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ATX電源規格の派生規格で、供給する電圧を12Vに限定したもの。正規のATX電源規格には、これを著している時点では含まれていない。
従来24ピンもあった巨大なメインコネクター(MBUコネクター)に代えて、10ピンのコンパクトなコネクターを使う。
+12VとGNDが3組で計6ピン、+12VSBが1ピン、残りはPS_ON#端子とPWR_OK端子、そして1ピンの予備端子である。
かつては5Vなどが一般的だったLSIの駆動電圧も、今や主流は1.8Vや1.5Vなど更に低い電圧で動作する。従って、マザーボードではこういった電圧を何らかの方法で別途生成する必要があり、結果としてVRM(電圧レギュレーターモジュール)を搭載して必要となる電圧を生成する。
この場合、3.3Vや5Vから生成するより、12Vから生成する方が効率がよくなる。これをどのように作るかと考えた時、LDO(低損失)タイプのレギュレーターをでは入出力の電圧が近いほど高効率となるが、そうでない場合、例えば3.3Vから1.8Vを作ろうとすると45%近くが熱となって消費されるという非効率なことになる。現在は12Vを入力して1.8Vを出力する変換効率90%以上という小型のDC-DCコンバーターモジュールもあり、そうであれば12Vを使う方が電流も少なく済み得策である。
かくして、現在ではマザーボード上で+3.3Vや+5Vを使うニーズは殆どなくなった。
マザーボードから外部への電源供給で12V以外では、PCI Express拡張スロットでは3.3Vや、シリアルATAでも5Vがあるが、たとえばPCI Express拡張スロットでは3.3Vを最大3Aも提供する機能があるため12Vから3.3Vを生成し供給する例がある。こうなると電源ユニットからの3.3Vの供給は不要である。
CPUに加えてGPUも大電流を消費するようになると、こちらにも12Vで電源が供給されるようになって、ますます+5Vや+3.3Vの供給は不要となっていった。
5Vも殆ど使われなくなり、ATX電源仕様でオプションとなっている−12Vなど使用例は皆無である。
−12Vというのは、+12Vと合わせてRS-232Cシリアルポートの信号電源として使われたり、昔のDRAMでは変な電圧を要求したりする例があり、そのために使われた。シリアルポートだけをみても、今やUSBが一般的でRS-232Cは廃れたこと、仮にRS-232Cを付けるにしてもMAX232などのドライバーICは5Vまたは3.3Vの電源入力だけで±12Vを信号を出力することができる。従って−12Vの電源供給などは今に至っては全く必要がない。
電源ユニットから大量に出ている白いペリフェラル電源コネクター。これは5Vと12Vを供給しており、古くは様々なものに電源供給するためケース内を引き回されて活躍していたものだが、今ではHDDにせよSSDにせよ専用の電源ケーブルが用意され需要は激減した。現在の数少ない需要であるケースファン接続などでもファンが使うのは12Vであって5Vではない。
従来のATX電源シリーズでは、+5VSBが供給されていた。SBはスタンバイ、すなわちシャットダウン後にマザーボードに対して供給する待機電力である。
しかしこれも、+5Vではあまり使い道がないのが実情だったが、ATX12VO規格ではこれも12V化され+12VSBとなった。
Intelが2019(令和元)年にリリースした規格だが、2年経っても全くと言って良いほど普及しておらず、アメリカではASRockのZ490 Phantom Gaming 4SRという製品がATX12VO対応の唯一のマザーボードとして既知であるが日本での販売はなく、またATX12VO対応の電源ユニット製品も殆ど知られていない。結果日本ではATX12VO対応のマザーボードなどただの一枚も発売されていない。
そこでIntelは、2021(令和3)年後半に発売した第12世代デスクトップ向けマイクロプロセッサーAlder Lake用のLGA1700のプラットフォームからATX12VOを前面に推すようになった。
Intelが発案した手間Intelが推してはいるが、別にAMDも使おうと思えば使えるし、ARMサーバーなどの新参であれば過去のしがらみもないので導入しやすい可能性はある。
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