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タバコの乾燥葉(葉たばこ)に枸櫞酸塩や林檎酸塩として2〜8%存在するアルカロイドの一種であり、麻薬の一種。
ニコチンの名は、タバコをフランスに輸入したJean Nicotの名から。
ニコチンは、神経、特に中枢神経に広く分布するニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)と親和性が高く、ここに作用し神経伝達物質として機能することで薬理作用を示すものと考えられている。
特に依存性にとって重要な部位は、中脳の腹側被蓋野、前脳の側坐核などで構成される報酬系回路で、ドーパミン作動性神経細胞が関わっている。通常は、食事、セックスといったもので刺激され幸福感を発生させるが、ニコチンも直接的または間接的に報酬系回路のnAChRを刺激、身体に快感を及ぼす。この快感を継続的に求めるようになり、強い精神依存(強い嗜好性)を来たすことになる。この形態の依存性形成は、コカイン(麻薬)、アヘン/モルヒネ/ヘロイン(麻薬)、あるいはアンフェタミン/メタンフェタミン(シャブ、覚醒剤)もまた同様である。
nAChRは末梢神経にもあり、末梢のnAChRに作用すると毛細血管の収縮作用(血圧上昇)などの作用がある。
ニコチン性受容体というのは実際には様々な種類があるが、ニコチンはそれを識別する機能がなく、多くの受容体に親和し作用する。このため科学者の中には、ニコチンは「アセチルコリンの粗悪品」と呼ぶ者もいる。
ニコチンは麻薬の一種ではあるが、毒性が極めて強い猛毒である(LD50(半数致死量)が極めて低い)ため、麻薬ではなく、毒物及び劇物取締法により毒物指定がなされている。
ニコチンの毒性作用は極めて強く、ヘロインの100倍程度。青酸カリにも匹敵し、煙草数本で人間を殺せる毒性を持つ。
通常使用量でも心血管系、中枢神経系に影響を与えて痙攣、呼吸機能不全を生じることがあり、許容濃度を遥かに超えた場合は死に至る。
しかし煙草を吸っても中毒死しないのは、吸引によって体内に取り込まれる量は比較的少ないという理由による。紙巻き煙草はフィルターを通して煙を吸うので毒性が弱まるが、葉巻煙草などはダイレクトに吸う事になるので毒性・効果ともに顕著である。
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