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毒性が強いとされる物質の中でも、特に有名なもの。
ダイオキシンとは、複数の物質の総称である。このため「ダイオキシン類」ともいう。
ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)や、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、コプラナーPCBをまとめてダイオキシン類と呼んでいる。
ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン・1-4,6-9に1〜8個のClが付く
ポリ塩化ジベンゾフラン・1-4,6-9に1〜8個のClが付く
常温では無色無臭の固体である。
ダイオキシン問題という言葉がある。しかし、世間に流布されている事柄は、時に事実から乖離している。
ダイオキシンは主として食物から摂取される。
ダイオキシンは脂肪に溶けやすいため肉や魚、卵、乳製品などに含まれやすい。また水に溶けないので根から水を吸い上げる野菜にダイオキシンが濃縮される可能性は低い。
かつて、テレビで埼玉県所沢市の野菜にダイオキシンが多いなどと事実無根の報道をされ、農家は風評被害で大損害を被るなど大問題となった。
生体内でほとんど代謝されないことから、食物連鎖の過程で生態濃縮される。たとえば、飼料にダイオキシン類が多く含まれればそれを食べた畜産物は汚染されるため、飼料中の濃度の管理が重要である。1999(平成11)年にはベルギーで飼料のダイオキシン汚染が発生、ベルギー産の鶏肉、鶏卵が高濃度でダイオキシン汚染されるという事件が発生した。
このような問題に対応すべく、日本でも厚生労働省や農林水産省が調査している。農林水産省の「平成19年度農水産物中のダイオキシン類の実態調査の結果について」によると、厚生労働省の調査で、農畜水産物からのダイオキシン類の一日摂取量は耐容一日摂取量の4分の1程度だった、としている。
塩化ビニール(以下塩ビ)を燃やすと発生するとされ、1990年代には学校の焼却炉の閉鎖や、塩ビ排斥運動などが各地で起こり、社会問題にもなった。
しかし、このダイオキシンの毒性も被害も、実際には悲観する程のものではなかった。
ダイオキシンの発生源とされる焼却炉だが、発生するダイオキシン量は調査により塩ビとは無関係と判明している。
なぜなら、一般家庭ゴミにも充分量の塩素が含まれるため、ダイオキシン生成量はほぼ全て炉の燃焼条件のみで決まるのである。加えて焼却炉周辺と遠方とで摂取量・体内量を調査しても、有意な差は存在しなかった。
現在も焼却炉に特化して対策が進められてはいるが、元々問題の無いレベルを、さらに問題の無いレベルに下げるために莫大なコストを掛けようということになり、資産配分から考えても問題といえる。
つまり、塩ビを規制したところでダイオキシンは減らない。ダイオキシンの摂取量や体内量が最も多かったのは1970年代だが、その諸元は牧草地に多く撒かれた有機塩素系農薬であると考えられている。
次に内分泌撹乱作用(環境ホルモン作用)である。
精子数減少や胎児畸形問題が増加したのはここ30年程度の話であるが、一方、ダイオキシン摂取量や体内量はここ30年で順調に減少してきている。
つまり両者に相関は見られず、ダイオキシンが直接の原因であるという根拠は存在しない。
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