ長8ビット、ストップビット1、通信速度は2400/4800/9600/19200/38400/57600/120000/240000bpsからの選択となっている。
W-SIM自体は、通信路を提供するのみで、その上位アプリケーションについては何も規定していない。何でも作ることができる。
これまでも、TTやnico.のように単機能なものから、W-ZERO3などのように超多機能なものまで、様々なものが作られた。
また、現在の仕様では最大で240kbpsという高速なDTE速度に対応している。
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