視力

読み:しりょく
外語:VA: visual acuity 英語 , vid/kapabl/o エスペラント
品詞:名詞

で見てものを認識することのできる能力。

目次

視力検査では一般に「ランドルト環」と呼ばれる世界共通の記号を使う。

ランドルト環の1分角の視角にある切れ目を識別できる能力を視力1.0とする。

検査は、裸眼で測定する裸眼視力と、眼鏡等を用いる矯正視力がある。

定義

WHOでは、視力の良い方の眼の矯正視力が0.05未満である場合を失明(Blindness)としている。

日本ではおおむね、視力0.02以下で社会的失明としている。

指数弁

視力0.01未満の場合、検者の指の本数を数えることのできる距離で表わす「指数弁」が使われる。

結果は識別できる最長距離で表わし、「1m/指数弁」「50cm/指数弁」「30cm/指数弁」などと表記される。

「1m/指数弁」は視力0.02に、「50cm/指数弁」は視力0.01に相当するとされているが、それより短い距離については換算が困難とされている。

手動弁と光覚弁

「手動弁」は、検者の手掌を被検者の眼前で上下左右に動かし、その動きの方向を弁別できる能力をいう。

「光覚弁」は、暗室にて被検者の眼前で照明を点滅させ、明暗が弁別できる視力をいう。

なお、明暗すら分からない状態は医学的に盲(もう、めくら)とされる。

身体障害者福祉法

「身体障害者手帳」が貰える基準となる、身体障害者福祉法施行規則(昭和二十五年四月六日厚生省令第十五号) 別表第五号 身体障害者障害程度等級表に、障害等級が定義されている。

屈折異常のある者については、矯正視力から求める。なお、矯正困難な場合は裸眼視力による。

  • 一級
    • 両眼の視力の和が0.01以下のもの
  • 二級
    • 1 両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの
    • 2 両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のもの
  • 三級
    • 1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
    • 2 両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上のもの
  • 四級
    • 1 両眼の視力の和が0.09以上0.12以下のもの
    • 2 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
  • 五級
    • 1 両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの
    • 2 両眼による視野の1/2以上が欠けているもの
  • 六級
    • 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を越えるもの

後遺障害

自動車の自賠責保険(共済)でも、国土交通省が事故における障害を後遺障害の等級及び限度額として定め、保険金(共済金)額が決められている。

視力やまぶたに関するものは次の通り。

  • 第一級
    • 両眼が失明したもの
  • 第二級
    • 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
    • 両眼の視力が0.02以下になったもの
  • 第三級
    • 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
  • 第四級
    • 両眼の視力が0.06以下になったもの
  • 第五級
    • 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
  • 第六級
    • 両眼の視力が0.1以下になったもの
  • 第七級
    • 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
  • 第八級
    • 一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの
  • 第九級
    • 両眼の視力が0.6以下になったもの
    • 一眼の視力が0.06以下になったもの
    • 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
    • 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  • 第十級
    • 一眼の視力が0.1以下になったもの
    • 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  • 第十一級
    • 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
    • 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
    • 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  • 第十二級
    • 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
    • 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  • 第十三級
    • 一眼の視力が0.6以下になつたもの
    • 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
    • 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
    • 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  • 第十四級
    • 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

労災保険

労災保険では、業務上又は通勤による負傷や疾病が治ったときに身体障害が残った場合、程度に応じて障害(補償)給付が支給される。

障害等級認定基準については、厚生労働省が、「眼(眼球及びまぶた)の障害に関する障害等級認定基準」(平成16年6月4日付け基発第0604004号)の別紙で定義している。

「矯正視力」から求められる障害等級は次の通り。このほかに、運動、複視、視野、まぶた等の障害によって、等級は加重される。なお、矯正困難な場合は裸眼視力による。

  • ア 視力障害
    • 第1級の1 両眼が失明したもの
    • 第2級の1 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
    • 第2級の2 両眼の視力が0.02以下になったもの
    • 第3級の1 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
    • 第4級の1 両眼の視力が0.06以下になったもの
    • 第5級の1 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
    • 第6級の1 両眼の視力が0.1以下になったもの
    • 第7級の1 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
    • 第8級の1 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
    • 第9級の1 両眼の視力が0.6以下になったもの
    • 第9級の2 1眼の視力が0.06以下になったもの
    • 第10級の1 1眼の視力が0.1以下になったもの
    • 第13級の1 1眼の視力が0.6以下になったもの
  • イ 調節機能障害
    • 第11級の1 両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの
    • 第12級の1 1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの
  • ウ 運動障害
    • 第10級の1の2 正面視で複視を残すもの
    • 第11級の1 両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
    • 第12級の1 1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
    • 第13級の2の2 正面視以外で複視を残すもの
  • エ 視野障害
    • 第9級の3 両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
    • 第13級の2 1眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
用語の所属
健康診断
VA
関連する用語
眼鏡
失明
視覚障害

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