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血液型分類法の一つ。赤血球の血液型。赤血球の表面上の抗原性の違いによって、A型、B型、AB型、O型に区別される。
1900(明治33)年、オーストリー出身の医学者カール・ラントシュタイナー(Karl Landsteiner)により発見された。
論文 "Ueber Agglutinationserscheinungen normalen menschlichen Blutes"(正常ヒト血液の凝集現象について)は翌年の1901(明治34)年11月14日に発表されている。
本当の親子でも、ABO式血液型が合わないことは良くある。
アメリカのみならず、日本でも、不倫相手の子なのではないかと訴訟にまで発展したケースはあるが、例えば両親がA型だからといって子供が常にA型とは限らない。
突然変異や、特殊な血液型(後述)などの例外、または「誤判定」を除けば、父親・母親と子供のABO式血液型の組み合わせは、次のようになる。以下の何れかであれば、親子関係は肯定も否定もできない。
父親の血液型 | |||||
---|---|---|---|---|---|
A | B | O | AB | ||
母親の血液型 | A | A、O | A、B、O、AB | A、O | A、B、AB |
B | A、B、O、AB | B、O | B、O | A、B、AB | |
O | A、O | B、O | O | A、B | |
AB | A、B、AB | A、B、AB | A、B | A、B、AB |
このようになる理由は、ABO式血液型には「表現型」と「遺伝型」というものがあり、通常用いる1文字の表現型では表現しきれない特徴がABO式には存在するからである(詳細は後述)。
また誤判定となる理由も、決して医者が手抜きをしているわけではなく、血液型は必ずしもA、B、O、ABなどという4種類には単純化できないことによる。亜型(後述する)と呼ばれるものは、検査から漏れ、異なる血液型に判定される可能性があるのである。
ABO式血液型の特異な特徴は、自分の赤血球とは反応しない抗体(規則抗体)を血液中に常に持つことである。
A型の人は「抗B抗体」、B型の人は「抗A抗体」、O型の人は「抗A抗体」と「抗B抗体」の両方を持つため、異なる血液型の血液を混ぜると固まってしまう。なお、AB型の人は「抗A抗体」も「抗B抗体」も持たない。
なぜ特異な特徴かというと、通常の免疫では、抗原が体内に侵入したときに抗体が作られる。しかし抗A抗体/抗B抗体の場合、「体内にない抗原に対する抗体が作られる」ことであり、免疫学的に見ても非常に不思議な現象である。
ないものに対する抗原など作りようがないはずだが、どうやら腸内細菌にA型抗原やB型抗原に似た成分を持つものがあり、生後3〜6ヶ月程度するとこれを基に自分の持たない抗原に対するIgM型の抗体が作られるようである。
なお、A型やB型と一言で言っても、それには多くの亜型(バリエーション)があることが知られる。
具体的には、赤血球上にA型抗原はあっても、その量が少なかったり、あるいは通常とは形状が異なっていたりするものがあり、それらを総じて亜型という。
亜型は通常の血液型検査では血液型がはっきりと分からなかったり、あるいはオモテ検査(赤血球上の抗体検査)とウラ検査(血漿中の抗体検査)の結果が一致しないことがある。
昔はO型の血液はA型・B型の人に輸血できる、などと言われていたが、血清抗体の発見により、現在これは否定されている。
また同様に昔はAB型の人はAB型だけでなくA/B/O型全ての人から輸血を受けられるとされていたが、現在ではこのような輸血は行なわないことが前提となっている。
ABO式血液型を正確に判定するためには、「赤血球にある抗原」と、「血漿中にある抗体」の双方を調べる必要がある。
つまり二種類の試験がありオモテとウラと呼ばれていて、この双方が一致した場合にABO式血液型は確定する。
簡易な検査ではオモテ試験のみ行なうが、きちんとした検査ではオモテとウラ双方を実施する。
検査方法に間違いが無いにもかかわらずオモテとウラが一致しない場合、亜型の可能性を考慮して原因を調べる必要がある。
なお、ウラ試験の対象である血清中の抗体は生後3〜6ヶ月頃にならないと作られないほか、新生児は母親から移行した抗体が残存するため、産まれてすぐには正確な結果がでない。オモテとウラが一致するようになるのは個人差もあるが生後1歳程度からとされているため、通常は生後1歳未満の乳幼児に対してはウラ試験を実施しない。
人間のABO型の血液型を決める遺伝子は9番染色体に記録されており、ここにA、B、Oの3種類の遺伝子がある。
AとBは優劣がなく、A/Bは共にOに対して優性なので、結果的にAA・AO→A型、BB・BO→B型、AB→AB型、OO→O型となる。2文字で表記するのを遺伝型、1文字で書くのを表現型という(但しAB型を除く)。
なお、糖(A抗原・B抗原)が接続するH抗原は19番染色体に記録されている。
人間における血液型は、当初はA型のみであった。その起源は数百万年前、ヒトとサルの分岐以前にまで遡ると考えられている。
後にA型から遺伝子欠損による突然変異でO型が産まれ、更にその後、A型からB型が産まれた。
A遺伝子やB遺伝子は共に354個のアミノ酸からなる転移酵素をコードしている。
A遺伝子とB遺伝子はコドンの176、235、266、268番目が異なっており、その結果4個のアミノ酸がそれぞれの転移酵素で異なる。
その一方、O遺伝子のcDNAの塩基配列はA遺伝子と類似するが、88番目のコドンのG塩基が欠失しているためフレームシフト突然変異となり、全く異なるアミノ酸配列による別の蛋白質が産生される。この蛋白質には転移酵素の活性はない。よってH抗原に糖が付加されないためO型となる。
また更に、O遺伝子のcDNAの塩基配列の研究が進んだ現在、B遺伝子と類似のcDNA配列や、特異的なG塩基の欠失を伴わないO遺伝子も発見された。
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