ビール

読み:ビール
外語:beer 英語 , 啤酒 支那語(大陸・台湾) , bier/o エスペラント
品詞:名詞

大麦などの麦芽を糖化させ、ホップを加えた後に酵母によって醱酵させたアルコール飲料。麦酒。

目次

日本では、昭和30年〜昭和40年代の高度経済成長期に広く大衆化したとされている。

飲み会等で最初が「取り敢えずビール」が定着したのも、この頃である。

当時は日本酒が一般的だったが、この頃は日本酒を「冷」で飲む習慣がなく、燗して飲まれていた。お燗を付けるとなると飲み始めるまでに時間が掛かるため、大勢で「乾杯」するため、すぐに出て来るビールが好まれるようになったと考えられている。

種類

ビールは、醱酵法により次のように分類される。

この他に、酵母を加熱殺菌していないビールを「生ビール」(ドラフトビール)という。

情勢

日本では「酒税法」ではビールと発泡酒に大きく分けられている。昨今では「節税」を目的に、様々なビール風味発泡飲料、いわゆる「第三のビール」として様々なものが作られている。

  • ビール
  • 発泡酒
  • その他の醸造酒(発泡性)① (旧称「その他の雑酒②」)
  • リキュール(発泡性)①

新しい種類の第三のビールが作られると、それへの増税を目的とした酒税法の改正が行なわれる「いたちごっこ」が続いている。

このような不可思議な飲料が次々と産み出されているのは世界でも日本だけで、これも日本の酒税法が珍妙であることが最大の理由である。

酒税法の定義

ビール

酒税法による「ビール」の定義は次の通り。

酒税法

(その他の用語の定義)

第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

十二 ビール 次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のものをいう。

イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの

ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五十を超えないものに限る。)

「イ」は、麦芽とホップだけのビールを定義する。

「ロ」は、麦芽使用率67%以上99%以下のビールを定義する。

ロの定義では、麦芽以外の原料の重量は麦芽の重量の50%を超えてはならない。つまり、全体の重量の33%を超えてはならない。

また、酒税法施行令では、ビールに使用できる原料が定義されている。

酒税法施行令

(ビールの原料)

第六条 法第三条第十二号 ロに規定するビールの原料として政令で定める物品は、とうもろこし、こうりやん、ばれいしよでんぷん糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料とする。

海外のビールのように香辛料などが含まれる場合、日本の酒税法上は「発泡酒」となる。

発泡酒

酒税法による「発泡酒」の定義は次の通り。

酒税法

(その他の用語の定義)

第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

十八 発泡酒 麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(第七号から前号までに掲げる酒類及び麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く。)で発泡性を有するもの(アルコール分が二十度未満のものに限る。)をいう。

日本では、ビールより麦芽の使用比率が少ないもの、という印象が強いが、法律上は麦芽の量について、特にビールに対する制限的な上限は規定されていない。

「ビールではない」かつ「その他の発泡性酒類ではない」条件を満たすとは、次の何れかの条件に該当することをいう。

  • ビール以外の原料の重量が、全体の重量の34%以上を占める
  • 原料に、酒税法施行令 第六条で規定されているもの以外を用いている
  • いわゆるスピリッツ類を原料に用いていない

但し、発泡酒であっても麦芽比率が50%以上であれば、酒税額はビールと同額になる。このため、日本の大手ビールメーカーの製品は麦芽比率を抑えている。

税額は麦芽比率により、次の三段階。

  • 麦芽比率25%未満
  • 麦芽比率25%以上50%未満
  • 麦芽比率50%以上

日本の大手ビールメーカーは、税額を抑えて低価格を実現するため、麦芽比率25%未満に抑えている。

その他の醸造酒(発泡性)①

酒税法による「その他の醸造酒」の定義は次の通り。

酒税法

(その他の用語の定義)

第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

十九 その他の醸造酒 穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(第七号から前号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く。)でアルコール分が二十度未満のもの(エキス分が二度以上のものに限る。)をいう。

これは、古い酒税法では「その他の雑酒②」という分類だった。

マスコミはこれを「第三のビール」と称するが、ビールではないものをビールと呼ぶことは誤りであり、捏造報道である。ビールメーカーは概ね「新ジャンル」として製品を紹介している。

麦芽比率25%未満の発泡酒の税率が134,250円/klなのに対し、その他の醸造酒は80,000円/klとなっている。このため、店頭価格は発泡酒よりも更に安価になっている。

リキュール(発泡性)①

酒税法による「リキュール」の定義は次の通り。

酒税法

(その他の用語の定義)

第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

二十一 リキュール 酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が二度以上のもの(第七号から第十九号までに掲げる酒類、前条第一項に規定する溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のもの及びその性状がみりんに類似する酒類として政令で定めるものを除く。)をいう。

税額はその他の醸造酒80,000円/klと同額である。但し発泡酒ではないため麦芽比率に制限がなく、このため麦芽比率が多めになっているものが多い。

「とりあえずビール」という名は商標登録されている。

用語の所属

関連する用語
生ビール
ラガービール
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