宇宙空間を飛び交っている、高エネルギー荷電粒子(放射線)のこと。
1912(大正元)年、アメリカの物理学者ヴィクトール・フランツ・ヘスは気球を使った観測で、地球外つまり宇宙から飛来する放射線を発見した。これが宇宙線である。ヘスはこの発見により、1936(昭和11)年のノーベル物理学賞を受賞している。
現在地球で観測されるものは、太陽由来(太陽宇宙線)のものと、銀河系内由来のもの(銀河宇宙線)とに分けられ、通常、単に宇宙線と言った場合は後者の銀河宇宙線をいう。
太陽系では、恒星である太陽から吹き出す太陽風によって外向きの圧力が生じる。
この力によって、外から飛来する宇宙線が太陽系内に自由に侵入することが防がれている。高エネルギーなものは侵入できるが、そうで無いものは侵入を阻止される。
太陽風の影響範囲内をヘリオスフィア(太陽圏)といいこれを太陽系とし、その外側である恒星間空間の境界はヘリオポーズと呼ばれている。
高エネルギーの銀河宇宙線は、時折地球に飛来している。大気中に高エネルギーの銀河宇宙線が入射すると、大気中の粒子と反応し、多くの二次的な粒子を生じる。この反応を、空気シャワー現象という。
この時、入射する元の宇宙線を一次宇宙線、二次的に生じた粒子を二次宇宙線という。一次宇宙線は大半が陽子だが、二次宇宙線はμ粒子が多い。
宇宙を飛び交う宇宙線そのものを直接観測することはできないが、宇宙線が星間ガスなどに衝突すると必ず一定の確率でγ線を発生させるため、γ線を観測するという間接的手法で銀河宇宙線の観測も行なわれている。
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