大深度地下の公共的使用に関する特別措置法

読み:だいしんどちかの・こうきょうてきしようにかんする・とくべつそちほう
品詞:固有名詞

日本国の法律の一つで、大深度地下、つまり非常に深い地下を公共で利用する場合の要件や手続きを明確に規定し、まとめた法律。

目次

  • 通称: 大深度法
  • 番号: 平成十二年五月二十六日法律第八十七号
  • 効力: 現行法
  • 種類: 公法
  • 関連する法律:
    • 土地収用法

深さ

定義は、法の第二条で定義され、実際の深さは施行令で定義されている。

次のいずれか深い方以上の深さとする。

  1. 地下40m以上深
  2. 建築物の基礎ぐい(基礎杭)の支持地盤より10m以上深

大深度地下では、地上の権利(所有権や地上権等)が及ばず、トンネルや共同溝を掘ったりする場合に地上の土地の買収や補償が不要。

対象地域

対象地域は、公共の利益となる事業であり、大深度地下を使用することに社会的経済的必要性が存在する地域に限られる。

首都圏の対象地域
その区域の全部又は一部が首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)第二条第三項に規定する既成市街地又は同条第四項に規定する近郊整備地帯の区域内にある市(特別区を含む。)及び町村の区域
近畿圏の対象地域
その区域の全部又は一部が近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号)第二条第三項に規定する既成都市区域又は同条第四項に規定する近郊整備区域の区域内にある市町村の区域
中部圏の対象地域
その区域の全部又は一部が中部圏開発整備法(昭和四十一年法律第百二号)第二条第三項に規定する都市整備区域の区域内にある市町村の区域

対象事業

対象は、法 第四条で定義される、次の事業に限られる(平成二〇年三月三一日法律第八号の時点)。

  1. 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路に関する事業
  2. 河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)が適用され、若しくは準用される河川又はこれらの河川に治水若しくは利水の目的をもって設置する水路、貯水池その他の施設に関する事業
  3. 国、地方公共団体又は土地改良区(土地改良区連合を含む。)が設置する農業用道路、用水路又は排水路に関する事業
  4. 鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第七条第一項に規定する鉄道事業者が一般の需要に応ずる鉄道事業の用に供する施設に関する事業
  5. 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が設置する鉄道又は軌道の用に供する施設に関する事業
  6. 軌道法(大正十年法律第七十六号)による軌道の用に供する施設に関する事業
  7. 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第百二十条第一項に規定する認定電気通信事業者が同項に規定する認定電気通信事業の用に供する施設に関する事業
  8. 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)による一般電気事業、卸電気事業又は特定電気事業の用に供する電気工作物に関する事業
  9. ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)によるガス工作物に関する事業
  10. 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)による水道事業若しくは水道用水供給事業、工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)による工業用水道事業又は下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)による公共下水道、流域下水道若しくは都市下水路の用に供する施設に関する事業
  11. 独立行政法人水資源機構が設置する独立行政法人水資源機構法(平成十四年法律第百八十二号)による水資源開発施設及び愛知豊川用水施設に関する事業
  12. 前各号に掲げる事業のほか、土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第三条各号に掲げるものに関する事業又は都市計画法(昭和四十三年法律第百号)の規定により土地を使用することができる都市計画事業のうち、大深度地下を使用する必要があるものとして政令で定めるもの
  13. 前各号に掲げる事業のために欠くことができない通路、鉄道、軌道、電線路、水路その他の施設に関する事業

利点

この法律施行以前は、どんなに地下深くても、基本的に地表の土地は収用しておかなければならなかった。都市の浅いトンネルも、山中のシールドトンネルも、例外無く同様である。

大深度は建設コストが通常の地下構造より多く掛かるが、地表の土地の収用が不要となる分、素早い道路工事が可能となる。

この法律が初めて適用された道路は東京外環自動車道(外環道)であるが、現在建設中であり、完成はしていない。その後は全国各地で適用されるようになった。

鉄道で初めて適用される予定なのはつくばエクスプレス(東京〜秋葉原延伸)である。

由来

道路や鉄道が必要であっても、日本弱体化を狙うプロ市民の妨害により、なかなか建設に着手できない事例が頻発していた。

成田空港でも同様だが、過激派などの応戦は「一坪地主運動」で、買収の手間を増やして時間稼ぎをする、というものであった。政府も収用を進めてはいるが、埒があかない状況が続いていた。

道路需要は特に都市部で顕著であり、乗用車の台数が現在の1/4に過ぎなかった1970年代で既に外環道が必要とされていたにもかかわらず、40年経った今も未完成である。

この外環道のような道路を一日でも早く通す必要があったことから、この法律が作られた。

安全性

道路は、可能であれば地表ないし高架で作られるべきである。その方が安全だからである。しかし妨害活動を回避するためには、トンネルにせざるを得ない。

地下40mで事故が起きたときの安全性などは懸念があるが、仮に地下5mでも土を掘って逃げたり救出したり出来るわけではないので、現実には大して変わらない。

適用事業

適用が予想される事業

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