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携帯電話やカーナビ、専用ポータブルテレビ受像機などに向けた地上デジタルテレビジョン放送のこと。
2006(平成18)年4月1日から、首都圏や愛知、大阪、福岡など全国29都府県で本放送を開始した。
民法は1日の午前5時頃より、NHKは同日午前10時より、試験放送を本放送へと切り換えた。
映像フォーマットはITU-T H.264で、画像サイズは320×240ピクセル(QVGA)または320×180ピクセル、ビットレートは約312kbpsである。
音声モードはモノラル・ステレオ・主/副2チャンネルモノラルの3種類からの選択である。
各社とも機能のマンネリ化にあえいでいた折、地上波テレビ放送のデジタル化に伴って2006(平成18)年からサービスが開始され、国産/外国産問わず、国内で販売されるのスマートフォンの多くに受信機が搭載されるようになった。
ネットの動画配信サービスと違って契約は不要で、かつ無料で受信できる点がメリットとなっていた(ただし初期にはSIMカードが必要な機種が多かった)。
中には、通常のテレビ放送と同じ画質(解像度)の「フルセグ」受信ができる機種まで登場した。しかし―――
NHKは、放送法第64条「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。(後略)」を盾に、NHKが受信可能であるワンセグに対応するスマホはNHK受信料契約の対象となり得るとし、受信料契約の戸別訪問員を全力で稼働させてスマートフォンを持つ人に対し玄関先で契約を迫った。
ちなみに当時のNHK受信料は、月額1,260円(税込)である。
この問題は4件の訴訟が最高裁判所まで争ったが、2019(平成31)年3月13日までに、契約義務があるとするNHK側勝訴の判決が確定し判例となった。
そしてこれが、「ワンセグ」が事実上終了した瞬間である。
そもそも、この当時から若者は殆どテレビを観ていなかった。モバイル回線の高速化もあり、スマホからネット配信を観るのが一般化していたからである。ゆえに家にテレビ受像機そのものが無い家も珍しくはなくなった。
若者はAbema TV、dTV、Netflixなど、番組の量や質の豊富な動画配信サービスを使うことが多くなり、ますますテレビから離れていった。民放各社もこの動きに合わせて、フジテレビが「FOV」を展開するなど在京キー局各社は独自の有料動画配信サービスを展開し、また日本テレビ放送網も「Hulu」の日本事業権を買収した。
結果としてNHKのせいで若者のテレビ離れを加速させ、民放各社もその影響をモロに受けたと言うことができる。
かくして、需要が存在せず、むしろ付いていると有害ですらある「ワンセグ」は、存在自体が邪魔者となった。
「スマホにワンセグが付いているだけでNHK受信料という余計な出費が発生する」という、極めて簡単な理由によって、ワンセグ付きの国産スマホは全く売れなくなった。結果として以降の新機種の殆どでワンセグ機能は削除された。
最高裁判決から翌年の2020(令和2)年に発売されたスマホでワンセグに対応するものは、普段からテレビを見ているいわゆる「シニア向け」スマホのみで、以下の3機種だけであった。
2021(令和3)年発売の新機種では搭載機種はゼロだった。
2022(令和4)年発売の新機種でワンセグに対応するものは、やはりシニア向けの次の1機種だけである。
かくして、シニア向けという特殊な需要向け以外の一般的なスマホからは、あっという間に「ワンセグ」機能は消滅し今に至るのである。
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