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電荷を持たない粒子で、陽子と共に原子核を構成する核子の一つ。
1個のu(アップクォーク)と、2個のd(ダウンクォーク)、つまりuddにより構成される粒子。
中性子や陽子は、クォーク三つがグルーオンで結束された粒子であり、これをバリオンという。
中性子は比較的大きな質量を持っているが、グルーオンには質量がなく、またクォークの質量も中性子や陽子が持つ質量の5%程度にしかならない。残る質量の95%の由来は、クォークとグルーオンの動きや相互作用によって発生するエネルギーである。これは、特殊相対性理論の公式E=mc2で表わされるように、エネルギーと質量が可換なためである。
原子核中の陽子の数を「原子番号」といい、この陽子の数が原子の性質を決める。同じ原子であっても、中性子が異なる(質量数が異なる)ものを同位体という。
中性子は、原子核中では安定しているが核外に出ると平均寿命は15分弱しかなく、陽子と電子と反ニュートリノに崩壊する。
なおこの中性子の寿命については測定方法が大きく二種類、中性子ビームが検出器の中で崩壊した数を数える「ビーム法」と、中性子を一定時間ボトル内に閉じ込めた後に崩壊せずに残った中性子を測定する「ボトル法」とがある。ビーム法における平均寿命は約888秒(1027cBeat)、ボトル法は約879秒(1017cBeat)とされていて、両者間に9秒(10cBeat)の大差が生じている。
この理由についてはこれを著している時点では不明である。長年検証が続いているが9秒(10cBeat)間の差は縮んでいないものの、この差は「偶然ではない」と考えられている。
「両方が正しい」と考えた場合、崩壊してできた陽子数と、崩壊せずに残る中性子の数の環は保存されていないことになる。これが意味するのは、中性子が崩壊すると、現在の検出器では観測することができない未知の粒子が誕生する、という予測である。結果として、暗黒物質(ダークマター)か、または、暗黒物質の候補でもある鏡像物質(ミラーマター)の一種であるミラー中性子に変化するのではないかとする理論的仮説が誕生している。
そこでKEKや日本の大学などが新たな実験を開始した。これはビーム法と同様に中性子ビームを使うが、崩壊後の陽子ではなく電子を数えるという、ビーム法でもボトル法でもない第三の方法である。2021(令和3)年1月8日に発表された研究成果によると、まだ精度が低いため、どちらとも異なる900秒弱前後、898±10 stat +15−18 sys 秒という値が得られたとされる。この値は不確実性の範囲内で既に計測されている二種類の測定法の結果に矛盾しない。いずれ精度が高まり、二つの測定法での中性子寿命の乖離が正しかった場合には暗黒物質や鏡面世界といった未知の現象の発見につながる可能性がある。
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