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浮上式のリニアモーターカーによる、JR東海の高速鉄道の計画であり、仮称。
一般には「中央新幹線」または「リニア中央新幹線」などと呼ばれている。
JR東海は、正式名称が決まるまで、このような大それた名前を使うことは避けたいらしく、「東海道新幹線バイパス」や「東海道新幹線バイパス(中央新幹線)」などと表記している。
東京都内〜名古屋〜大阪府内を「直線的」に結ぶことを目標とし、まず品川〜名古屋間を2027(令和9)年に開業させ、会社の経営体力を回復させ8年後の2035(令和17)年に名古屋〜大阪間を着工、大阪までの全面開業は2045(令和27)年を目指した。
リニアモーターカーなので、弾丸のように真っ直ぐに進まないとその性能を活かすことができない。JR東海は、国(より具体的には政治家)からの余計な口出しでルートが曲げられ酷いことになった東海道新幹線の反省を元に、全額を自費で建設することとした。さもないと政治的な圧力で、線路を真っ直ぐ通すことが出来ないからである。
たとえば単なる通過地点でしかない長野県は、「Aルート」「Bルート」「Cルート」などとして複数のルート案を出し、直線ではなく迂回を強く要求した上、諏訪・伊那・飯田の3駅の建設を求めるなどした。そもそも最も効率的な直線ルートが、最後の「Cルート」でしかないという辺りからして、受け入れ難い案であった。しかし建設には税金が入っていなかったため、JR東海は長野県の要求を一蹴でき、直線ルート(いわゆる「Cルート」)で建設をすることが出来た。もし税金での建設であったなら、この要求通りに建設せざるを得なかったのである。
それでも何とかして税金を投入したい政治家勢力は全力を尽くしたが、最終的には「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案」という形でJR東海に長期固定かつ低利の財政投融資をする、という決着となった。計画では、体力回復期間とした8年を0として最大8年間前倒しし、名古屋開業後すぐに新大阪まで着工することとなった。JR東海は、建設費の一部として2016(平成28)年度と2017(平成29)年度にそれぞれ1兆5000億円ずつ借り入れる予定である。
JR東海は、最初から中間駅は沿線の各県に1駅を設ける方針を取っている。
ただし「中間駅は必要なら地元自治体が負担して建てる」という方針で、建設費は1駅あたり350億円程度とし、JR東海は自社の負担を否定している。
これに地元自治体の知事などは反発した。横内正明山梨県知事は「中間駅のないリニアは必要ない。」などとし、「地元は負担したくないが駅は欲しい」「国とJRが作れ命令だ」というような要望書(正確には、国の資金拠出などによる負担軽減を求める要望書)を提出している。
その後、各県の駅は次の場所に内定した。
JR東海の柘植康英社長は、建設にあたり特に難工事が予想される場所を三箇所挙げている。
南アルプストンネルは、標高3000m級の山岳地帯に長さ25kmものトンネルを掘削するという難工事中の難工事である。このためあらゆる建設工事の本格着工に先立ち、2015(平成27)年12月18日に本格着工された。
品川駅と名古屋駅が難しいのは、既存駅をそのまま運用しながら、その真下に建設する必要がある。在来線は24時間走り続けており、その直下に穴を掘ったり駅を作ったりすることは、非常に難しい公示となる。
沿線の9都府県(東京都・神奈川県・山梨県・長野県・岐阜県・愛知県・三重県・奈良県・大阪府)により、1979(昭和54)年に発足されたのが「中央新幹線建設促進期成同盟会」である。
その後、2009(平成21)年「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」に改称し、今に至る。
この会は、リニア中央新幹線の早期実現を目指し、広報啓発、調査、要望活動などに取り組んでいるとしている。
そもそも超高速で走ることが目的のリニアなので、ルートは可能な限り直線でなければならない。途中に迂回ルートや余計な駅があったりしてはならない。このため、余計な口出しを回避するために、JR東海が全額自費で建設することになった。これには、かつての東海道新幹線での反省がある。
東海道新幹線も超高速鉄道という趣旨は同じはずだったが、これは国鉄であり、建設に税金が投入された。このことから地方出身の政治家が国鉄や鉄道公団に圧力をかけ、自分の地元にルートをねじ曲げる「我田引鉄」が横行し、結果、高速走行にまったく適さない酷くねじ曲がった路線、そして明らかにいらない駅だらけの路線になってしまったのである。
この東海道新幹線を引き継いだのがこのJR東海であり、路線の酷さを誰よりも嘆いている会社である。ここが「全額自費」と決めたことには、重い決断が存在したということである。
国(より正確には政治家)があまりにも鬱陶しい事から、JR東海は税金の投入を諦め、全額自費でやる代わりに口を挟むことを拒絶するという方針とした。
無事に当初希望の適切なルート(通称Cルート)も正式決定し、着工の段取りも整ったところで、利権を諦めきれない政治屋は性懲りもなく横槍を入れ、金を出すから口も出させろという方向に巻き戻そうとした。
総事業費約9兆円のうち東京‐名古屋の5兆円は捻出したが残る4兆円が未定というところに目を付け、2011(平成23)年6月15日に「大阪‐東京間の同時開通を目指す自民党国会議員連盟の設立総会」が東京都千代田区の自民党本部で開かれたとされる。発起人は田野瀬良太郎衆院議員(奈良4区)で、会長には川崎二郎衆院議員(三重1区)が就任した。
同議連は「東京一極集中による国土の不均衡の是正」「新しい国土交通軸の形成」「東日本大震災をふまえ東海道新幹線の代替機能を有するリニアの早期開通」を目的に据えるとし、残る4兆円は税金から捻出するかわり、奈良県や三重県に駅を設置して「畿央エリアへの首都機能移転も視野に」との展望を語ったとする。
これが昔から変わらぬ「我田引鉄」なのであり、だからこそJR東海は全額自費を決めたのである。
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