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静止気象衛星ひまわりの5号機。1995(平成7)年3月18日、種子島宇宙センターからH-Ⅱロケット試験機3号機で打ち上げられた。
日本電気(NEC)と宇宙開発事業団(NASDA)が開発し、最後までノートラブルで運用が続けられた優秀な衛星である。
ひまわり5号の主要な機能は、可視赤外走査放射計(VISSR)による気象観測である。可視光線と赤外線により地球大気と地面や海面を観測し、台風の発生と動き、低気圧などの観測、雲の観測、風向風速の観測、海面温度の観測など、気象の情報を得る。
またひまわり5号は気象観測装置だけでなく、船舶の遭難信号を受信して地上に送り返すSAR(Search and Rescue)トランスポンダーが搭載され、船舶の非常用位置指示無線標識(EPIRB)が発する遭難信号を中継し、捜索救難活動に利用されている。
ひまわり5号は故障もなく立派に仕事をこなしたが、不幸は、後継機の打ち上げ失敗から始まった。後継の運輸多目的衛星(MTSAT)は1999(平成11)年11月に打ち上げられ、寿命後はMTSATに引き継ぐ予定だったが、運輸多目的衛星1号機(MTSAT-1)は打ち上げに失敗、予備機もないということで、設計寿命(5年間)を超えてもなお現役として使いつづけられることとなる。
しかし撮影能力の低下は如何ともしがたく、米国海洋大気局(NOAA)より米国の静止気象衛星GOES 9を借り受けることとなり、2003(平成15)年5月22日、遂にひまわり5号は気象観測から引退することとなった。但し、GOES 9にはひまわり5号にあるSARトランスポンダーはないので、この機能に関してはひまわり5号のものを使うことになる。
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